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IMPRESSION
2021年8月20日
円熟の域にある究極のハンドリングマシン──ルノー メガーヌR.S. に試乗｜Renault
300ps・420Nmのパワーユニットにシャシー・スポールの初組み合わせ
だがメガ―ヌR.S.のマイナーチェンジの眼目は、トロフィー6段MT仕様だけにとどまらない。より公道寄りセッティングのシャシー・スポールを採用したスタンダードモデルも、従来のトロフィー仕様と同じ300ps・420Nmにエンジンスペックを揃え、グレードアップが図られたのだ。こちらは6段EDC仕様のみ。
ちなみにクラッチ容量の関係で、6段EDCの420Nmという最大トルクに対し、トロフィーのMT仕様は400Nmに抑えられる。その分、MT仕様は1～3速がわずかにローギアード設定で下を補っており、1.026という4速のギア比で、1.028というEDC仕様のそれと、ようやくほぼ一緒となる。ただしMT仕様の最終減速比は6速まで一貫して4.187。一方のEDC仕様では、1～4速までがファイナル4.357とされ、変則的に4速よりもギア比の低められた5速、そしてオーバードライブの6速のみ、もうひとつのファイナル2.904が組み合わされる。
EDCとMT、最大の違いは今回のマイナーチェンジではADAS（先進運転支援システム）機能に現れたともいえる。前者にはアダプティブクルーズコントロール使用中に、渋滞や信号待ちでアクセルペダルを操作せずとも再スタートしてくれるストップ＆ゴー機能が備えられた。日常的な使い勝手で差を生む、あるいは6段MT仕様のストイックさを際立たせるところでもある。
全グレード共通の変更点は、前後LEDランプの意匠が変更され、リアウィンカーはシーケンシャルになったこと。リアLEDランプが凹面のない、ボディラインとつながる処理となるのに合わせ、フロントグリル真ん中のルノーロゴもなめらかな面処理となった。内装では後席にもUSBポートが2つ追加されたこと、タッチスクリーン下のエアコン操作系が3連ダイヤルとなった点が挙げられる。
こと走りに関わる部分での刷新は、300ps・420Nmへと引き上げられたパワートレインに、シャシー・スポールという、初の組み合わせそのものだ。ダブルアクシスストラットのフロントサスや4輪ともHCC（ハイドローリック・コンプレッション）のダンパーという足まわりの基本も前期型と変わらず、ダンパー減衰力やスプリングレートも、約60～100㎞/hを境に逆位相か同位相かが変化する4コントロールも、そのままという。