CAR /
IMPRESSION
2020年5月8日
名前も中身も一新──トヨタの新型コンパクトモデル「ヤリス」に試乗|TOYOTA
スポーティなガソリンモデル
もう1台の1.5リッターガソリンエンジン搭載モデルは最上級グレードの「Z」(本体価格192万6,000円)。ブラックルーフにシアンメタリック(鮮やかなブルー)のツートーンボディという若々しいエクステリアを持つモデルだ。
フロントに横置きされるエンジンは、最高出力88kW(120ps)/6,600rpm、最大トルク145Nm/4,800〜5,200rpmを発生する「M15A-FKS」型1.5リッター直列3気筒ダイナミックフォースエンジン。燃費と高出力を両立させるため、直噴システム、ロングストローク化、ギア駆動式バランスシャフトなどを採用した1気筒当たり500ccの最新モジュールエンジンで、発進用ギアを備えた「Direct Shift-CVT」でフロント2輪を駆動する。
1,020kgと車重が軽いので、とにかく出足がいい。そして、歯車式の発進用ギアによって、車速が高まるまでエンジン音と加速感がリンクしていて、いわゆる“ラバーバンドフィール”と呼ばれるCVT特有のネガな部分が上手に消されている点が素直にうれしい。
巡航速度になると、2,000rpm以下というなるべく低い回転域を保つようになるが、再加速時には3気筒らしい音と振動とともに、望んだスピードにすぐに達する。これは、きちんと仕事をしているな、と好印象を与えてくれるCVTだ。運転中は、見やすいカラーヘッドアップディスプレイ(オプション)まで装備されていて、ドライバーの満足度は高い。
サスペンションは、試乗車が、標準(185/60R15)より1サイズアップした185/55R16という高性能タイヤを履いていたせいもあり、ハイブリッドモデルより路面の状態をストレートに伝えてくる。ただしボディの剛性感が高く、サスペンションがきちんと動いているので、ショックは一発で収まる。
一方、交差点の右左折時やコーナリング時には、ハイブリッドより軽い鼻先がスイスイと向きを変えてくれるので、ちょっとしたスポーツカーを操っているような感覚まで味わえる。
パドルシフトがあれば、ワインディングも100%満喫できるパフォーマンスがありそうで、そうした走りを最大限に望むユーザーには、別に6段MTモデルが用意されている。燃費は18.2km/ℓ(WLTCモード燃費は21.6km/ℓ)を記録した。