シトロエン Cラインの未来を示すマニフェスト|Citroen
CAR / MOTOR SHOW
2015年4月6日

シトロエン Cラインの未来を示すマニフェスト|Citroen

Citroen Cactus|シトロエン カクタス
「C4 クロスオーバー」のドレスアッププレビュー

シトロエン Cラインの未来を示すマニフェスト

シトロエン「C4」ベースに、「ハイブリッド エア」を搭載したクロスオーバーのプレビューが、「カクタス」というコンセプトモデル。フランクフルト モーターショーではまだまだ現実味のない派手な衣装に身を包んでいるものの、じつは2014年に量産車として市場投入が予定されている本気のコンセプトカーなのだ。

Text by SAKURAI Kenichi

あたらしいCラインの視覚的アイデンティティも予告

シトロエンがフランクフルト モーターショーで発表するコンセプトカー「カクタス」は、2007年に公開された「シトロエン C-カクタス」につづくデザインコンセプトである。「日産キャシュカイ(日本名デュアリス)」が先鞭をつけた、近年人気のコンパクトサイズのクロスオーバーレンジにシトロエンが送り込むニューモデルであると同時に、「フォルクスワーゲン ゴルフ」や「フォード フォーカス」といったCセグメントハッチバックの強豪と、その派生モデルもライバルとして視野に入れているだろう。

高級レンジである「DSライン」の成功をうけ、シトロエンは、従来からの基本ラインともいえる「Cライン」にも、よりスタイリッシュなデザインを持ち込む予定だという。この「カクタス」はその先鋒をつとめるというわけである。現状はいかにも未来的なスタイリングでコンセプトカーの域を出ないが、そのいっぽうでシトロエン「C4」の派生モデルとして、2014年半ばにも「カクタス」は市販車として正式発表されることが決定しているといわれている。

ただし、今回登場した「カクタス」のデザインが、そのままプロダクションモデルに採用されるわけではない。現行C4をベースにしたクロスオーバー的なデザインを取り入れることはまちがいないはずだが、全体的なシルエットや一部のディティールが生産車にも採用される……という解釈が正しいはずだ。「カクタス」は、“あえて実車版の雰囲気を消した”いわば、「C4 クロスオーバー」のドレスアッププレビューなのだ。

Citroen Cactus|シトロエン カクタス

Citroen Cactus|シトロエン カクタス

それでも、プロダクションモデルを知るヒントは隠されている。車高を上げた5ドアハッチバックのフォルム、2,610mmのホイールベースは、プロダクションモデルでもかわらない。最低地上高を210mmまで引き上げロードクリアランスを確保しながら、反対に車高は1,530mmと実用的な範囲に収めている。ヘッドライトやテールライトとAピラーからつづくフローティングデザインのルーフ、そして特徴的なCピラーのデザインはモチーフとして市販モデルにももちいられるだろう。

ポップな雰囲気のインテリアも、市販モデルに共通する要素であろう。フロントはベンチシートで、水平基調の大胆なカラーリングのフローティング ダッシュボードの上に8インチ タッチスクリーン モニターを配置。ほとんどの装備コントロールは、このモニターを介しておこなわれる。クリーンで機能的なダッシュボードをデザインするために助手席エアバッグはルーフ部分に移動、これによってグローブボックスの容量もじゅうぶんに確保した。普段見慣れたシフトレバーは、ニュートラルとリバース、そしてドライブ用にわかれた3つの大きなスイッチに置き換えられている。

さらに実現可能な装備としてあげられるのは、前後のバンパーやボディサイドに取り付けられた「エアバンプ」とシトロエンがよぶ装備。内部に空気を充填した弾力性のある構造で、軽微な接触から車両を保護すると同時に、外観上の特徴ともなるグラフィックである。

Citroen Cactus|シトロエン カクタス

Citroen Cactus|シトロエン カクタス

パワートレーンには、2013年のジュネーブ モーターショーで発表された、PSAがボッシュと共同開発した「ハイブリッド エア」を搭載。既存の“ガソリンエンジン”に、こちらもさまざまな工業機械で使用されている“空気圧力モーター”を組みあわせたハイブリッドシステムだ。ガソリンエンジンのみ、空気圧力モーターのみ、ガソリンエンジ+空気圧力モーターの3つの走行モードを用意する。

モーターは電動ではなく、圧縮空気で作動。エンジン作動時に圧縮空気を蓄えるほか、バッテリー+モーターのハイブリッドとおなじように、減速時の回生システムで空気を圧縮しタンクに送り込む。これによって燃費は大幅に向上し、3ℓ/100km未満(33.3km/ℓ以上)を達成。市街地では消費燃料を45パーセント削減するという。

ショー用に派手なドレスアップをおこなってはいるが、「シトロエン カクタス」は、あたらしい提案を盛り込んだシトロエン渾身のクロスオーバーだ。スタイリッシュであると同時に、イノベーションでもある。シトロエンは、滑らかなフロントフェイス表面に埋め込まれたコーポレートマーク“ダブルシェブロン”を「Cラインの将来における視覚的なアイデンティティのプレビュー」だと公言している。そう、これは、我々にCラインの未来を示すシトロエンのマニフェストでもあるのだ。

           
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