アウディがEVのGTモデル「e-tron GTコンセプト」を発表|Audi
Audi e-tron GT concept|アウディe-tron GTコンセプト
アウディ、EVの4ドアGT「e-tron GTコンセプト」を発表
アウディは米国で開催中の「ロサンゼルス モーターショー 2018」で、電気自動車の4ドアグランツーリスモ「アウディ e-tron GTコンセプト」を世界初公開した。このコンセプトカーの量産化は、アウディのハイパフォーマンスモデルを開発する子会社、アウディスポーツGmbHが担当し、約2年後に登場する予定だという。
Text by HARA Akira
フラット&ワイドで長いホイールベースを持つ典型的なGTボディ
今回発表された「e-tron GTコンセプト」は、すでに生産が開始されているアウディ「e-tron」、2019年に登場予定のアウディ「e-tron スポーツバック」に続くe-tronファミリーの3番目のモデルとなる。4ドア4シータークーペのボディは全長4.96×全幅1.96×全高1.38メートルで、フラット&ワイドかつ2.9メートルの長いホイールベースをもつ、グランツーリスモらしい姿となっている。
カーボン製のルーフと数多くのアルミニウム製コンポーネント、高強度綱からなるマルチマテリアル構造のボディは、同じフォルクスワーゲン グループであるポルシェとの共同開発。一方、流れるようなルーフラインを持つスポーツバックスタイルのデザインは、省燃費に貢献しており、アウディのDNAを引き継ぐものだと説明されている。
5本ツインスポークの前後22インチ ホイールの間には、外側に大きく張り出したサイドシル部があり、これはe-tron GTコンセプトのエネルギー源であるバッテリーが、この位置に搭載されていることを暗示しているという。また、既存モデルよりアグレッシブな印象となるフロントセクションの矢印形状は、レーザーハイビームとアニメーション機能を組み込んだLEDヘッドライトの存在を示し、水平基調のシングルフレームグリルは、このクルマがアウディスポーツGmbHの未来のモデルであることをアピールしている。ボディカラーはチタニウムに似たキネティックダストと呼ばれるダークカラーを採用した。
インテリアは、各機能や操作系がドライバーを取り囲むよう人間工学的に最適化された、水平基調の最新デジタルコックピットとなっている。インストルメントパネルのディスプレイと、センターコンソール上部のタッチスクリーンはブラックパネル調で仕上げられ、ドライバーの好みでバーチャルアナログ表示や航続距離とナビのマップ、インフォテインメント機能などさまざまなレイアウトに変更が可能で、その操作は感覚フィードバックを備えたタッチスクリーンで操作できるという。
内部に使用する素材に、動物由来のものは一切使用せず、すべて植物由来としたのも特徴だ。具体的にはシート地やトリム地には合成皮革、シートクッション、アームレスト、センターコンソールはリサイクル繊維からなるファブリック、ヘッドライニングのトリムはマイクロファイバー素材、カーペットは使用済み漁網で作られた再生ナイロン、といった具合だ。電気自動車の利点として2つのラゲッジを持ち、リアコンパートメントは450リッター、ボンネット下には100リッターの収納スペースを備えている。
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アウディ、EVの4ドアGT「e-tron GTコンセプト」を発表(2)
システム出力590psにより、100km/hまで3.5秒で加速
前後のアクスルに個別に搭載する永久磁石式同期電動機(PMモーター)は、システム出力434kW(590ps)を発生。前後のアクスル間に機械的なリンクがない電動式quattro四輪駆動システムを搭載し、前後だけでなく左右のホイール間の駆動力を調整することで最適なトラクションが得られるという。
動力性能は、100km/hまで3.5秒、200km/hまで12秒で加速する。一方、航続距離を最大化するため、最高速度は240km/hに制限。洗練された冷却システムにより熱で出力が制限されることはなく、連続してフル加速を繰り返すことができる。
必要な駆動エネルギーを供給するリチウムイオンバッテリーの容量は90kWh以上で、航続距離は新しいWLTPモードで400km超を公称。回生システムにより航続距離は最大で30パーセント伸ばすことが可能だ。
この回生モードは、シフトパドルのマニュアル操作によるものと、予測効率アシスト経由で自動的に起動する2つのコースティング回生、電気と油圧による減速をスムーズに移行するブレーキ回生の3通りの方式があり、0.3G以下の減速では電気モーターだけが担当する。従来型のブレーキを使用しないこの回生は、すべての減速パターンの90パーセントを占め、実質的に通常のブレーキ操作で常にエネルギーがバッテリーに戻されることになる。0.3G以上のブレーキングでは、通常のホイールブレーキも使用する。
e-tron GTコンセプトは800ボルトの充電システムに対応しており、充電時間を大幅に短縮。大容量バッテリーながらも、80パーセントに充電する時間はわずか20分で、その場合には320kmの走行が可能になる。充電は、左側フロントフェンダーのフラップに接続する充電ケーブルや、1次コイルを備えた充電パッドを施設した駐車フロアからのアウディ ワイヤレス チャージングによる非接触充電にも対応する。
2020年末にはe-tron GTコンセプトの量産モデルが登場し、初回のデリバリーは2021年初頭に行われるとアナウンスされている。