2017年も攻めるアウディスポーツ|Audi
Audi Sport|アウディスポーツ
アウディのレーシングDNAを伝える直系ブランド
2017年も攻めるアウディスポーツ
アウディ ジャパンは“Audi Sport 2017 Press Conference”において、昨年より発足した新ブランド、「アウディスポーツ」のこれからと、2017年シーズンのモータースポーツ カスタマー(プライベート)チーム サポート体制を発表した。SUPER GTにアウディ「R8LMS」で参戦する2チームと、SUPER耐久ST-Rクラスに参戦する2チームという陣容だ。
Photographs by UCHIDA Shunichi & Audi JapanText by UCHIDA Shunichi
アウディスポーツのこれから
アウディジャパン代表取締役社長の斎藤徹氏は、「最近の業界の話題は自動運転やコネクティビティなどに関心が集まっています。しかし自動車本来の楽しさは、“走る”“曲がる”“止まる”です。自分自身でクルマを意のままに操るというクルマの運転の楽しさは変わらずあり続けると思っています」と述べ、「その運転の楽しみを究極の部分まで引き上げているのが“Born on the track. Built for the road”というスローガンを掲げるアウディスポーツの商品ラインナップです」と紹介し、「1899年の創業時から今日に至るまでモータースポーツとクルマ作りの関係は不可分です」とアウディとモータースポーツは切っても切れない関係であることを強調した。
ランボルギーニから、アウディスポーツ マネージング ディレクターに移籍したステファン・ヴィンケルマン氏も今回のPress Conferenceのために来日し、昨年の振り返りと、日本マーケットの重要性について次のように強調した。「2016年のアウディスポーツは対前年比18パーセント成長し、新記録樹立の年でした。過去5年間でハイパフォーマンスモデルの世界販売台数を倍増させていますが、日本はそれを上回るペースで成長しており、昨年は48パーセントの伸びを示しています」。
また、斎藤氏も「昨年アウディ ジャパンはアウディ スポーツモデルを約800台販売(アウディ ジャパン トータルは約2万8,000台)しました。今年は続々と続く魅力的なアウディスポーツ ニューモデルの国内導入により、アウディのスポーティなブランドイメージをさらに高まるでしょう」と期待をにじませた。
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2017年も攻めるアウディスポーツ(2)
エクスクルーシブでハイパフォーマンスなSUV方向へ
2016年、アウディスポーツGmbHは、クワトロGmbHから社名変更。この“スポーツ”の意味は斎藤氏が語った通りで、ヴィンケルマン氏も、「モータースポーツは我々の会社のルーツであり、DNAに組み込まれています。1930年代の伝説のシルバーアローに始まり、1970年代のアウディ クワトロのラリー、そしてWECなど数々の勝利を挙げ、現在に至っています」と述べる。
現在、アウディスポーツは4つの柱から成り立っている。ひとつは「R8」やRSモデル。次にカスタマー レーシング。そして、カスタマイズ プログラムの「アウディ エクスクルーシブ プログラム」。最後はアウディ コレクションというマーチャンダイズのコレクションだ。
カスタマー レーシングでは、「2016年は24のタイトルを獲得し、合計85のレースで勝利を収めました。そして100回以上の表彰台に上ることが出来、過去最高の一年でした」とヴィンケルマン氏。
アウディスポーツの今後の戦略についてヴィンケルマン氏は3つの柱のもとに開発するという。
まず、「台数を追い求めるのではなく、エクスクルーシブに重きを置きます」。次いで、「よりSUVへ。これは将来の成功のためには最も重要です」という。そして、「スーパー スポーツカーよりも、日常にも使えるハイパフォーマンス カーを重視する」とし、「ハイパフォーマンスは我々の基本です。デザインだけではなく、高い快適性や安全性、卓越したクオリティを備え、日常使いが出来ることが重要なのです」とコメントし、「アウディスポーツはロードカーとレースカーを両立するブランドなのです」と語る。
そして、これら戦略を踏まえ、「2018年末までに8モデルを投入し、真のグローバルプレイヤーになることを目指して行きます」とし、「RS3スポーツバック」と「RS3セダン」を皮切りに、ジュネーブショーでデビューした「RS5クーペ」がそれに続くことになる。
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2017年も攻めるアウディスポーツ(3)
R8LMSでSUPER GT GR300クラス シリーズ チャンピオンを目指す
