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IMPRESSION
2022年7月19日
日産のコンパクトSUV「キックス」に試乗──コンパクトSUVとしては異例に静かで、異例にスムーズで、異例に速い|NISSAN
SUVながらハッチバックに近い操縦感覚
モーターの強化に加えて、第2世代のe-POWERではモーターの制御がより緻密になっている。第1世代の経験から、エンジンを始動させる頻度を減らすエネルギーマネージメントを学んでもいる。エンジンの始動頻度が減れば、当然、それだけ静粛性が上がる。静粛性が上がれば、クルマの上質感はおのずと上がる。
全開加速だと、1.2リッター3気筒エンジンは発電のためにブウウウンっというサウンドを発して高回転を続ける。それでも、1.2リッター3気筒のコンパクトSUVとしては異例に静かで、異例にスムーズで、異例に速い。といってよいと思う。コーナーが近づき、速度計が150km/hを指したあたりで減速したけれど、直進安定性にも不安はない。これこそドライ路面における4WDの恩恵だ。
全開時、アトキンソンサイクルのエンジンとは異なり、吹け上がりが心地よいところも好印象の要因だろう。駆動系のスムーズさは、エンジンが発電に専念していることによる。内燃機関の咆哮と振動、ロックンロール感覚がお好きな方には違和感があるわけだけれど、シティコミューターとしてのe-POWERの可能性は無限大であるように筆者は思う。
乗り心地も、車重が重めなこともあって、このクラスのSUVとしては落ち着きがある。背は高いけれど、操縦感覚はハッチバックに近い。重たい電池を床下に搭載しているかだろう。
試乗した空間も時間も限られているため、これ以上の感想を申し上げることは控えておこう。マイナーチェンジ前のキックスに、筆者が試乗していないこともある。
それでも、新型キックスがコンパクトSUVとしての商品力を大幅に強化したことは想像にかたくない。なんせキックスは、同じ2020年の年の瀬に登場したノートが第2世代のe-POWERを搭載していたのに、世代的には古いままで、しかもライバルのトヨタ ヤリス クロスやホンダ ヴェゼルとは違ってFWDしかなかった。自販連が発表している乗用車ブランド通称名別順位で、キックスは本年1〜6月25位だったけれど、今回のマイナーチェンジで一気に挽回するに違いない。
SUV百花繚乱の時代、日産としては、この新型キックス、次のエクストレイル、そしてEVのアリアをもって電動4WD3兄弟、もしくは3姉妹とし、他社にはない価値としてアピールしていくという。日産の反攻に期待したい。
Nissan Kicks X Four Style Edition|日産キックス Xフォー スタイル エディション
- 全長×全幅×全高|4290×1760×1605mm
- ホイールベース|2620mm
- トレッド前/後|1520/1535mm
- 最低地上高|170mm
- 駆動方式|4WD
- 車重|1755kg
- 乗車定員|5名
- サスペンション前|マクファーソン・ストラット/コイル
- サスペンション後|トーション・ビーム/コイル
- エンジン|1198cc 直列3気筒DOHC(ボア×ストローク=78.0×83.6mm)
- 圧縮比|12.0
- 最高出力|60kW(82ps)/6000rpm
- 最大トルク|103Nm /4800rpm
- モーター(フロント)|EM47 交流同期電動機
- 最高出力|100kW(136ps)/3410―9697rpm
- 最大トルク|280Nm/0―3410rpm
- 動力用主電池|リチウム・イオン電池
- モーター(リア)|MM48 交流同期電動機
- 最高出力|50kW(48ps)/4775―10259rpm
- 最大トルク|100Nm/0―4775rpm
- 動力用主電池|リチウム・イオン電池
- ブレーキ 前|ベンチレーテッド・ディスク
- ブレーキ 後|ディスク
- タイヤ 前後|205/55R17 91V
- 価格|328万1300円
問い合わせ先
日産お客さま相談室
Tel.0120-315-232(9:00-17:00、12/31-1/2を除く)
http://www.nissan.co.jp/