マイナーチェンジした新型アウディQ3に試乗|Audi
CAR / IMPRESSION
2015年5月26日

マイナーチェンジした新型アウディQ3に試乗|Audi

Audi Q3|アウディ Q3

マイナーチェンジした新型アウディQ3に試乗

新デザインのシングルフレームグリルや、流れるように点滅するインジケーター式のLEDリアライトの採用、またパワーアップを図りながらより省燃費になったエンジンなど、内外にリファインを受けたアウディ「Q3」。横浜で試乗した河村康彦氏がリポートする。

Text by KAWAMURA YasuhikoPhotographs by MOCHIZUKI Hirohiko

日本にマッチするQ3のサイズ感

2011年春の上海モーターショーで発表され、およそ1年後には日本でも発売――そんなデビューシーンを飾ったアウディ「Q3」が、モデルライフ途中のリファインを受けて、再度日本へと上陸した。

2005年に登場した「Q7」に始まったアウディのSUVラインナップは、その後「Q5」、そしてここに紹介の「Q3」へ“下方展開”がおこなわれてきた。まるで小山のように巨大なQ7はもとより、全幅が1.9メートルに達するQ5でも「まだ大き過ぎる」という人にとって、4,400×1,830mmという全長×全幅で、いわゆる“コンパクトSUV”の範疇に入るQ3は、日本ではまずそうしたサイズ感から、多くの人の目に魅力的と映る可能性は高いだろう。

Audi Q3|アウディ Q3

Audi Q3|アウディ Q3

独創の5気筒エンジンを搭載するホッテストバージョンである「RS Q3」を含め、リファインがおこなわれた新型Q3シリーズが共通して採用するルックス上の特徴は、六角形の表現がより明確にされると同時に“目尻”部分がヘッドライトユニットへと繋がった新造形のフロントグリルや、あらたなグラフィックを用いたリアのコンビネーションランプ、やはり新デザインが採用された前後のバンパーなど。

独特の輝きで非点灯時でも斬新さをアピールするフルLED式のヘッドライトは、RS Q3には標準採用で、それ以外のグレードではオプション設定。ちなみに、このところのアウディ車が率先して流行を仕掛ける、流れるように点滅する「ダイナミック ターンインジケーター」は、Q3シリーズの場合はリアのみへの採用。RS Q3には標準で、それ以外では前出ヘッドライトと共に、「LEDパッケージ」としてのオプション設定の扱いとなる。

今回テストドライブをおこなったのは、ターボ付きの直噴2リッター4気筒というエンジンの基本デザインは不変ながらも、従来型に対してパワーとトルクの双方をアップさせつつ、やはり従来と同様の7段DCTと組み合わせながら燃費データも向上させた「2.0 TFSIクワトロ」グレードである。

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マイナーチェンジした新型アウディQ3に試乗 (2)

プレミアム感溢れるインテリア

興味深いことに、そんなおなじグレード名を謳うバージョンには、最高出力が220psを発するものと、180psに留められたもののふたつの仕様を設定。今回の取材車はナビゲーションシステムやリアビューカメラがオプション化をされた上でちょうど70万円低い469万円のプライスタグが与えられた後者となる。 

もっとも、その上で専用デザインのバンパーやスポーツサスペンション、18インチのシューズなどから成る「Sライン パッケージ」や前述の「LEDパッケージ」、さらには、BOSE製オーディオやナビゲーションシステムなど、124万円相当分のオプションをあらたにくわえたものが今回の個体。結果、その総額は593万円となっていた。

Audi Q3|アウディ Q3

Audi Q3|アウディ Q3

オプションの白色、「グレイシア ホワイトメタリック」に彩られたテスト車のスタイリングが、そうした600万円に迫ろうという価格を彷彿とさせるものであるか否かは、率直なところ見る人の価値観による部分が大きそう。いっぽうで、そのインテリアがいかにも高質でプレミアム感溢れるものである、という意見には、恐らく“満場一致”を見るはずだ。

実際、そうした見た目の質感の高さからイメージされる期待値の通りに、手に触れる部分の触感やスイッチ類の操作感は素晴らしいもの。もう一点、プレミアムブランドを自称する昨今のモデルのいくつかが、その先進性をアピールすべく安易にタッチ式のスイッチ類を採用するのに対して、アウディ各車はほぼ全ての部分に“物理スイッチ”を採用し続ける点にも好印象が抱ける。

もちろん、新型Q3シリーズの場合もそれは例外ではではない。物理スイッチそのものは旧来から存在するアイテムだけに、例えば“スマホ世代”の人にとってみれば、あるいはそれは「古臭い」という印象で受け取られる可能性もありそう。

