パリ現地リポート|INFINITI
INFINITI|インフイニティ
EVのコンセプトカーをヨーロッパ初出展
インフィニティは、同ブランド初のEVとなる「LEコンセプト」をパリモーターショーに出展、ヨーロッパでの初公開を果たした。
Text by SHIMASHITA YasuhisaPhotographs by MOCHIZUKI Hirohiko
市販前提の現実的なコンセプト
インフィニティがパリサロンに出展した「LEコンセプト」は、単なるショーカーではなく市販化を見据えたEVセダンのプロポーザルだ。
すでに4月のニューヨークモーターショーにて発表されているが、ヨーロッパでは初披露となる。ルノーの影響力もあり、EVへの補助金が充実しているパリが、その舞台にえらばれたのは納得というところだ。Cd値0.25という優れた空力性能を持つセダンボディには、日産「リーフ」のシステムをベースにしたパワートレインが搭載される。
最高出力はリーフの80kW(107ps)から100kW(134ps)に向上。容量24kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離は160kmとなる。充電用のプラグがそなわらず、非接触充電システムが搭載されているのも特徴である。
この「LEコンセプト」、2014年には市販にうつされるとアナウンスされている。もちろん非接触充電などはまだ実用化されないとおもわれるが、ともあれ「リーフ」が失速気味の現状、あるいはアメリカでの「テスラ モデルS」の好調な滑りだしなど状況は複雑なだけに、このプレミアムセグメントでどれだけEVが通用するのかは興味深いところではないだろうか。
出展にかんしては、目新しいところはこのぐらいだったインフィニティ。しかし注目のニュースとして、ダイムラー、ルノー、日産の3社で4気筒ガソリン直噴ターボエンジンを共同開発するという発表があった。開発はダイムラーとルノーが主体となる。また、ダイムラー主導で開発が進められている新型トランスミッションにかんしても、その技術の使用が日産に許諾されたという。具体的にはジャトコのメキシコ工場が、それを土台とするトランスミッションを生産し、日産とインフィニティのモデルに使うということである。
すでにこの3社の共同開発体制は相当にすすんでおり、たとえば近々登場する予定の「インフィニティG」、つまり日産「スカイライン」は、パワートレインなど多くの部分をメルセデス・ベンツと共用すると言われている。意外やこの協業、ダイムラーが一番積極的に見える感もあり面白い。
内燃機関については大胆に共同開発の比重を増やし、自らのリソースはEVへと振り分ける。日産、インフィニティの今後の展開、ちょっと面白いことになりそうだ。