新型ポロに試乗|Volkswagen
Volkswagen Polo TSI Comfortline|ポロ TSIコンフォートライン
進化するオールラウンダー
新型ポロに試乗
フォルクスワーゲン「ポロ」が、9月にマイナーチェンジをおこなった。燃費向上や最新の安全装備の採用にくわえ、新型「ゴルフ」にならったあたらしいフロントも大きなポイントだ。2010年に、日本に上陸したばかりのポロを“ゴルフに通じるオールラウンダー”と評した小川フミオ氏が、この最新型を試乗。山道もふくめテストをおこない、その進化をリポートする。
Text by OGAWA FumioPhotographs by HANAMURA Hidenori
はっきりと宿る個性
熱心なファンを多く抱える、フォルクスワーゲンの「ポロ」がリフレッシュされた。充実した安全装備、燃費が向上したエンジン、それにぐっと質感が高くなった走りで、全方位的にハナマルな出来である。
フォルクスワーゲン ポロは、日本のために作られたようなクルマだ。全長4メートル以下で、全幅1.7メートル以下という適度なボディサイズ。くわえて、おとな4人が乗れるパッケージング。それに好燃費で、かつての「ゴルフ」の真の後継車といってもいいかもしれない。
2014年9月に日本発売された新型ポロ TSIコンフォートラインの最大の特徴は、安全装備の充実と燃費の向上にある。1.2リッターエンジンは設計変更が施されて経済が向上。リッター22.2km(JC08モード)の高い燃費を誇る。
フェイスリフトを受けたフロントマスクは、ラインナップの上位に位置するゴルフとのつながりが強調されるようになったが、運転すると、ポロにははっきりと光る個性があると知れるのである。
Volkswagen Polo TSI Comfortline|ポロ TSIコンフォートライン
進化するオールラウンダー
新型ポロに試乗 (2)
新型ポロを好きになるまでに、そう時間はかからない
5年ぶりという改良の眼目は、1.2リッターエンジンだ。今回DOHC化されて、90psの最高出力と、1,400rpmから発生する160Nmの最大トルクをもつ。パワーよりも燃費方向に少し振ったそうだ。
たしかに、2,000-3,000rpmあたりで、トルクが少し薄い、つまりアクセルペダルを多めに踏み込んでも期待したとおりの力強い加速感がない。これが電子制御系などに手を入れて、燃費重視型にした結果だろうか。
こちらは職業的な性(さが)だろうか、あらゆるクルマにスポーティ性を探してしまうが、新型ポロも、4,000rpmを超えると、ぐーっとちからが出てくる。エンジンをまわすと、1.1トンと重くないボディを、活発に気持ちよく加速させるのだ。これはいい気分だ。
高級車なみに静かなポロだが、このあたりで耳を澄ますと、乾いたエンジン排気音が聞こえてくる。これもなかなかヨイ音なのだ。
新型ポロを好きになるまでに、そう時間はかからない。ハンドリングもすばらしいからだ。これまでの油圧に替わり電動になったステアリングシステムだが、応答性はすばらしく、わずかな操舵に敏感に反応して、自分の思い通りにクルマが動くのである。
Volkswagen Polo TSI Comfortline|ポロ TSIコンフォートライン
進化するオールラウンダー
新型ポロに試乗 (3)
思わず笑顔になる
新型ポロを操縦したのは箱根のカーブが連続する道だったが、ここでポロは輝いた。軽いが確かなステアリング、軽い身のこなし、カーブの入り口から出口まで安定した姿勢。誰でも思わず笑顔になるはずだ。
クルマに振りまわされない適度なパワー感もよい。アクセルペダルを踏み込みすぎても、カーブの途中に急激な姿勢変化が起きることはなく、オン・ザ・レール、まるでレールの上を走るようなと表現されることもある感覚で、加速していくのである。
デュアルクラッチを持った7段変速機も出来がよい。ふつうに街中走行では60km/hでトップギアに入り燃費をかせぐが、急激な加速や減速のときはギアを飛ばしてシフトダウン。トルクバンドを維持してくれる。この制御が緻密で、経済的な運転をしたいのか、操縦を楽しみたいのかを、アクセルペダルの踏み込み量で判断して、適切に対処してくれる。
もちろんシフトレバーのマニュアルモードも有効だ。エンジンを上の回転までまわして、ポロの“おいしさ”をしっかり味わうドライビングはぜひとも経験することをおすすめする。
Volkswagen Polo TSI Comfortline|ポロ TSIコンフォートライン
進化するオールラウンダー
新型ポロに試乗 (4)
VWの理想主義を、完璧に実現しているモデルと思える
結論的にいうと、新型ポロは生活のとてもよいパートナーになってくれそうなクルマだ。経済性については触れたとおりで、くわえて、静粛性は高く、乗り心地もよい。街中で力不足を感じることはないし、燃費も抜群。
室内はクリーンな意匠でまとめられ、コントロール類は使いやすいし、シートは座り心地にすぐれる。後席もおとな2人がちゃんとおさまるスペースが確保されている。レッグルームはぎりぎりだが、バックレストはちゃんと肩まであるし、ヘッドルームは余裕を感じさせ、閉塞感を味わうことはないだろう。
燃費、安全性、操縦性と、多くの点で新型ゴルフはとても満足いくレベルに達しているが、新型ポロにはもうひとつ、コンパクトさがある。まさに、初代ゴルフで垣間見たフォルクスワーゲンの理想主義を、完璧に実現しているモデルと思えてくるのだ。
このあと、1.4リッターに気筒休止システムを備えた「ブルーGT」や、パワフルさで人気が高い「GTI」といったモデルも、燃費効率などでアップデート化されたエンジンを搭載して登場する予定という。それぞれ魅力を感じるが、ポロ TSIコンフォートラインのナチュラルなよさは、おそらくこのクルマだけのものだろう。
Volkswagen Polo TSI Comfortline│フォルクスワーゲン ポロ TSI コンフォートライン
ボディサイズ│全長 3,995 × 全幅 1,685 × 全高1,460 mm
ホイールベース│2,470 mm
エンジン│1,197cc 直列4気筒DOHC インタークーラー付きターボ
最高出力│66 kW(90 ps)/4,400-5,400 rpm
最大トルク│160 Nm(16.3 kgm)/1,400-3,500 rpm
駆動方式│FF
トランスミッション│7段DSG
サスペンション 前/後|マクファーソンストラット / トレーリングアーム
タイヤ 前/後|185/60R15
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ディスク
燃費(JC08モード)|22.2 km/ℓ
CO2排出量(JC08モード換算値)|105 g/km
価格│223万9,000円(TSI コンフォートライン アップグレードパッケージは249万5,000円)
フォルクスワーゲン カスタマーセンター