フェラーリ296GTSにイタリアで試乗──クルマを操る純粋な喜びをとことん味わわせてくれる|Ferrari
CAR / IMPRESSION
2022年11月4日

フェラーリ296GTSにイタリアで試乗──クルマを操る純粋な喜びをとことん味わわせてくれる|Ferrari

アウトストラーダでは、快適なEV走行が可能

試乗ルートは、フォルテ・デイ・マルミからフェラーリが本社を構えるマラネロまでの約250km。道程には、歴史的なクラシックカーレース「ミッレミリア」の舞台としても知られるフータ峠、ラティコーザ峠という由緒正しいワインディングロードも設定される。かつてミッレミリアで6回の優勝を飾ったフェラーリにとっては縁のある場所だ。最新モデルをドライブするコースとしても、おあつらえ向きといえるだろう。
296GTSでは従来のマネッティーノに加えて、PHEVのパワーマネージメントを切り替える「eマネッティーノ」も備わる。マネッティーノと同様、ステアリングホイールに組み込まれたスイッチで、4つのモードをセレクトできる。
「eドライブ」は電気モーターのみで走行するEVモード。バッテリーがフル充電の状態で航続距離は25km、最高速度は135km/hに達する。「ハイブリッド」は、パワーフローの効率を最大化するようエンジンとモーターを制御する、いわゆるハイブリッドモード。「パフォーマンス」はエンジンを常に稼動してバッテリーの効率を維持し、いつでもフルパワーが発揮できる状態にする、攻めたドライビングに最適なモード。そして「クオリファイ」では、バッテリーの充電を抑えて最大のパフォーマンスを発揮する。
ちなみに、始動時には自動的にハイブリッドがセレクトされる。右側のパドルを手前に引きギアを1速に入れてアクセルペダルを踏み込むと、296GTSはモーター駆動により音もなく走り出す。830cvのスーパーカーで粛然とビーチサイドを流す。季節外れのひっそりとしたリゾートに、エンジンの咆哮を轟かせるのは少々無粋だ。PHEVのメリットはこんなシーンでも享受できるのだと思った。
アウトストラーダに入り、周囲の流れに合わせて120km/hほどで巡航するが、それでもエンジンは始動しない。キャビンとリアデッキを隔てるガラス製リアスクリーンも効いているのだろう、この速度域ではキャビンへの風の巻き込みもわずかだから、フェラーリのステアリングを握っていることが信じられないほど静かで、快適かつイージーなハイウェイクルーズを楽しめる。まさにフェラーリが新しい時代に入ったことを実感する。
アウトストラーダの制限速度である130km/h付近まで加速すると、V6ユニットは待ってましたとばかりに目を覚ます。モーターとエンジンはトランジション・マネージャー・アクチュエーター(TMA)によって連携し、ハイブリッドモードでは、バッテリーの充電状態やパワートレーンへの負荷に応じてエンジンがオン・オフを繰り返す。その制御は極めて緻密かつ滑らかで、ドライバーにまったく違和感を感じさせないのが素晴らしい。
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