マクラーレン「P1」がワールドプレミア|McLaren
McLaren P1|マクラーレン P1
マクラーレン「P1」がワールドプレミア
パリモーターショー開幕前から高い注目を集めていたマクラーレン・オートモーティブのコンセプトモデル「P1」がついに公開された。歴史的名車「マクラーレンF1」の再来となるか──
Text by AKIZUKI Shinichiro(OPENERS)
ダウンフォース量はMP4-12Cの約5倍
今回のパリがモーターショー初出展となるマクラーレン・オートモーティブは、次世代スーパースポーツカーのコンセプトモデル「P1」とともに会場にその姿を表した。「マクラーレンF1」「MP4-12C」「MP4-12Cスパイダー」につづく、ロードモデルとして発表されたこのP1は、これまでマクラーレンがサーキットの現場でつちかってきた先進のテクノロジーをロードカーへフィードバックし、世界最高水準のドライバーエクスペリエンスを与えるために開発された。
この斬新なスタイリングが生み出された源は、F1マシンの開発と同様に風洞実験と高度な流体シュミレーションであり、空力パーツが大胆にレイアウトされたボディ形状はかなり複雑だ。
なかでも、もっとも特徴的なのがリヤに備わる大型のウイングだ。最適なダウンフォースを得るため、その動きはオートコントロールとされ、上方へ最大300mm、後方へ最大120mm、翼のピッチは最大29度まで可動する。ダブルウイングの採用はもちろん、動作システム、ソフトウエアともにF1テクノロジー由来のものだ。その結果生み出される600kgというダウンフォース量は、マクラーレンのサーキット専用マシン「12C GT3」とほぼおなじで、ロードモデルのMP4-12Cの約5倍にも及ぶ。
またP1は、2011年のF1-GPから装着され話題となったDRS(ドラッグリダクションシステム:空気抵抗低減装置)も装備する。F1マシン同様にリヤウイングを変形させることでクルマへのダウンフォースを一時的に減らし、ストレートでの速度を増すことが可能だ。
パワートレインやそのスペックにかんして、詳細はほとんど発表されなかったが、パワーウエイトレシオはMP4-12Cの2.14kg/ps(468ps/t)にたいし、1.67kg/ps(600ps/t)以上へと大幅なアップデートがおこなわれているという。
そんな強大なパフォーマンスをもつP1だが、マクラーレンの開発陣は「ただのロードゴーイングマシンに仕立てるのではなく、街中でも自然で快適な走行が可能なスポーツカーでなければならない」と息を巻く。サーキットマシンに準ずる性能にコンフォートな足まわりをくわえるというのは、一見背反する考えのようにもおもえるが、先日試乗したMP4-12Cのパフォーマンスを察するに、その実現性はかなり高いといえるだろう。