円熟の域にある究極のハンドリングマシン──ルノー メガーヌR.S. に試乗|Renault
CAR / IMPRESSION
2021年8月20日

円熟の域にある究極のハンドリングマシン──ルノー メガーヌR.S. に試乗|Renault

Renault Megane R.S.|ルノー・メガーヌR.S.

6段MTを加えラインナップを一新したルノー・メガーヌR.S.に試乗

独・ニュルブルクリンク北コースにおいてシビック タイプRとラップタイム争いを繰り広げてきたFFのハイパフォーマンスモデル、ルノー「メガーヌR.S.」。エンジンのパワーアップなどの改良を受けた最新モデルに試乗した。

Text by NANYO Kazuhiro|Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko

2019年のニュル北コースのレコードカーに一歩近づいた仕様

2019年、ルノー「メガーヌR.S.」はドイツのニュルブルクリンク北コースで、7分40秒100というFFスポーツの最速ラップをセンセーショナルに打ち立てた。あの時、ルノー・スポールのテストドライバー、ロラン・ウルゴンが駆ったメガーヌR.S.には徹底的な軽量化が施されていた。6段ツインクラッチ (6段EDC)ではなく約20kg軽い6段MTのシャシー・カップ仕様、さらに130㎏を削るために4輪操舵システムをも取り払った「トロフィーR」で臨んでいた。リアシートやメガーヌR.S.のメカニズムの肝要たる4コントロール(4輪操舵システム)まで取り去るのは大人気ない、という批判も、無論あった。
だがニュル北コースでのタイムアタックは、半ばルノー「メガーヌR.S.」対ホンダ「シビック タイプR」の頂上対決であり、ときにフォルクスワーゲン「ゴルフGTIクラブスポーツS」やセアト「レオン クプラ」、フォード「フォーカスRS」らがチャレンジャーとして割って入る構図が出来上がっていた。
しかもルノーは2019年秋、ホンダのお膝元たる鈴鹿サーキットでもウルゴンとともにメガーヌR.S.のタイムアタックを行い、2分25秒454というFF最速ラップを樹立。サッカーでいう「ホーム&アウェイ」方式のような明快かつフェアな手並みで、FF最速市販車というタイトルを通じてホットハッチ・スポーツを盛り上げてきたのだ。
こうした経緯に加え、今回のマイナーチェンジで6段MTがついに日本市場に上陸するとあり、試乗への期待は高かった。つまり「トロフィー」が6段ツインクラッチATと6段MTの2本立てになったのだ。後者でも4コントロールは備えるゆえ、2年前のニュル北コースのレコードカーと同一仕様ではないが、一歩近づいたともいえる。とはいえ今回はまだ6段MT仕様のトロフィーは、スペアパーツの都合で試乗がかなわず、ジョン シリウスメタリックのボディカラーと、5本スポークにも赤いアクセントが入った19インチホイールという、専用トリムをまとった右ハンドルのEDC車を確認するのみとなった。
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