新型ベントレー コンチネンタルGTが日本上陸|Bentley
Bentley Continental GT|ベントレー コンチネンタルGT
新型ベントレー コンチネンタルGTが日本上陸
ベントレー モーターズ ジャパンは、フランクフルトモーターショー2017でデビューした3代目「コンチネンタルGT」を日本でもローンチした。価格は2,530万円からで、デリバリー開始は2018年の第3四半期の予定だ。
Text & Photographs by UCHIDA Shunichi
大きくイメージを変えたフロント周り
2015年3月に開催されたジュネーブショーでお披露目されたコンセプトカー、ベントレー「EXP 10 Speed 6」。このモデルが新型「コンチネンタルGT」のエクステリアデザインの源となっている。戦闘機や現代的な建築物など、精緻で力強い印象を与えるような造形からヒントを得ており、ボディのなめらかさなどの部分もそのモチーフが反映されている。
フロントグリルは先代よりも低くなり、よりロー&ワイドな印象になった。その左右に配されるヘッドランプは、LEDマトリクス技術を使い、 ヨーロッパの高級クリスタルカットグラスをイメージしてデザインされた。
同様に、リアコンビネーションランプもLEDのマトリクス技術を採用。ベントレーのリアコンビネーションランプはこれまでも楕円形をモチーフとしてきており、新型でも踏襲されている。
大きく変わったのはフロントアクスルの位置。Aピラーの付け根から垂直に地面に引いた線からフロントホイールまでの距離が先代より135mm長くなっており、その分だけフロントアクスルが前に出ているのだ。この部分が長くなることで、エレガントさが強調されるとともに、フロントオーバーハングが短くなったのと相まって、スポーティさを演出している。さらに、タイヤが四隅に配置され、ロングホイールベースとすることで乗り心地もよくなった。また、エンジンの位置を若干後ろにできるため、重量配分も改善しており、ハンドリング面にもメリットがある。
ボディはトランク以外すべてアルミに
サイドビューを見ると、初代、2代目と同様、1953年にデビューした「Rタイプ コンチネンタル」のモチーフが随所に見られる。例えば、フロントフェンダーからドアにかかるパワーラインと呼ばれているラインや、リアフェンダーにかかるハウンジラインという伝統的なラインなどで、なだらかなルーフラインもRタイプ コンチネンタルから受け継がれた。
ボディ全体では、先代のコンチネンタルGTなどはドア部分がスチールであったが、新型ではトランクリッド以外はすべてアルミ製になった。これにより、85kgの軽量化に成功。ちなみに、トランクリッドにはアンテナを配しており、その電波の妨げにならないようコンポジットを使用したのだという。
また、これまでベントレーではフェンダーに用いてきたスーパーフォーミング加工を、ボディサイド全体で施した。これにより、シャープさが際立ち、デザイナーのイメージをより具体的に表現できるようになったという。この加工法はアルミニウムを500度まで加熱し正確に成型するもので、航空機などに用いられている技術。ボディサイド全体を加工したのは史上初のプロダクションモデルだという。
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新たなトライをした細工の数々
インテリア全体の印象は大きく変わってはいない。“ウイングドB”からインスピレーションを得てデザインされたインストルメントパネルは大きく左右に広がるような意匠が特徴。サイド部分までウッドが伸びたことから、これまで以上に広がりを感じさせている。
さらに、新型コンチネンタルGTでは初の試みが多数採用されている。その一つが、ベントレー初となるデジタルメーターだ。それにより、タコメーターとスピードメーターの左右の位置を入れ替えたり、ナビゲーションやナイトビジョンをメーター内に表示することも可能になった。採用理由について、ベントレー モーターズ ジャパン マーケティング・PR・アカデミー マネージャーの横倉典氏は、「デジタル特有の動きをさせたり、ギミックにこだわったりするのではなく、あくまでもきれいにアナログメーターを見せ、かつ機能を充実させる目的です」と述べた。
また、オプションではあるが、ローテーションディスプレイも大きな特徴となっている。具体的には、インストルメントパネルのセンタークラスターで、三角柱のパネルが回転するというもの。エンジンをかけると12.3インチのモニターが現れ、ナビやオーディオの操作ができる。一方、もっとドライビングに集中したい場合には、120度回転し、外気温度とコンパス、クロノメーターの3連メーターが現れる仕組みだ。前出の横倉氏によると、かつてのベントレーボーイズが使っていたようなメーターをイメージしているとのこと。エンジンを切るとさらに120度回転しウッドパネルに戻る。
このほかにも、さまざまな部分で新たな試みがなされ、ラグジュアリー性の向上が図られた。これまでベントレーのインテリアのアルミパネルには“エンジンターンド”と呼ばれる銀杏の葉ような模様が描かれたものや、シフトノブなどに施されている“ローレット加工”が特徴的だった。しかし、新世代のコンチネンタルGTを開発するにあたり、次の100年を見据え、これまで通りのものではない、新しい何かを産み出そうという、ベントレーモーターズCEO、ウルフギャング・デュラハイマー氏の指示のもとに開発されたのが、“コート ド ジュネーブ”と呼ばれる、センターコンソールに配された細工だ。スイスの高級時計などに用いられるモチーフで、アルミパネルに5mm幅ごとに0.1mmの高さの違いを設け、車内に精巧なイメージを演出している。
また、ダイアル類に用いられる“ダイヤモンドナーリング”もベントレーとしては新しい装飾方法だ。ダイヤモンドのようにひし形の模様が配されるが、模様そのものにも0.3mmほどの段差があり、グリップ感も高まっている。
