軽量化と最新電動パワステで最良のハンドリングを目指す

3月のジュネーブモーターショーにおいて製造が発表されたジャガーの新スポーツサルーン「XE」が、ついに9月に発表される。おそらく翌月のパリモーターショーで一般お披露目されるであろう最新モデルは、50年以上前に販売していたジャガーのアイコニックなモデル「マークII」いらいの、コンパクトなスポーツサルーンだという。

XEのシャシーには新開発の軽量かつ高剛性なアルミニウム製モノコックを採用。アルミのボディはSUV「レンジローバー」やスポーツモデル「Fタイプ」、フラッグシップセダン「XJ」で用いられているものの、「XF」はスチール製であり、ジャガーとしてこのサイズのサルーンに適用するのは初めてとなる。

フロントサスペンションは、Fタイプ譲りのダブルウィッシュボーン式で、「XFR」に匹敵するレベルまで剛性を高めており、ハンドリングやステアリング フィールを向上させるという。

リアサスペンションには、インテグラル リンク式を採用。従来のマルチリンク式にくらべ、縦方向と横方向へ剛性が高まり、シャープなレスポンスのみならず、ラグジュアリーな乗り心地をもたらすと語る。

前後いずれのサスペンションにも、その部材の多くに鍛造もしくは中空成型のアルミ製をもちいており、剛性の確保と同時に車両の軽量化に貢献している。

ステアリングには、最新のエレクトリック パワーアシスト ステアリング（EPS）が、ジャガーとしてはじめて採用された。EPSの進化したアルゴリズムにより、従来の油圧ベースのパワステよりもより細かい制御がおこなえるようになり、操縦性の向上をはじめ、低速時にアシスト量を増して取り回しを楽にする機構、さらにはアクティブセーフティやドライビングアシスト機能といった付加機能をも実現可能とする。

また、後輪駆動車が苦手とする、滑りやすい路面からの脱出をサポートする機能として、ジャガーでは初となる「オール サーフェス プログレス コントロール（ASPC）」を装備。ジャガー・ランドローバーが長年培ったオフロードにおけるトラクション確保の経験にもとづいて開発されたもので、電子制御による低速のクルーズコントロールのように働き、ドライバーによるアクセル操作を必要とせずに最適なトラクションを得ながら、スリップすることなく走行を可能とする。

エンジンはゼロからの新設計

ジャガーXEに搭載されるエンジンは、白紙から設計されたというジャガーランドローバーの次世代パワーユニット「INGENIUM（インジニウム）」。

この新エンジン開発にあたっては、5つ要件が提示されたという。それは「さまざまな車両に搭載できるよう、柔軟性や将来性にすぐれること」「大排気量のみならず小排気量にも対応できること」「後輪駆動、四輪駆動などさまざまなエンジンレイアウトに対応できること」「MT、ATさらに電動ハイブリッドにも対応できること」「あらたなエンジン技術が開発されても、容易に採用できること」というもの。

これらの要望に応えて開発されたインジニウムエンジンは、ガソリンおよびディーゼルで、いずれもターボチャージャーを搭載したものとなった。ガソリンとディーゼルともに、ボア、ストローク、シリンダースペース、500ccというシリンダー1本あたりの容量、そしてモジュール化された多くの内部構成部品が共通化されており、今後のラインナップ拡張や地域ニーズにあわせて柔軟な対応が可能となっている。

くわえて、シャシー同様にエンジン単体の軽量化も果たしており、現行型の同等エンジンと比較すると最大で80kgも軽くなっている。また、燃費向上のため、内部の摩擦抵抗を下げることも重要な課題とされ、最初に登場する2リッターディーゼルターボの「AJ200D」では、現行のものと比較して17パーセントも摩擦抵抗が減少している。

インジニウムエンジンは、イギリスはウェスト・ミッドランズ州ウルヴァーハンプトンに新設するジャガー・ランドローバーの新エンジン工場で、2015年より量産が開始される予定だ。

開発から生産まで、すべてをイギリス国内でおこなったという純英国車、ジャガーXEは、9月8日にロンドンでアンヴェールされる。