けれども、安全走行のためにはまず前方注視が欠かせない自動車の場合、慣れればある程度“手探り”でも操作が可能な物理スイッチ式と、慣れても目視が不可欠なタッチ式とでは、前者がより理に適ったデザインであることはもはや明らかであるはずだ。

Audi Q3|アウディ Q3

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マイナーチェンジした新型アウディQ3に試乗 (3)

180psでも力強く伸び続ける加速

従来型比で10psと40Nm増しが謳われる心臓に火を入れてスタート。アクセル操作に対してダイレクト感溢れる加速感がまずは小気味良い。こうした部分は、事実上変速ショックが皆無であるいっぽうで、MT同様の高い伝達効率を実現させながら“電光石火”の素早さで変速がおこなえるDCTならではの好印象だ。

いっぽうで、滑らかな動きを求めて優しいアクセルワークを心掛けても、蹴り出しの瞬間を含めた微低速シーンでは、鋭い加減速Gが立ち上がりがちで、その挙動はトルコン式のステップATよりもやはりやや神経質な印象。このあたりは、人によって好みがわかれそうな部分。もっとも、あえてSライン パッケージを選択するようなアクティブなユーザーには、恐らく問題なく受け入れて貰えそうなテイストではある。

Audi Q3|アウディ Q3

Audi Q3|アウディ Q3

先に述べたとおりに、おなじ「2.0 TFSI」でも“ローパワー”仕様となる今回のテスト車だが、現実にはアクセルペダルを深く踏み込めばアンダーパワー感はない――どころか、力強く伸び続けるその車速に、積極的に「速い!」という印象が得られるのが、その実力だ。

すでに1,400rpmで最大トルクを発揮するというデータの通り、低回転域でもトルク感は太く、結果としてパーシャルスロットル域ではDCTが高めのギアを選択し続ける。それゆえエンジン回転数が低く抑えられることもあって、静粛性にも長けているのが特徴。このあたりも、Q3というのが“プレミアムなSUV”であることを、その乗り味から強調するポイントだ。

今回は、テストドライブの舞台が横浜の市街地周辺に限られた。そうしたシーンの中では、という注釈付きにはなるものの、少々気になったのは意外にハードなそのフットワークのテイスト。

Audi Q3|アウディ Q3

そこではもちろん今回の取材車が、標準プラス1インチとなる18インチ シューズを、より強化されたスポーツサスペンションに組み合わせる「Sライン パッケージ」仕様であったことも影響しているにちがいない。

例えば、箱根のワインディングロードにでも持ち込めば、走りの好印象は大きく向上した可能性も考えられる。

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マイナーチェンジした新型アウディQ3に試乗 (4)

実用性プラス、自慢したくなる1台

かくして、もちろん実用性も大事だけれど、どうせ買うなら他人にもちょっと自慢したくなる1台を――と、そうした事を考えた時に、なかなか適性の高そうなSUVがこのQ3。

FWDベースのシャシーに大径シューズを組み合わせることもあってか、5.7メートルという少々大きめの最小回転半径はちょっと残念。

が、それを除けばボディのサイズは日本でもなかなか手頃な印象だし、もちろん大人4人が相当量の荷物を持ち込みつつ長時間を過ごすのも苦もない事柄。

日本発のモデルも含めて、今やこのカテゴリーもなかなかの激戦区。そうした中にあっても外すことのできない1台が、Q3というモデルであるのはまちがいない。

Audi Q3|アウディ Q3

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Audi Q3 2.0 TFSI Quattro 180PS

アウディ Q3 2.0 TFSIクワトロ 108PS
ボディサイズ|全長 4,400 × 全幅 1,830 × 全高 1,575(Sライン) 1,595(ナビ装着車)mm
ホイールベース|2,605 mm
トレッド 前/後|1,570 / 1,575 mm
重量|1,620 kg
エンジン|1,984 cc 直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボ
ボア×ストローク|82.5 × 92.8 mm
圧縮比|9.6 : 1
最高出力| 132 kW(180 ps)/ 4,000 - 6,200 rpm
最大トルク|320 Nm(32.6 kgm)/ 1,400 - 3,900 rpm
トランスミッション|7段Sトロニック
駆動方式|4WD
サスペンション 前|マクファーソンストラット
サスペンション 後|ダブルウィッシュボーン
ブレーキ 前|ベンチレーテッドディスク
ブレーキ 後|ディスク
タイヤ 前/後|235/55 R17
燃費(JC08モード)|15.0 km/ℓ
CO2排出量|155 g/km
トランク容量|460 ℓ
価格│469万円

アウディ コミュニケーションセンター
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