さて、アウディ ジャパンのモータースポーツ活動は冒頭に記した通りである。そのマシンとなるSUPER GTに参戦する「R8LMS」は、量産モデルのアウディ「R8」と並行して開発が進められ、そのパーツの共有率は50パーセントにのぼる。アルミとCFRPの複合素材によって構成された新世代のアウディ スペース フレーム(ASF)を採用し、自然吸気V型10気筒5.2リッターエンジンは 、最高出力585psを発揮。更に、オーバーホールのインターバルが20,000kmとレーシングエンジンとしては極めて長い特徴を持つ。
斎藤氏によると、「2016年、セパン12時間耐久レースやFIAのGTワールドカップなどのレースを制覇し、合計24のタイトルを獲得しました」と実績をアピールするとともに「2009年の初代モデルからカウントすると、200台を生産し世界中のカスタマー レーシング チームに提供しています」と話す。
今回SUPER GT GT300クラスに参戦するチームは、2012年から Audi R8 LMSで挑戦を続け、昨年のGT300クラスの年間シリーズではチーム、ドライバー ランキング共に3位、FIA GT3勢ではトップの地位を獲得した「Audi Team Hitotsuyama」と、参戦2年目を迎えドライバーズ ラインナップを一新、さらに戦闘力を増した「Team TAISAN SARD」の2チームとなる。
Audi Team Hitotsuyamaは、チーム監督は岡澤優氏、ドライバーはリチャード・ライアン選手、柳田真孝選手という体制。岡澤監督は、「2017年の抱負、目標はただひとつ、シリーズ チャンピオンを獲得することです。マシン面はそのままにメカニックをさらに強化し、ダンロップタイヤとパートナーシップを引き続き結びます。そして新たにチーム6年目を迎えるリチャード・ライアン選手と共に、柳田真孝選手をチームに迎えました。柳田はGT500でシリーズ チャンピオンを2回、GT300でも2回のチャンピオンを獲得した、日本のトップドライバーの一人です。この2名でチーム一丸となってチャンピオンを目指します」とコメント。
一方、Team TAISAN SARDのチーム監督は野田英樹氏、ドライバーは山田真之亮選手、ジェイク・パーソン選手で挑む。チームオーナーの千葉泰常氏は、「ジェイク選手はGT元年となる1994年生まれ。オーストラリアのレース界の友人たちから推薦され、彼自身も日本のGTに憧れて来日しました。この人員でチーム一丸となってTeam TAISANは9度目のGT300のチャンピオンを目指して頑張ります」と語った。
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2017年も攻めるアウディスポーツ(4)
新開発のRS3LMSをスーパー耐久シリーズに投入
新たに開発されたアウディRS3LMSは、FIA公認のツーリングカー選手権TCRシリーズに準拠するレーシング マシンだ。開発はアウディR8LMSと同じくアウディスポーツによるもので、より幅広い層のモータースポーツファンがレースに参戦することが可能な仕様となっている。斎藤氏は、「空力重視のワイドアンドローなスタイルで330ps、410Nmを誇る4気筒2リッターTFSIエンジンに6段シーケンシャル ギアボックスを搭載しています。車両重量は1,160kgまで軽くしており、0-100km加速は4.5秒です」とその性能を説明。
実は昨年まで日本でこのマシンが参戦可能なカテゴリーがなかった。しかし、「今年はスーパー耐久シリーズを運営するスーパー耐久機構の理解と協力を得て、日本国内でも新設されたスーパー耐久ST-Rクラスにより、このマシンでの参戦が叶いました」と斎藤氏。これにより、「より多くのレーシングチームがこのアウディで日本のレース界で活躍してもらいたいと期待しています」と語る。
今年初めてとなるスーパー耐久ST-Rクラスに参戦するのは2チーム。「Audi Team Dream Drive」のチーム監督は澤田栄宏氏、ドライバーは田ヶ原章蔵選手、白坂卓也選手、竹田直人選手、奥村佳之選手。また、「バース レーシング プロジェクト(BRP)」はチーム監督兼ドライバーの奥村浩一選手、秋吉圭選手だ。
Audi Team Dream Driveの澤田監督は、「ST-Rクラスが新設されたことで結成された新しいチームですが、ドライバーやメカニックを含めたレースに関わる全てのスタッフは、プロフェッショナルばかりが集結しています。今週末いよいよ開幕戦で、チームもマシンの状態も上々の出来です」とコメント。
そして、バース レーシング プロジェクト(BRP)の奥村監督は、「1月に正式に参戦発表し、ドタバタでクルマの準備を進め、スタッフやドライバーも非常に苦労した2ヶ月でした。いよいよ今週末ツインリンクもてぎの開幕戦がスタートしますが、ライバルはDOMEが2台シビックをエントリーしているので、ホンダ勢。文字通りアウディとホンダの一騎打ちの戦いになるでしょう。チームアウディとして一丸となり2台で表彰台を独占できるように頑張ります」と意気込む。
最後に斎藤氏は、「アウディジャパンは今回紹介した各チームの健闘を祈ると共に、各チームの支援を通じて我々のこのスポーティなブランドをますます高めていきます」と語った。