新世代フェイスの4ドアクーペ「スポーツ コンセプト クーペ」|Volkswagen
Volkswagen Sport Concept Coupe GTE
フォルクスワーゲン スポーツ コンセプト クーペ GTE
新世代フェイスの4ドアクーペ「スポーツ コンセプト クーペ」
フォルクスワーゲンは、開催中のジュネーブモーターショーにおいて、プラグインハイブリッドを搭載した4ドアクーペのコンセプトモデル「スポーツ コンセプト クーペ GTE」を発表した。そのパワートレーンとともに、これまでのフォルクスワーゲンのフロントデザインをかえる、新世代フェイスの披露でもある。
Text by HORIGUCHI Yoshihiro(OPENERS)
CCよりもすこし上のポジショニング
スイスで開催中のジュネーブモーターショーにおいて、フォルクスワーゲンはコンセプトモデル「スポーツ コンセプト クーペ GTE」を発表した。4ドアクーペというスタイルに、新世代のフェイスデザインをまとい、プラグインハイブリッドを搭載した、ちかい将来の市販化も見据えたコンセプトカーだ。
スポーツ コンセプト クーペ GTEのボディサイズは、全長4,870×全幅1,865×全高1,407mm。7世代目「ゴルフ」で注目を集めたモジュラープラットフォーム“MQB”を利用しており、前後オーバーハングを切り詰めることでホイールベースを2,841mmまで延長し、高いスペース効率を確保した。
フォルクスワーゲンの4ドアクーペとしては、先代「パサート」ファミリーから派生し独立したネームをあたえられた「CC」が存在する。こちらの現行モデルは全長4,815×全幅1,855×全高1,425mm、ホイールベース2,710mmというサイズ。スペース コンセプト クーペ GTEのほうがわずかに大きく、このサイズ感もふくめて、フォルクスワーゲンでは「CCよりもすこし上のポジショニングのモデル」と説明する。
名前に“GTE”が付くとおり、「ゴルフ GTE」「パサート GTE」とおなじく、プラグイン ハイブリッド機構をそなえる。ガソリンエンジンは、最高出力220kW(299ps)、最大トルク500Nmを発揮する3.0リッターV型6気筒ターボ。これに、センタートンネル内に備わるリチウムイオン バッテリーをパワーソースとして動く2基のモーターがアシストする。
このうち1基のモーターは6段DSGトランスミッションと一体化した出力40kWのもの。もう1基はリアに搭載される出力85kWのモーターで、こちらは必要に応じて後輪を駆動させる。車両自体は四輪駆動とされるが、前後軸はプロペラシャフトで繋がっておらず、前はガソリン+モーターで、後輪はモーターのみで動かすことになり、フォルクスワーゲンはこれを「エレクトリック プロペラシャフト」と呼んでいる。
2基のモーターとV6エンジンをフルパワーで稼働させたときの総合出力は279kW(380ps)に達し、最高速度250km/h、0-100km/h加速は5.0秒という性能を発揮する。いっぽうで、燃費は2.0ℓ/100km(およそ50km/ℓ)で、フル充電であればピュア電気自動車として最長50kmの距離を走行することが可能。ガソリンも併用すると、その航続距離は1,200km以上にもおよぶという。
Volkswagen Sport Concept Coupe GTE
フォルクスワーゲン スポーツ コンセプト クーペ GTE
新世代フェイスの4ドアクーペ「スポーツ コンセプト クーペ」 (2)
組み合わせで3つの動作モード
スポーツ コンセプト クーペ GTEには状況に応じて3つの走行モードから選択が可能だ。
もっとも一般的に使われる「ハイブリッド」モードは、V6エンジンと電気モーターを必要に応じて切り替え走行する。減速時はバッテリーの状態により振る舞いがことなり、充電が不足しているさいには減速エネルギーをモーターで回生し充電するとともに、エンジンは休止させ燃料の無駄を省く。バッテリーが満充電であれば、アクセルを離したさいにモーターやエンジンを休止させたうえでトランスミッションと切り離し、惰性で進むコースティングモードが、全体の省燃費に貢献する。
