もっともコンパクトなQシリーズ「Q2」誕生|Audi
Audi Q2|アウディ Q2
最もコンパクトなQシリーズ「Q2」誕生
「Q3」「Q5」「Q7」と、CセグメントからLセグメントまでSUVをラインナップするアウディに、エントリーモデルに位置するもっともコンパクトなSUV「Q2」が誕生、ジュネーブ モーターショーで発表された。4.2メートルを切るコンパクトなボディサイズと、前後のオーバーハングが極端に短いマッシブでスポーティなエクステリアデザインが注目ポイントの末っ子である。
Text by SAKURAI Kenichi
Q3よりひとまわり小さなサイズ
与えられた「Q2」というネーミングからも分かるように、ジュネーブ モーターショーでお披露目されたこのニューモデルは、アウディのSUVラインナップでもっとも小さなボディサイズを持つ、いわばエントリーSUVモデルという位置づけだ。すでにアウディはCセグメントモデルに相当する「Q3」、Dセグメントモデルの「Q5」そしてポルシェ「カイエン」との関係性が深いLセグメントモデルの「Q7」をラインナップしている。Q2は、そこに新たに加わった第4のSUVということになる。
もっとも注目すべきボディサイズは全長4,191×全幅1,794×全高1,508mmで、ホイールベースは2,601mmになる。参考までにQ3の本国値サイズは全長4,388×全幅1,831×全高1,608 mmで、ホイールベースは2,603 mmなので、ひとまわり小さなサイズだ。
Bセグメントというには大きく、どちらかといえばCセグメントに近いサイズなのでカテゴライズを断言するには微妙だが、排気量1.0リッターの直列3気筒エンジンをラインナップすることもあって、BセグSUVと紹介しても間違いにはならないだろう。ちなみにQ2のホイールベースは、日本未導入の2ドアハッチバックの「A3」と同じで、A3の車高を90mm程度上げたサイズ感と考えるのが、Q2の大きさを表現するのにはふさわしいかもしれない。
アウディのSUVらしい都会的でありながら力強い印象をもたらすアピアランスは、極端に縮められた前後のオーバーハングが特徴的だ。スポーツカーと同様にSUVでもオーバーハングを切り詰めたボディデザインは、躍動感や速さなどスポーティなルックスを表現するのと同時に、段差の乗り越えやアプローチ&デパーチャーアングルの向上はもちろんのこと、ガレ場を低速で走行する際にも見切りが良く、オフロードパフォーマンスを大きく引き上げることに結びつく。
Q2のオーバーハングを数値でいえば、前輪車軸からボディ先端までの長さは828mm、後輪車軸からボディ後端までは726mmになる。これはQ3のそれぞれ905mm、880mmと比較して、かなり小さな数値であることが分かる。Q2を数値以上にコンパクトに見せる視覚的要因であるいっぽうで、オフロードでの実力も大いに期待できる。
Audi Q2|アウディ Q2
最もコンパクトなQシリーズ「Q2」誕生 (2)
ゆとりある室内寸法
いかにもアウディといった大型のフロントグリルにLEDのポジションライトを内蔵したヘッドライト、ボディパネルとウィンドウが2:1の比率となるデザインは従来の「Qシリーズ」や「Aシリーズ」に通じるパートだが、フロントグリル下に設けられたアンダーガード風ディフューザーや上下を絞り込んだボディサイドパネルの多角形デザイン、Cピラーのカラーオフセットブレード、コンパクトなスクエア形状となったテールライトなどは、これまでのシリーズとは異なる新しい意匠といえる。単なる「一番小さなQシリーズ」とせずに、SUVモデルでも時代に合わせデザインを進化をさせていることが理解できるはずだ。
インテリアは「A1」から多くのデザインと装備を引き継いでいる。ダッシュボードやステアリングホイールは基本的にA1に共通するデザインだが、MMI(マルチメディアインターフェイス)のコントローラーを擁するセンターコンソール部分の基本レイアウトは、A3に準ずるパートである。
最新のアウディ各車でお馴染みのスピードメーターとタコメーターのアナログ表示とインフォテインメントやナビを切り替え表示可能な12.3インチスクリーンを備えたバーチャルコックピット、車両情報をフロントガラスに映し出すヘッドアップディスプレイも標準装備されている。
キャビンスペースは、2,601mmのホイールベースからも分かるように、A1よりはかなり広く、A3(欧州仕様の2ドア)と同等レベルの広さを確保している。コンパクトに見えるボディから想像するよりは、ゆとりある室内を持っている。荷室は、405リッターの容量を確保。リアシートを折り畳めば、最大1,050リッターにまで容量を拡大でき、オプションでで、パワーテールゲート3分割式の後席シートバックが設定されている。トランクスルー機能を備えたシートバックの中央部分を倒せば、スキーなどの長尺物も収容可能だ。
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最もコンパクトなQシリーズ「Q2」誕生 (3)
まずは欧州で今年秋に発売予定
エンジンはガソリンが3機種、ディーゼルが3機種の合計6タイプを用意。ガソリンエンジンは、最高出力85kW(116ps)を発生する直列3気筒の1.0 TFSI、最高出力110kW(150ps)の気筒休止システム(COD=シリンダーオンデマンド)を備えた直列4気筒の1.4 TFSI、最高出力140kW(190ps)を発生する直列4気筒の2.0 TFSIの3タイプになる。
いっぽうディーゼルは、最高出力85kW(116ps)の直列4気筒1.6 TDI 、最高出力110kW(150ps)、最高出力140kW(190ps)の2.0 TDIの3タイプで、トランスミッションは6段マニュアルまたは7段のSトロニック(デュアルクラッチ トランスミッション)が組み合わせられる。直列3気筒の1.0 TFSIを搭載したモデルでは、車両重量が1,205kgと軽量。Cd値は0.30とSUVにしてはかなり良好で、軽量ボディとこの空力の良さは、燃費の向上やスポーティなハンドリングに貢献しているとアウディは説明する。
最高出力140kW(190ps)の2.0TFSIと最高出力110kW(150ps)と140kW(190ps)の2.0 TDI搭載車はクワトロ(フルタイム4WD)が標準装備、他は前輪駆動になる。アウディ ドライブセレクト搭載車では、「オート/コンフォート/ダイナミック/エフィシェンシー」の4つの走行モードを選択でき、さらに「MMIシステム」を装備すると「インディビジュアル」が走行モードに加わる。ESCにはSUVモデルらしく「オフロードモード」が加わっており、雪道やガレ場の走行をサポートする。
さらにアウディの上級モデルと同様に、Q2にもドライバーアシスタンスシステムの多くを採用。例えば、レーダーを用いて車両前方を横切る歩行者や他の車両をモニタリングし、ドライバーに警告、必要に応じて緊急ブレーキも作動させる。また、オプションではあるものの(欧州仕様車)、ACC(アダプティブ クルーズ コントロール)は、トラフィックジャム アシスト付アダプティブ クルーズ コントロールに進化。超音波センサーとフロントカメラを搭載し、一般的な舗装路であれば、65km/h以下の比較的低速で走行中、アクセル操作だけでなくステアリング操作も行うという。縦列駐車は車庫入れを行う最新世代のパークアシストや、駐車スペースからバックで出る際に他車の走行を感知するリアクロストラフィックアシストも装備する。
欧州では今秋よりデリバリーを開始する予定のQ2。生産は他のアウディ車同様、インゴルシュタットの本社工場で行われる。狭い日本の道でも使いやすいサイズ感とアウディならではのデザインやクオリティは日本の輸入車ユーザーも注目するはずで、大ヒットの予感は大。いち早い導入を期待したい。