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2022年6月8日
フィアット500eに試乗──アイコニックなデザインを受け継いだフィアット初のBEVの走りとは?|FIAT
ワンペダルの走りが楽しい
500eには、450万円の「POP(ポップ=受注生産)」、485万円の「ICON(アイコン)」、495万円のカブリオレモデル「OPEN(オープン)」の3グレードがあり、試乗したのは、ブラックのキャンバストップとセレスティアブルーのボディカラーを持つOPEN。光線の具合によって濃淡の見え方が変わる薄い水色の三層パール塗装は、OPENグレードにとても似合っていて、街中でもよく目立つ。
最高出力87kW(118ps)、最大トルク220Nmを発生するモーターによって前輪を駆動するその走りはどうか。500eのセンターコンソールにはその走りを3通りに変えるe-MODEダイヤルが備わっていて、
「ノーマル」:エンジン車のような走行をイメージした、快適でスムーズな走りができるモード
「レンジ」:ワンペダルドライブが可能なモードで、完全停止までできる
「シェルパ」:ヒマラヤ登山で有名な小民族の名で、遠くまで確実に行けるという意味を持つ。エアコンやシートヒーターが自動でオフになり(再起動は可能)、80km/h以下で走行する省電費モード
上記から選択ができる。ドライビングポジションを決めると、足元スペースが狭くて左足の置き場にちょっと困る。細いドライビングシューズを履くとなんとか収まるのだが。
早速「レンジ」モードを選んでワンペダルで走り始めると、電動車としては比較的軽めの約1.3トンのボディを機敏に加減速させてくれて、なかなか楽しい。1トン切りのボディを「ポロポロ」というサウンドの2気筒エンジンで頑張って走らせていた従来モデルも面白かったけれども、新型は低速から太いトルクが出るモーターのおかげで、走行性能は格段にアップ。特に路面の良いところでの、静かでスムーズに車速が伸びていく新しい感触には思わず微笑んでしまう。アクセルオフしたときの減速Gは結構強くて、慣れないうちは目指したポイントの少し手前でストップしてしまうほどだ。
高速に上がってからは「ノーマル」モードにチェンジ。アクセルを緩めても一定速度がキープできるので楽チンだ。せっかくなので新型から搭載されたACC(アダプティブクルーズコントロール)を試してみると、ちゃんと前走車に追従してくれるし、コーナーではステアリングをアシストしてくれる。車速を設定するクルーズコントロールしかなかった従来モデルから比べると大進歩の一つだ。
ただし、最新の日本車やドイツ車のように絶えず車線の中央をなめらかに走行し続けるのではなく、カクカクとした動きがわずかに残るのはご愛嬌というところか。路面の継ぎ目や段差でピッチングが残ってしまうのも、ショートホイールベースの小さなクルマなので文句の対象にはならないし、それがチンクエチェントらしいところでもある。試しに「シェルパ」モードに入れると、80km/hでちゃんと減速してくれた。
WLTCモードでの走行可能距離は335kmを公称。この日のメータを見ると、残り94%で239kmと表示されていたので、航続距離は大体250km前後と考えた方が良さそうだ。
見ても走っても楽しい500e(オープン)を手に入れるには2つのリース方法があって、5年契約のサブスクなら59,400円/月と11万円/10回のボーナス払いの組み合わせ、154万円の残価設定プランなら4万円/月と11万円/10回のボーナス払いの組み合わせとなる。価格が約半分のエンジンモデルがまだ併売されるというから、選ぶ楽しみが増えたと考えて良いのではないだろうか。
Spec
FIAT 500e|フィアット チンクエチェントe
- ボディサイズ|全長3,630×全幅1,685×全高1,530mm
- ホイールベース|2,320mm
- トレッド前/後|1,470/1,460mm
- 車両重量|(Pop)1,320kg (Icon)1,330kg (Open)1,360kg
- モーター種類|交流同期電動機
- 最高出力|87kW(118ps)/4,000rpm
- 最大トルク|220Nm/2,000rpm
- バッテリー総電力量|42kWh
- 駆動方式|FF
- サスペンション前|マクファーソンストラット
- サスペンション後|トーションビーム
- ブレーキ前|ディスク
- ブレーキ後|ドラム
- 定員|4人
- タイヤサイズ|(Pop)195/55R16 (Icon)(Open)205/45/R17
- 価格|(Pop)450万円 (Icon)485万円 (Open)495万円
問い合わせ先
CIAO FIAT
Tel.0120-404-053
http://www.fiat-auto.co.jp