新型ホンダ フィットのe:HEVとガソリンモデルに試乗|Honda
CAR / IMPRESSION
2020年6月30日

新型ホンダ フィットのe:HEVとガソリンモデルに試乗|Honda

Honda FIT HOME|ホンダ フィット ホーム

Honda FIT e:HEV NESS|ホンダ フィット イーエイチイーブイ ネス

新型ホンダ フィットのe:HEVとガソリンモデルに試乗

2020年2月にデビューしたばかりのホンダのコンパクトハッチバックモデル「フィット」。4代目へと進化した新型は、従来からの性能や機能のほか、数値では表せない価値である「心地よい視界」「座り心地」「乗り心地」「使い心地」という4つの心地よさにこだわって開発したという。パワーユニットは、1.3リッターガソリンと、ホンダ独自の2モーターハイブリッドシステム「e:HEV(イーエイチイーブイ)」の2種類。さらに装備・仕様に応じて「ベーシック」「ホーム」「ネス」「リュクス」「クロスター」という5つのボディタイプから選択できるので、組み合わせの数は相当なものになる。今回は、ガソリンエンジンの「ホーム」とe:HEVの「ネス」を150kmにわたって試乗し、4つの心地よさを確かめてみた。

Text by HARA Akira

生活に馴染むガソリンモデル「ホーム」

1.3リッター直列4気筒ガソリンエンジンを搭載する「ホーム」は、「生活に馴染むデザインと快適性を備えた」と謳うヤングファミリー向けのモデルだ。
試乗車は、ミッドナイトブルービーム・メタリックのボディにシルバーのルーフを組み合わせた2トーンで、今までにない新鮮な色使いを採用している。独特のライト形状から“イヌ”を思わせるフロントデザインは、ごちゃごちゃとしたラインと強面の表情が多かったホンダの従来モデルから一歩脱した感じで、見る人をちょっと微笑ませてくれるようでなかなか良い。
インテリアは、三角窓形状の細いピラーを持つフロントガラス越しに見る景色が広大で、初代シビックを想起させる水平・直線基調のダッシュボードと2スポークステアリングの組み合わせ、シンプルで各情報が認識しやすい台形のバイザーレスメーターなどによって、「心地よい視界」が確保されている。
触り心地の良いプライムスムースの表皮を使用したソフトグレーカラーのシートやソフトパッドによって、室内は明るくリラックスできる空間になっている。フロントは、骨盤から腰椎までを樹脂製マットで支えるボディスタビライジングシートで、足元広々で柔らかなパッドを採用した後席とともに「座り心地」が誠に良い。
また、フロントシートの間にカバンなどを手軽に置くことができるテーブルコンソールや、視界を邪魔しないドリンクホルダーなどが、視線と動線を配慮した「使い心地」の良い位置に配されているほか、各パーツは凹凸がないのでテカったり影が出る部分が少なく、日中でも目が疲れないよう考え抜かれた設計であることがわかる。
最高出力72kW(98ps)/6,000rpm、最大トルク118Nm/5,000rpmの1.3リッター直列4気筒自然吸気エンジンとCVTによる走りは、通常の環境下で不満を感じることは、ほとんどないレベル。シンプルなパワートレーンなので、ハイブリッドのようにあれやこれやを走行中に考えなくてよいところは、メリットの一つだろう。ETCゲートからのスタートダッシュでグイッとアクセルを踏み込めば、ホンダ4気筒エンジンの“サウンド”が聞こえてくるので、これはひとつの楽しみになる。
この日の平均燃費15.6km/ℓは、WLTPモード(19.6km/ℓ)の8割程度になってしまったが、試乗日の激しい渋滞の中での走りだと十分な成績かもしれない。ハイブリッドモデルに比べると、ガソリンモデルは35万円近くもお得な設定なっているので、こちらを選択するという積極的な理由になり得る。

静かでパワフルなHVモデル

次は、2モーターハイブリッドシステムの「i-MMD」改め「e:HEV」を搭載した「ネス」。「FITNESS(フィットネス)」からヒントを得たという名称の通り、ワンモーションスタイルのエクステリアは、ルナシルバーメタリックのボディにライムグリーンのアクセントをあしらったネス専用カラーで、「毎日をアクティブに過ごしたい人のため」というイメージ通りの仕上がりだ。
インテリアは外装色と同じカラーで構成されていて、統一感がある。心地よい視界や座り心地、使い心地はホームと同様。ネスは、シートの座面だけでなく、ダッシュボードに取り付けられたソフトパッドが専用の撥水シート仕様になっているので、アウトドアでも気兼ねなく使うことができるのだ。また、ハイブリッドモデルらしく後席にも充電用USBジャックが2つ備わっている。
肝心の走りだが、e:HEVのパフォーマンスは十分以上に満足がいくものだった。基本は最高出力80kW(109ps)/3,500~8,000rpm、最大トルク253Nm/0~3,000rpmの走行用モーターで前輪を駆動して走り、搭載する1.5リッター4気筒ガソリンエンジンは発電用モーターを充電するために使用されるシステム。低速から大トルクのモーターで走るので、街中での走りはパワフルかつ静かだ。リチウムイオン電池は容量がそれほど大きくないため、走行中はたびたび充電のためにエンジンが始動するけれども、ノイジーではない。
一方、高速道路では、クラッチによって最高出力72kW(98ps)/5,600~6,400rpm、最大トルク127Nm/4,500~5,000rpmのエンジンがタイヤを駆動し、モーターがこれをサポートする状態に。モーターを充電するよりもエンジンで走る方が効率が良いためで、パワーフローの様子はモニターで確認することができる。
シフトレバーを回生ブレーキが効くBモードに入れると、アクセルだけで車速がコントロールできるワンペダルに近い走りができるので、これもちょっと楽しい。車重はガソリンより110kg重い1,200kg。加速を強力なモーターで行うので軽快感が損なわれておらず、落ち着いたサスペンションの動きで快適な「乗り心地」を提供してくれるのだ。
当日の平均燃費である23.9km/ℓは、WLTPモードの公称値27.4km/ℓよりは低い数値だったが、航続可能距離は絶えず700km以上を示していたので、ロングドライブに強そうだ。
標準装備の安全運転支援システム「Honda SENSING」のアダプティブ・クルーズコントロールは、ステアリングポスト右の2ボタンでセットできる。高速道路の80km/hでは、LKAS(車線維持支援システム)によって車線の真ん中をきちんとキープして走ってくれるほか、試乗日に大渋滞していた首都高速湾岸線の極低速ノロノロ運転でも追従運転を続けてくれる全車速対応式なので、これは使えるシステムだと確信できた。
価格はガソリンエンジンの「ホーム」が171万8,000円、e:HEVの「ネス」が222万7,500円というように、同時期にデビューしたトヨタ「ヤリス」より平均して低い設定になっている。4つの心地よさ以外に、これもフィットの強みかもしれない。
問い合わせ先

お客様相談センター

Tel.0120-112010
https://www.honda.co.jp/

Photo Gallery