あたらしいコンパクト「C4 カクタス」を発表|Citroen
Citroen C4 Cactus|シトロエン C4 カクタス
シトロエンのかんがえるクルマの進化
あたらしいコンパクト「C4 カクタス」を発表
およそ半年前、2013年9月のフランクフルトモーターショーで展示されたコンセプトカー「C4 カクタス」が、プロダクションモデルとしていよいよ発表された。その独特なデザインはほぼそのまま踏襲したうえに、随所にいままでにない装備をそなえたあたらしいクルマとしてデビューを飾る。
Text by HORIGUCHI Yoshihiro(OPENERS)
デザイン、コンフォート、テクノロジー、アフォーダブル
「世界はめまぐるしくうつろい、消費者のニーズもおなじ速度で変化している。それでは、クルマは?」 シトロエンがみずから提示するこの問いへの回答として、コンパクトハッチバック市場に投入するのが、この「C4 カクタス」。シトロエンの創設者、アンドレ・シトロエンの135回めの誕生日にあたる、2014年2月5日に発表された。
このクルマの主眼はデザイン志向であること、コンフォートであること、便利なテクノロジーをそなえること、そして、クルマを所有するにあたりトータルで必要なコストを抑えることにあるという。
コンセプトからほぼかわらない外観は角のないなめらかな曲線で構成され、SUVに自然とそなわるアグレッシブな印象を打ち消す。そのうえで、このクルマの機能性を表現するパーツをあえて大げさにデザインし、そのパフォーマンスを主張している。
たとえば、太いホイールアーチやカラーリングで強調されたバンパーは“プロテクション性能”を、はっきりと突き出たルーフバーからは“積載性能”を、そしてピラーをブラックアウトすることにより浮いているように見せるルーフや広く採光性の高いパノラミックガラスルーフが“ライトウェイト”であることを表現。そのため、全体的にデフォルメされた印象を受ける。
ボディサイドおよびフロントやリアの、カラーリングされた板チョコのようなデザインのパーツは、C4カクタスを特徴的づけつひとつ「エアバンパー」。ここはポリエチレン製のエアクッションとなっており、軽微な衝突程度ではボディに傷をつけることがない。特別なメンテナンスも不要で、破れたり切れたりすればエアバンパー部分だけ張り替えるだけで済む。
これにより、デザイン性も重視しながらも、ありがちな軽い擦り傷などによる修理費をおさえ、さらには細かいことに気にせずに余裕をもって運転できるコンフォート性をも狙ったものだという。
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コンフォートを演出するシンプルな室内空間
名称に「C4」を冠するように、C4をベースとしたC4カクタスのボディサイズは、全長4.16×全幅1.73×全高1.48メートル。ホイールベースはC4とおなじ2.60メートル。最近のモデルでいうと、プジョー「2008」やルノー「キャプチャー」、さらにホンダ「ヴェゼル」など、いずれもコンパクトハッチから派生したSUVモデルと高さ以外はほぼ同サイズだ。
しかしながら、その重量はボンネットをはじめとする一部へのアルミパーツの採用、一体成型されたリアシートなどにより軽量化を実現。C4にくらべて200kgも軽い965kgと、見かけによらず1トンを下まわる。
エンジンについて排気量等の具体的なデータは提示されていないものの、その燃費は、BlueHDiを搭載したディーゼルで3.1ℓ/100km(およそ32.3km/ℓ)、CO2排出量はわずか82g/km。PureTech技術を採用したガソリンエンジンでも、CO2排出量が100g/kmを下回るということで20km/ℓ台の高い燃費が期待される。トランスミッションにはシトロエンの自動シングルクラッチ、ETG版も用意される。
ETGを選択すると、シフトレバーにかわって「D」「R」「N」のみのシンプルなボタン「イージープッシュ」がセンターコンソール下部に配され、シフトチェンジそのものは、ステアリングコラムにあるパドルでおこなう。
インテリアは低い位置に据え付けられた水平基調のダッシュボード中央に、最小限のボタンと7インチのタッチディスプレイがそなわるシンプルなもの。エアコンやマルチメディア、ナビの操作をはじめ、バックカメラ、パークアシスト、クルーズコントロール、ハンズフリーフォン、インターネット接続などすべての機能をこのディスプレイをつうじておこなえるようになっている。
室内空間が広くかんじられる、低くすっきりとしたダッシュボードは、助手席のエアバッグを天井に内蔵する「エアバッグ イン ルーフ」を採用したからこそ実現したレイアウト。おなじくルーフにそなわるおおきなパノラミックガラスルーフは、光をとりいれながらも紫外線をカット、さらに熱や音もとおさないので冷暖房の効率、すなわち燃費を落とすことなく、また、ノイズなどの侵入も抑えらるという。
インテリアデザインのテーマは「トラベル」。ダッシュボード上面のエンボスや、グローブボックスの蓋などはラゲッジのデザインをあしらったもの。同様に、レザーストラップのドアハンドルはトランクの持ち手を模している。フロントにはワイドソファーシートと呼ばれるベンチ型のものを採用し、コンフォートを演出。荷室は358リットルを確保している。
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徹底的にテーマを追求するための新機能
このほかにも、C4カクタスにはさまざまなあたらしい装備が導入されている。パークアシストは、液晶パネルからスイッチをいれると、クルマが駐車可能なスペースを判断し自動操縦してくれるというもの。ドライバーは周辺を注意しながらアクセルとブレーキ操作のみおこなう。さらに、ワイパーブレード本体にウォッシャーノズルをもうけることで、噴射からワイプまでの時間をほぼなくしつねに視界を確保するとともに、ウォッシャー液の消費量をおさえる、スマートウォッシュも採用される。
既存のモデルにも搭載されている、坂道発進時にブレーキを離しても2秒間保持するヒルスタートアシスト、ハンドルを切ると斜め前方を照射するライトが点灯するスタティックコーナリングライトといった装備ももちろんそなわる。
C4カクタスのボディカラーには10色が用意される。外側の特徴的なエアバンパー部分はブラック、グレー、デューン、チョコレートの4色。内装色は、アンビエンスストーングレー、パックハバナインサイド、パープルインサイドの3色から選択可能だ。
販売方法もアフォーダブルであること
じっさいにクルマを購入するにあたっては、車両本体価格だけでなく、その後のランニングコストまでふくめて検討しなければならない。そのため、シトロエンでは、クルマを購入してから手放すまで、継続的にアフォーダブルであることが重要とかんがえ、C4カクタスではあたらしい購入方法を提案している。
それは、携帯電話の料金のように、ランニングコストまでふくめた金額を毎月一定額ないし、走行距離におうじて支払うというもの。これには、車両のローンにくわえて、保険やメンテナンス費用など燃料代をのぞいたすべてのものが含まれる。定額制の場合には、オーナーは車両の仕様とともに保険の範囲やメンテナンスの内容などを指定することができるようにする予定だという。
操作、機能、デザインそして買い方にいたるまで、C4カクタスは、たんに新型コンパクトSUVという位置を超え、いままでにないまったくあたらしい視点からのアイディアを詰め込んだ、シトロエンらしいクルマといえる。そのお披露目は3月に開催されるジュネーブモーターショーだ。