マセラティ初のSUVいよいよ日本発売開始|Maserati
Maserati Levante |マセラティ レヴァンテ
マセラティ初のSUV、いよいよ日本発売開始
マセラティ ジャパンは5月10日、同ブランド初のSUVとなる「レヴァンテ」を日本で発表、発売を開始した。ラインナップは、3リッターV6ターボのガソリンエンジン搭載車が2モデルと、同じく3リッターV6ターボディーゼルが1モデル。ガソリンエンジンモデルのデリバリー開始は今年9月、ディーゼルエンジン搭載車については来春の予定だ。
Text by SAKURAI Kenichi
リーズナブルな価格もアドバンテージ
マセラティ初のSUVモデル、「レヴァンテ」は、今年3月のジュネーブ モーターショーでワールドプレミアされたばかりのホットモデル。すでに世界初公開時のレポートでも紹介したように100年以上の歴史を持つイタリアの老舗ブランド、マセラティが初めて開発したSUVであり、フラッグシップモデルの「クアトロポルテ」やミッドサイズのプレミアムセダン「ギブリ」、そしてスポーティな2ドアクーペ「グラントゥーリズモ」とそのオープン版となる「グランカブリオ」に続く第5の市販モデルラインナップである。
ジャパンプレミアのイベントで壇上に立ったマセラティ ジャパンの牧野一夫代表取締役社長は、「他のマセラティ モデルと同等のオンロードにおける走行性能と快適性を実現しながらも、SUVとしてこれまでのラインナップ以上となるオフロード走破性を実現。この二つの要素を合わせ持つニューモデルとしてレヴァンテは誕生しました。さらに(これまでになかった)もう一つの特徴として、日常の使い勝手をより向上させた最初のマセラティです」と「レヴァンテ」の特徴を語った。
「レヴァンテは、一般的にはSUVというカテゴリーに分類されます。しかし我々はここで新たなマセラティを造ったと自負しております。同時にそれは数値やスペックでは語りきれない、100年以上前にレースメーカーとして創業した当時から持ち続けている走りへの変わらぬ情熱と、そして常に美しいものを造り続けたいというこだわりを合わせ持っています。創業時から脈々と受け継がれている伝統を守り、さらに新しいマセラティを生み出したのです」と、牧野社長は同時にブランニューモデルへの期待感も表した。
「レヴァンテ」という名前は、地中海に吹く東風から取られたものだ。マセラティでは伝統的に風の名前を車名として使用している。例えば「ボーラ」や「カムシン」、「シャマル」などがそれで、現行モデルにある「ギブリ」もアフリカ大陸北部に吹く熱く乾いた風の名称を車名に用いている。
さらにレヴァンテは、前述のとおり地中海に吹く風であると同時に、ボローニャ地方にあるVia Emilia Levanteという、マセラティ兄弟ゆかりの土地にちなんだものでもあり、この二つの意味が込められているという。これは、こじつけかもしれないが、レヴァンテがスポーツカーの資質と、SUVの走破性という二つのキャラクターを合わせ持つところからきていると思いたくなる。
「レヴァンテはSUVの形をした、紛れもないマセラティ」と牧野社長が紹介するように、レヴァンテはギブリのシャシーをベースに開発したSUVでありながら、50:50の前後静止重量配分を持つスポーティなフロントエンジン4輪駆動のパワートレインレイアウトを採用した点が注目に値する。そのシャシーは、SUVセグメントでもっとも低い重心位置を確保することに寄与し、Cd値などの空気抵抗係数(Cx)もギブリと同じ0.31を実現したという。
つまりレヴァンテは、SUVのフォルムを持ちながらも、紛れもなくスポーティブランドを標榜するマセラティであり、ブランドの伝統を守る正当な後継車であるということだ。
Maserati Levante |マセラティ レヴァンテ
マセラティ初のSUV、いよいよ日本発売開始(2)
パワートレーンは3種類
マセラティであることを自ずと主張する流麗なフォルムは、内側に秘めた鍛え抜かれた筋肉質なアスリート体型=パフォーマンスを見事に覆い隠している。SUVにしては車高が低く設定されているためそうとは気づきにくいが、全長5,003×全幅1,968mmは、かのレンジローバーとほぼ同等の寸法。ホイールベースはレンジローバーよりもわずかに長い3,004mmに設定されている。つまり、車高によって錯覚してしまうものの、レヴァンテは日本の路上においてほぼフルサイズSUVと称していいサイズ感の持ち主なのだ。
フロントマスクは、マセラティ100周年記念モデルとした発表されたコンセプトカー、「アルフィエーリ」で採用された新しい意匠にインスピレーションを得たものであり、立体的な大型のラジエーターグリルや切れ長のヘッドライトにそれが現れている。今後マセラティは、このフロントグリルデザインをデザインキューに、他モデルにも順次波及させていくことになる。
フロントフェンダー横に設けられた3つのエアアウトレットや盛り上がったリアフェンダー、そしてその上にあるCピラーに設けられたサエッタのロゴマーク(エンブレム)、赤いレンズでホワイトのウインカーとバックライトのレンズを覆ったテールライトなど、マセラティをマセラティらしく見せるデザイン要素も、もれなく採用されている。
