外観のイメージとはかけ離れたスポーティな感覚のドライブが楽しめる──新型ディフェンダーに試乗|Land Rover
CAR / IMPRESSION
2021年2月15日

外観のイメージとはかけ離れたスポーティな感覚のドライブが楽しめる──新型ディフェンダーに試乗|Land Rover

デザインのテーマはオリジナルを特徴づけていたディテールを今風に表現すること

ディフェンダーのデザイン哲学について、2019年夏に、ランドローバーデザインを統括する英国本社のジェリー・マクガバン氏にインタビューしたことがある。
「私たちは過去10年で、4バイ4のスペシャリストから、プレミアムラグジュリーブランドへと変身しました。そこで採用したのが、デザインを中心としたアプローチです。エンジニアリングは基礎が出来ていましたから、新しいあり方を模索しました。それまでデザインは機能の表現でよかったのですが、私たちはデザインによるブランド再構築を目指しました。最初はイヴォーク。つぎにディスカバリー。そして今回のディフェンダーと、ステップを踏んでラインナップを刷新してきたのです」
東京で出会ったマクガバン氏は、サビルローのテーラー、「ヘンリー・プール&Co.」で仕立てた、華やかなスーツを身にまといながら、デザインの背景を説明してくれた。
オリジナルを特徴づけていたディテールを今風に表現することにデザインチームは心を砕いたという。波打つようなプレスのボディパネル、しかもそこにはリベットがむき出しで打たれている。さらに、標準規格の丸型ヘッドランプや平板なウィンドウグラス……という具合。
ただし現代は、法規制の問題があり、同じデザインはできない。衝突安全性、歩行者保護、室内のエルゴノミクス、生産方式など、さまざまな要件を考えてデザインしないといけないからだ。オリジナルと似て見えても、底流にある考え方は、まったく別ものだという。
「当初は機能がシェイプを決めました オーネストな形、とデザイン用語では表現します。初代はデザインビークルでなくエンジニアビークル。みんなが愛情をもって付き合ってきました。今、同じデザインで成功すると思いますか。私はそうは思いません。なぜなら、人がなにに魅了されるかは、時代とともに変わるんですね。レンジローバーを見てみてください。新しいモデルが出ると古いモデルは古くさいと思うようになるのです」
日本にはまず110(ホイールベース3020ミリの4ドアモデル)から導入が開始された。前記のとおり、オリジナルとの関連性についてのマクガバン氏の言葉を引用したものの、実際のスタイリングのイメージソースは、1990年に「ディフェンダー」なる車名に変わった時期の車体だろうか。
スタイリングは個性的だ。オリジナルのディフェンダーも、東京などの市街地では意外なほどよく見かけるとはいえ、知らない人も多いだろう。でも知らなくても、今回のディフェンダーは魅力的に見えるのだ。マクガバン氏の言葉にあったように、本来機能のための形だったものを、うまく現代的にアレンジしたデザインゆえだ。
スペアタイヤは(わざと)トランクの外に背負ったスタイルだったり、頑丈なラジエタープロテクターを彷彿させるフロントマスクの突起物(もちろん歩行者保護の役目はちゃんと果たす)など、歴史的引用が上手なうえに、創造的なアイデアとして活きている。
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