超軽量グランドツアラーの「マクラーレンGT」を発表|McLaren
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2019年5月20日

超軽量グランドツアラーの「マクラーレンGT」を発表|McLaren

Mclaren GT|マクラーレンGT

超軽量グランドツアラーの「マクラーレンGT」を発表

マクラーレン オートモーティブは、グランドツアラーの特性とスーパーカーの俊敏性を併せ持つ新型モデル「マクラーレンGT」を発表した。

Text by HARA Akira

ロングツーリングに対応した積載力を持つボディ

「マクラーレンGT」(以下GT)は、すでに確立されているマクラーレン「スポーツシリーズ」「スーパーシリーズ」「アルティメットシリーズ」のファミリーに加わる新たなシリーズという位置付けとしてデビューした。

同社のマイク・フルーウィット最高経営責任者は「ロングツーリングに適した快適さとスペースだけでなく、従来このセグメントのモデルにはないレベルの俊敏性を併せ持つ、グランドツアラーの概念を再定義したクルマ」と説明している。

GTのボディサイズは、全長4,683×全幅2,095×全高1,213mm。カーボンファイバーが核となるボディの重量は1,530kgで、最も重い競合モデルより200kg以上軽量だと謳われる。最大の特徴は、ビスポークの「モノセルII-T」モノコック(Tはツーリングの意味)ボディだ。

後部にカーボンファイバー製のリアアッパー構造が組み込まれ、その強度を生かすことで全体がガラス張りの縦開き式リアゲートを設けることができ、その下には420リッターの収納スペースを生み出した。エンジンの高さを低くし、エグゾーストの位置を工夫することでラゲッジスペースの容量、形状、使いやすさが最適化され、具体的にはゴルフバッグまたは185センチのスキー板2セットとブーツ、手荷物などを楽々と積載できる。フロント150リッターの収納スペースと合わせると、570リッターの収納容量を確保。ガラス張りのピラーとウインドウのおかげで、後方視界が広がり、キャビンにより多くの光が差し込むようになったという。

全長約4.7メートルのボディはスポーツシリーズやスパーシリーズのどのモデルより長く、グランドツアラーらしいエレガントなシルエットを持つ。特徴的なフロントのハンマーヘッド ラインに続くティアドロップ型のキャビンは後方に長く伸び、高温ラジエターに導かれるサイドエアインテークと迫力満点のリアフェンダー、ボディと一体化したリアウイング、大きなディフューザー、存在感あるエグゾーストテールパイプへつながっている。

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超軽量グランドツアラーの「マクラーレンGT」を発表 (2)

0-100km/h加速3.2秒、最高速度326km/hの4リッターV8搭載

キャビン後方に搭載するM840TEと呼ばれる4.0リッターV8ツインターボエンジンは、新しいGT専用に製造されたもので、最高出力620ps/8.500rpm、最大トルク630Nm/5,500-6,500rpmを発生。3,000rpmから7,250rpmまで最大トルクの95パーセントを供給し、7段SSGトランスミッションとの組み合わせにより直線的でシームレスかつ圧倒的な加速を生み出すという。

その性能は、ローンチコントロール機能により停止状態からの加速が最適化され、0-100km/h加速3.2秒、0-200km/h加速9.0秒、0-400m加速11.0秒、最高速度326km/hを誇る。ストッピングパワーも優秀で、100km/hから32メートル、200km/hから127メートルで停止することができる。

サスペンションやステアリング、ブレーキにおいても、グランドツアラーとしての最適化が図られた。サスペンションは軽量アルミニウム製ダブルウィッシュボーン式で、その制御は、「720S」用に開発されたセンサーからのインプットを通じて路面を「読み」、次に起こりそうなことを2ミリ秒で予測して適切な対応をとるプロアクティブ ダンピング コントロールを採用。コンフォート、スポーツ、トラックのパラメーターセットで構成されている。

油圧式ステアリングには「map」と呼ばれるソフトウェアを使用して各モードに対応。タイヤは高性能と快適さ、洗練さを併せ持つGT専用のピレリP ZEROとしている。

前後オーバーハングが長いGTだが、路面と車体の隙間は110mm(リフトシステム使用時は130mm)あるため、フロントのアプローチアングルは10度(リフトシステム時13度)を確保。路面に施されたスピードパンブに対応できるなど、都会のあらゆるシチュエーションで使いやすくなっている。

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超軽量グランドツアラーの「マクラーレンGT」を発表 (3)

長距離旅行が楽しめるインテリア

インテリアは、ロングツーリングが楽しめる広さを確保。GT専用の電動式ヒーター付きシートはパッドの量と背中のサポート材を増やし、長距離ドライブでも快適さが維持できるという。

トリムはナッパレザーが標準で、スペックに応じてソフトグレイン レザーかアルカンターラにアップグレードでき、2019年末ごろにはカシミアもオプションに追加される予定という。量産車にカシミアを使用するのは世界初の試みだ。

また、標準装備のカーボンファイバー製ルーフの代わりにオプションとして選べるエレクトロクロミック ガラス パネルは、ボタンをタッチするだけでガラスの透明度を変更できる仕様だ。

新開発のインフォテインメントシステムは、10クアッドコア チップと業界標準の「HERE」によるナビゲーション マッピングとリアルタイムの交通情報を表示するマクラーレン史上最も洗練されたもの。インターフェイスの操作はスマートフォンに似たもので、中央の7インチ タッチスクリーンを使い、衛星ナビゲーションやBluetoothでの電話通話、メディアストリーミング、音声操作などの車内機能の選択ができる。

また、ドライバーに重要な車両情報を提供する眼前のTFTスクリーンは12.3インチを採用。計器類の外観は航空機で使用されるものに似ており、そのディスプレイは簡潔かつ明瞭で読み取りやすいものとなっている。速度、ギアの選択、エンジン回転数だけでなく、簡易ナビゲーションや電話の着信、オーディオ アウトプット、タイヤの温度や空気圧を表示するほか、リバースギア時にはバックカメラの画像を表示し、ドライバーは視線を可能な限り高い位置に保つことができるという。

洗練された快適さを優先事項としたため、車両剛性をサーキット専用の「600LT」の半分とし、エンジンマウントも専用のものを採用。その結果車内のノイズは最小化されており、カーボンファイバー構造から発生する低周波音も抑制され、今回のGTはマクラーレン史上最も洗練度の高いマシンとなった、としている。

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McLaren GT|マクラーレン GT
ボディサイズ|全長 4,683 × 全幅 2,045(ミラー収納時) × 全高 1,213 mm
ホイールベース|2,675 mm
乾燥重量|1,466 kg(油類及び燃料90パーセント積載のDIN値は1,530 kg)
エンジン|3,994 cc V型8気筒 ツインターボ
最高出力| 456 kW(620 ps) / 7,500 rpm
最大トルク|630 Nm / 5,500-6,500 rpm
トランスミッション|7段オートマチック(SSG)
駆動方式|MR
ブレーキ 前|φ367 mm キャストアイアン ディスク
ブレーキ 後|φ354 mm キャストアイアン ディスク
サスペンション|ダブル ウィッシュボーン
タイヤ 前/後|225/35R20 / 295/30R21
トランク容量|フロント 150リッター、リア 420リッター
最高速度|326 km/h
0-100km/h加速|3.2 秒
0-200km/h加速|9.0 秒
200-0km/h減速|127メートル
100-0km/h減速|32メートル
CO2排出量(WLTP)|270 g/km
燃費(WLTP combined)|11.9 ℓ/100km(およそ8.4 km/ℓ)

           
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