もうひとつはピュアEVとして動く「Eモード」。出力85kWのリアモーターのみで走行し、10.7kWhのバッテリーが満充電であれば最長50kmまで移動することができる。また途中で電力が不足するとV6エンジンが作動しフロントモーターを発電機としてもちい、充電しながら走行をつづけることになる。
残るひとつはもっともスポーティな「GTEモード」で、ガソリンエンジンとモーターを活用し、最大限のパワーとトルクを得ることができる。あわせて、アクセルペダルの感度やシフトプログラム、ステアリングの反応も変更され、よりスポーティな走行が楽しめる。
これらの走行モードと並行して用意されるのが「バッテリーチャージ」「バッテリーホールド」機能で、のちにEモード(電気自動車)で走行したいときに、現在のバッテリー残量を保持する(ホールド)もしくは充電のみをおこなう(チャージ)よう指定できる。
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フォルクスワーゲン スポーツ コンセプト クーペ GTE
新世代フェイスの4ドアクーペ「スポーツ コンセプト クーペ」 (3)
運転を楽しむためのナビゲーションシステム
スポーツ コンセプト クーペ GTEは、フロントに新世代のフォルクスワーゲンの意匠をまとう。もっとも目に付くのは横方向のグリルの上部2本がそのままヘッドライトを仕切るラインになり一体となっている点。このアルミ製の仕切りは、LEDが組み込まれ、デイタイムランニングライトとして機能する。このうち内側のほうは色を変えてウィンカーとしての役割も果たす。
残る4本のフロントグリルは、下にゆくにつれて薄くなっており、視覚的にフェードすることでボンネットからつづくV字のラインを強調している。バンパー下部の両サイドにあるコの字LEDは、ゴルフGTEやパサートGTEと同様、フォルクスワーゲンのPHEVモデルをあらわすデイタイムランニングライトとなっている。
内装では、12.3インチの液晶パネルに描かれるインストルメンタルパネル「アクティブ インフォ ディスプレイ」を採用。基本は2眼のメーター表示だが、モードや設定によって必要な情報に変更される。また、フォルクスワーゲンが特許をもつ技術により、3Dビジュアルエフェクトもくみこまれている。
センターコンソールには10.1インチのタッチスクリーン式インフォテイメントシステムを設置。後席向けには、メディア コントロール インターフェースとしてセンタートンネル上に12.3インチのタッチ式ディスプレイをそなえ、再生は前席シート背面の10.1ディスプレイでおこなわれる。
搭載されるナビゲーションは非常にユニークで、ドライバーの生理的データをスマートウォッチやアームバンドなどを介して車載コンピューターと連携し、その日の体調に応じてルートを選択してくれるというもの。たとえば、意欲的な場合にはワインディングを含むエキサイティングなコースを、静かな雰囲気のときには安寧な道を選ぶという。
つまり、このナビゲーションにとって、目的地までの距離や時間はセカンドファクターであって、優先するのはそのときのドライバーがもっとも運転を楽しめるルートとなっている。もちろん、交通情報や天候などにくわえて、自車のコンディションや装備状況、さらに、現地を走行している車両から路面状況について匿名のデータを受け、それらもすべて考慮にいれて候補が出されるという。
フォルクスワーゲン ブランドのデザインチーフであるクラウス ビショフ氏は「スポーツクーペ コンセプト GTEは、デザイン面でのチャレンジとして、あらたなマイルストーンになるものです。開発は最初から最後まであたらしいアイデアとの格闘でした。その結果として、ひとつの指針を見出しました。このコンセプトカーを通じて、フォルクスワーゲンは、たんにあたらしいクルマのデザインを披露したいのではなく、あたらしいデザインの時代のはじまりを予告しているのです」と語った。