日産のコンパクトSUV「キックス」に試乗──コンパクトSUVとしては異例に静かで、異例にスムーズで、異例に速い|NISSAN
CAR / IMPRESSION
2022年7月19日

日産のコンパクトSUV「キックス」に試乗──コンパクトSUVとしては異例に静かで、異例にスムーズで、異例に速い|NISSAN

NISSAN KICKS|日産キックス

日産のコンパクトSUV「キックス」に試乗

日産のコンパクトSUV「キックス」が初のマイナーチェンジを受け、「ノート」と同様の第2世代のe-POWERを搭載して登場。モータージャーナリストの今尾直樹氏がさっそく試乗した。

Text by IMAO Naoki|Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko

ポイントは新世代パワートレーンの搭載、内装の質感向上、そして安全装備の充実

2020年6月に国内に登場した日産のコンパクトSUV「キックス」が初のマイナーチェンジを受け、7月17日に発売となった。
ポイントは3つ。まずはe-POWERが第2世代に切り替わった。2020年の年の瀬に発売し、現在販売好調の「ノート」と同じパワートレインを搭載。同時にノート用のe-4WDシステムを使ってこれまでFWD(前輪駆動)のみだったキックスに4WDが新設定された。
次に、インテリアの質感を向上させた。これは世評を受け止めての改良で、コンソールまわりを新設計したほか、ベージュやブラウンのシックな仕様も用意している。
3つめは安全装備の充実で、クラス初の前方衝突予測警報システムを全車標準。
以上のような改良にもかかわらず、2WDの価格はプラス3万8000円にとどめ、お求めやすくしている。というのが日産の主張だ。
ということで、この新型キックスの発売に先駆け、日産追浜試験場内にあるグランドライブで「X FOURスタイルエディション」という4WDの最上級グレードに試乗したので、報告したい。スタイルエディションというのはシート表皮やトリムにブラウンとブラックの2トーンの合皮を用いた内装のオシャレ仕様である。合皮にはダブルステッチが入っており、ドアを開けると、なるほどシックな世界が広がっている。シフトのスイッチは現行ノートと同じタイプだ。
早速、長い直線のスタート地点から全開を試み、加速ぶりをチェックする。お、お、おーっ、と日産e-POWERにさほど慣れているとはいえない筆者は、そのモーターの強力なトルクによる加速に一驚した。
第2世代のe-POWERは、発電用のエンジンはこれまでと同じ1,198cc 直列3気筒を搭載している。12.0という高い圧縮比のこの自然吸気エンジンは最高出力60kW(82ps)/6000rpm、最大トルク103Nm /4800rpm を発揮する。
ところが、モーターは強力になっている。マイナーチェンジ前の最高出力は95kW(129ps)/4000―8992rpmから100kW(136ps)/3410―9697rpmに、最大トルクは260Nm/500―3008rpmから280Nm/0―3410rpmに向上しているのだ。
しかも試乗車は4WDである。後輪を駆動するためのモーターも搭載しており、このモーター、電動4WDのリア用としては50kW(68ps)/4775―10259rpm、100Nm/0―4775rpmと、たとえばトヨタ「ヤリス クロスE-Four」のそれの3.9kW(5.3ps)と52Nmと較べると、パワーにして10倍以上、トルクにして2倍以上を誇る。
ヤリス クロスは車重1,250kg。キックスは1,755kgと、およそ500kgも重い。なので、直接の比較はできないにしても、1クラス上の「RAV4のE-Four」のリアモーターの40kW(54ps)、121Nmと較べても見劣りしていないことは記憶にとどめておくべきかもしれない。
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