革新を表現するデザインプレビューの第3弾

大胆なフロントグリルとシャープなブーメランデザインのヘッドライトなどが特徴的なフロントフェイスからもわかるように、「スポーツ セダン コンセプト」は2013年のデトロイト モーターショーで発表されたコンセプトカー「レゾナンス」や、それにつづくかたちで上海モーターショーにて公開されたコンセプトカー「ブレンド ミー」につづくデザインプレビューの第3弾である。日産のあたらしいデザイン言語を使用した、新世代への移行と日産デザインの進化を示すものだ。

これらコンセプトカーは、斬新なVモーションのフロントフェイスとフローティングルーフ、ブーメラン形状のヘッドランプとリアコンビネーションランプという、将来のすべての日産モデルに適用される特徴的なデザインをあわせもっている。

日産は「この3台のコンセプトカーに具現化されているデザインは、今後、日産車のセダンからクロスオーバーまで、さまざまなボディタイプのクルマに採用していく」と公式にコメント。あらたなデザインの方向性が、3台の連作で具体的にしめされている。

日産の常務執行役員、中村史郎チーフ クリエイティブ オフィサーは、「この『スポーツ セダン コンセプト』は、エモーショナルでエネルギッシュなデザインのあたらしい方向性をしめすもので、スポーツカーデザインの本質をセダンのデザインに適用する、という日産独自のアプローチをあらたな次元へと進化させています。この『スポーツ セダン コンセプト』は、まさにその本質を捉えたもので、大胆でエキサイティングなスポーツカーらしいデザインとプロポーションを実現しています。」と、コメントしている。

コンセプトカー「レゾナンス」は、次期「ムラーノ」のデザインを、そしてこのスポーティなスタイルを強調したデザインスタディ「スポーツセダンコンセプト」は、次期「マキシマ」でとの見方が有力で、これらのデザインをベースにして開発された市販車は、どちらもそれぞれのカテゴリーでエネルギッシュな存在感を主張する、注目のモデルとなりそうだ。

ブーメランをモチーフとした前後のライトデザインは、これほど大胆ではないものの、すでに市販車の日産「バーサ」（日本名「ノート」）や「アルティマ」、「マキシマ」などにも採用されており、日産ブランドを認知させる意匠として進化していくとおもわれる。

北米市場のフラッグシップとして注目度は高い

「スポーツ セダン コンセプト」のエクステリアは、大胆なクロームグリルからエンジンフードへとつづくアグレッシブな「Vモーション」デザインによる力強さと、ブーメラン形状の大型LEDヘッドランプなどにより立体的なデザインを表現。四隅に張り出したホイールアーチは、275/30R21サイズのタイヤをおさめる。

ルーフは、Cピラーのなかばで途切れるユニークな「フローティングルーフ」形状を採用。これが高めに設定されたリアデッキへと連なる。リアエンドには、フロント ヘッドライトと呼応するデザインを採用した、ブーメランがモチーフのテールライトを装備している。

インテリアはまだコンセプトカーの域を出ないが、ドライバー側を向いたセンターコンソールやキルティングのシート、ステッチを強調したセンターコンソールなど、市販車へのヒントが隠されている。エクステリア同様、立体的な造形とデザインがこちらでも確認できる。コントラストを強調したインテリアのカラーリングや、多面体のメタリック加飾もインテリアの特徴のひとつであるという。

公開された「スポーツ セダン コンセプト」は前輪駆動で、3.5リッターのV6エンジンとスポーツチュニングされた日産独自のエクストロニックCVT（無段変速機）を搭載。最高出力は300psを超えると公表された。また、パフォーマンスダンパーを備えた先進的なサスペンション レイアウトも採用されている。

北米の日産ブランドではフラッグシップモデルとなるだけに（インフィニティをのぞく）、マキシマの注目度は高い。実際ユーザーも多く、フリーウェイを走っていても、その姿を数多く見かける。これまで保守的だったこのクラスのセダンを購入する層に、この大胆なデザイン改革はどう映るのか。市販車の登場はもちろんのこと、プラットフォームを共用化する「セントラ」や「アルティマ」の今後の変身もいまから気になるところである。