レザーにも“ダイヤモンド イン ダイヤモンド”と呼ばれる新たな装飾が用意された。これまでマリナーのオプションを選ぶと、ダイヤモンド キルトのレザー加工が施されていたが、その中にもうひとつダイヤモンドの刺繍をしたものである。
横倉氏によると、「革に刺繍をすると革自体が12パーセントぐらい収縮してしまい、刺繍をし続けると、刺繍でまっすぐな線を描くのが難しくなる。我々はそれを解決するために約18ヵ月間かけて新しいミシンを開発しました。その結果、早く、そして革にダメージを与えずにしっかりとまっすぐに縫製できるようになったのです」と説明。ちなみに、ダイヤモンド一つあたり712ステッチが必要で、1台あたり310,675ステッチ。そして、1台に使われる糸の長さの合計は2.8kmにも及ぶという。
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大幅に向上した走行性能
エンジンは6.0リッターW12気筒で、基本的には「ベンテイガ」に搭載されているものと同様の新しいTSIエンジンだ。アイドリングストップ機能や、3,000回転、300Nm以下では6気筒に気筒休止するシステムが採用されており、燃費向上に貢献している。
パフォーマンスはコンチネンタル史上最大となる900Nmのトルクを発生。パワーは635psで0-100km/h加速は3.7秒と、これまでの「コンチネンタル GT スピード」(642ps)の4.1秒に対し、0.4秒上回っている。最高速は333km/hを誇る。
トランスミッションは8段デュアルクラッチを搭載。6段で最高速を記録し、7、8段は 基本的にはオーバードライブという位置付けである。
シャシーコントロールはベンテイガと同じ「ベントレー ダイナミック ライド」が採用されている。これは、48Vの電子式で、各アクスルのアンチロールバーにある電子アクチュエーターを制御・調整し、ハンドリングと乗り心地を向上させるだけでなく、一段と軽やかで正確な走行フィールをもたらすという。
また、アクティブ オール ホイール ドライブ システムも新たに採用。基本的にはFRをベースとし、必要に応じて前輪にトルクを配分するという。ドライビングモードが“ベントレーモード”、“コンフォートモード”の場合は、前輪に最大で38パーセントのトルクを配分。“スポーツモード”では17パーセントになり、よりスポーツティな走りとステアリングフィールを実現している。
スポーツ性能を向上させる機能としては、トルクベクタリングも搭載。これまでスーパースポーツとGT3Rに搭載されたもので、コーナリング時に前輪や後輪に軽くブレーキをかけることによって回頭性能を高めたり、タイヤの接地性能を高めたりする機能である。
リアサスペンションは最近のラグジュアリーカーではすでにおなじみの3チャンバー式エアサスペンションを採用。エア量が60パーセント増えており、これまでよりもより柔らかく、またより硬くと、精緻なコントロールができるようになった。
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1952年から始まったラグジュアリーグランドツアラーの歴史
1952年、ベントレーはRタイプコンチネンタルを発表。そのクルマは、「世界最速の4シーターで、瞬く間に究極のハイスピードラグジュアリーカーであると評判になり、ラグジュアリーグランドツアラーという分野を確立しました」とは、ベントレーモーターズジャパン代表のティム・マッキンレイ氏の弁。
このRタイプコンチネンタルにインスパイアされ、2003年に初代のコンチネンタルGTが誕生。560psの6リッターW12気筒と4輪駆動、そしてラグジュアリーなインテリアとパフォーマンスの高さで、「モダンラグジュアリーツアラーとしてのまったく新しいセグメントを創造し、日本においても2,000台以上のコンチネンタルシリーズが販売されました」という。
横倉氏も、初代コンチネンタルGTについて、「4人を乗せて300km/hで走れるクルマということで、世界中にセンセーショナルを起こしたクルマです。日本においても価格が2,000万円を切っており、非常に多くのお客様に受け入れられました」と振り返る。
第二世代は2011年に発表された。「第一世代に乗っていたお客様の要望を受けて大きく改善することがテーマでした。スポーティ性能においては、これまで50対50のトルク配分だったものを、40対60に変え、小物入れの少なさに対しては、収納スペースを増やした。デザイン面でもスーパーフォーミング手法によりグラマラスなボディを得ることができました。また、環境性能面では、燃費の改善の要望からV8モデルを導入することで解決。このようにお客様の要望を改善してできたクルマが第二世代でした」と横倉氏は語る。
新型となる第三世代は、「まったく新しいクルマと考えてもらいたいのです。一言でいうならよりスポーティに、よりラグジュアリーになったクルマなのです」とした。
実際にフランクフルトショー会場からも「アグレッシブになったとか、印象的だとか、これぞベントレーだなど、さまざまな言葉をもらい、とても好感触でした」と横倉氏。
キーワードとしては、「ダイナミクスや、ラグジュアリー、パフォーマンスなどこれまでのベントレーで語られるワードに加え、ヤンガー、フィメール・女性的、スタイリッシュといった新しいキーワードで語られるようになりました。つまり、全方位的に新しいお客様を獲得できるクルマに仕上がったと考えています」と語った。
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0120-97-7797
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