エンジンは、ガソリンが2タイプ、ディーゼルが1タイプの3機種。ガソリンエンジンは、最高出力350psと430psの3リッターV型6気筒DOHCツインターボエンジン、ディーゼルは275psの最高出力を発生させる3リッターV型6気筒DOHCターボエンジンと、全車でV6エンジンを採用。V8エンジンの用意はない。トランスミッションにはZF製8段ATを採用し、ノーマル/スポーツ/オフロード/ICEの4つのモードがセレクト可能、さらにそれぞれのモードでマニュアルとオートのバリエーションを選択できる。
もう一つ、マセラティ各車に共通する官能的なサウンドを発生させるエキゾーストシステムには、ニューマティック バイパス バルブを各バンクに搭載。ノーマルモードではキャビンは静粛性が保たれエンジン音も控えめにセッティングされるが、スポーツモードに切り替えると排気ガス流路が最短化され、エンジンパフォーマンスを100パーセント引き出すのと同時に、官能的ないかにもマセラティらしい咆哮がドライバーのスポーツ心を刺激するはずだ。
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ラグジュアリーなインテリア
注目の4輪駆動システムは、マセラティがインテリジェントフルタイム4WDと呼ぶ「Q4 AWDシステム」を採用した。これは基本、ギブリと同じパワートレインで、前後のトルク配分を路面や車速などによってコントロールするオンデマンド式。ドライバーはメーター内にあるトルク配分を示すインジケーターで常時モニタリングが可能だ。
さらにオフロード用としてヒルディセントコントロールや、車高を標準状態からプラス25mm、プラス40mmの2段階にリフトアップするスカイフックサスペンションも全車で標準装備。このスカイフックサスペンションは、オフロード側だけでなく、高速走行時にはローダウン側にマイナス20mmとマイナス35mmの2段階で車高を引き下げるほか、パーキング時には乗降をしやすくするためにマイナス45mmまで車高を引き下げ可能だ。オフロードではクリアランスを上げSUVとしての資質を高め、オンロード、特に高速走行ではまるでスポーツカーのような走りを実現する重要な役割を担う。
ちなみにスカイフックサスペンションは、高速側では90km/h程度までであればノーマルの車高、130km/hまではマイナス20 mm、185km/h以上でもっとも低いマイナス35mmに車高が自動的に下がるが、ドライバーの選択によって任意にセレクトできるようにもなっている。
インテリアは、マセラティの文法に則ったシンプルなデザインだが、上質な素材をふんだんに使用したもう一つの見せ場になる。ダッシュボードのセンターには、マセラティとしてははずせないアナログ時計が鎮座。マセラティのレースでの伝統をイメージさせるスポーティな専用シートや操作性を考慮したデザインのステアリングホイールに加え、カーボン素材を多用したスパルタンな印象を与える「スポーツパック」や、イタリアの上質なクラフツマンシップの伝統を取り入れた「ラグジュアリーパック」を用意している。
このラグジュアリーパックでは、「フルプレミアムレザー」のほか、イタリアのファッションブランド、エルメネジルド・ゼニアによる特注シルクと最高級イタリアンレザーを組み合わせた「ゼニア エディションインテリア」も選択が可能になっている。およそ知る限り、現行モデルでシルクをクルマに採用していのは、プレミアムブランド広しといえどもマセラティだけのはずだ。さらに、車外の空気環境を分析し有害物質が車内に入ることを防止する「エア クオリティー センサー」が全車に標準装備されているのも、ラグジュアリーブランドのSUVモデルらしい装備と紹介できるだろう。
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最新のインフォテイメントを搭載
こうしたクラシカルなイタリアンラグジュアリーを体現するレヴァンテでは、その対極に位置するインフォテイメントシステムも充実、最新システムを装備している。ダッシュボードの中央に位置する8.4インチ「マセラティ タッチコントロールプラス(MTC PLUS)」システムは、日本市場においてイタリア車として初めて「Android Auto」と「Apple CarPlay」の両方に対応。スマホ感覚でオーディオやエアコン、ナビゲーションシステム、スマートフォン経由の電話の機能をコントロール可能だ。
さらに「MTC PLUS」では、フロントシートヒーター、エアコン、ステアリングヒーター、グローブボックスロック、オプションのリアウィンドウブラインドの操作もコントロール可能。「Apple CarPlay」では、ドライバーが運転中にiPhoneで操作したいことをタッチスクリーンのほか、センターコンソール上に設けられたロータリーコントロール、Siri パーソナルアシスタントの音声コマンドを使用して実行することもできる。
価格は350psの「レヴァンテ」が1,080万円、430psの「レヴァンテS」が1,279万円という設定で、ともに左ハンドルのみの導入。ディーゼルは右ハンドルのみの設定で来春発売とされ、価格は未定だ。
ガソリンエンジンを搭載する両モデルのデリバリー開始は前述のとおり9月を予定しているが、実車のデリバリーに先駆け、8月1までの期間でレヴァンテをいち早く展示する「マセラティ レヴァンテ ディーラーロードショー」と題したイベントも正規ディーラーで開催される予定だ。
マセラティ コールセンター
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