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2021年7月30日
マジックカーペット・ライドは電動化でも健在──シトロエンC5エアクロスPHEVに試乗|Citroën
ガソリンエンジンの伸びのよさと高燃費、そして静粛性の高さが特長
C5エアクロスはバッテリー残量がゼロになっても通常のストロングハイブリッドと同じく、直前のブレーキ制動によって回生して蓄えた電力により、発進時のひと転がりは電気で駆動される。PHEVといえばバッテリーが空になると重たいICE車に堕するように考えられやすいが、そうはならないのだ。
ちなみにドライブモードで「スポーツ」を選択すると、逆にICEを優先する制御ロジックに切り替わり、シフトアップのタイミングを遅らせ、225psというICE+モーターのシステム総計出力を伸び伸びと使い倒そうとする。
この日は出力的には約180psにとどまるガソリンとディーゼル、それぞれの純ICE仕様とも乗り比べたが、アクセルペダルに力を込めた際の、駆動力が立ち上がるレスポンスでは断然、PHEV版が優れている。高さも厚みもあるボンネットからは想像できないほど、ステアリングを切ったときのノーズの動きは軽快かつリニアで、足まわりのストロークの豊かさは、ビッグ・シトロエンの伝統を感じさせる。
だが、同時にPHEV版は、後車軸まわりの重量が増している影響もあって、操舵に対して後車軸がついてくるのにワンテンポ遅いため、やや片側に倒れるようなロール感がある。逆にいえば、柔らかな足まわりと機敏さを両立させているガソリン版と、力強い大トルクと粘り強いハンドリングが交じり合うディーゼル版、それぞれのICE版の完成度の高さも際立っていた。総じていえるのは、ガソリンエンジン特有の伸びの良さに加え、ディーゼルに迫る燃費のよさ、さらには静粛性の高さまで手にしているのが、PHEVの特長でもある。
しかもPSAグループは昨今「パワー・オブ・チョイス」を掲げており、外観上の差をつけずに乗り手の好みや用途に、パワートレインの選択を委ねる姿勢を貫いているが、シトロエンC5エアクロスはプジョー508と並んで、3種類すべての選択肢を本国市場同様に揃えたトップ・オブ・レンジでもある。
PHEVの車両価格はディーゼル比でプラス75万円近い550万円と、エコカー補助金による埋め合わせを考慮しても50万円以上の差があるが、充電環境の恩恵に俗せるのなら走行コストはかなり圧縮できる。興味深い選択肢が増えたといえるだろう。
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