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2021年8月13日
ドイツの競合よりバリューフォーマネー感が高い──キャデラックCT5に試乗|Cadillac
ドイツの競合になくてCT5にある「オーディオの音世界」
CT5のよさは、一言でいうと、しっかりした走りを楽しめる点にある。上記のキャデラックセダンの正統な後継車だ。177kW(240ps)の最高出力と、350Nmの最大トルクを持つだけあって、走り出しからダッシュ力があり、かつエンジンは回せば回すほど力が沸き出てくる感覚が、クルマ好きには大いなる魅力だ。
若々しい人たちがターゲットというだけあって、エンジン回転を上げたときには、サウンドエンハンサーという仕組みが、いわゆる気分が“アガる”吸気音を室内にとどろかせてくれる。とくにドライブモードセレクターで「スポーツ」を選択すると、ひときわいさましいエンジンノートが耳に飛び込んでくるのだ。
このドライブモードセレクターでは、「スポーツ」に加え、「ツーリング」「スノーアイス」が選べる。上記のエンジンサウンド、ステアリングホイールのアシスト量、シフトアップタイミング、それにブレーキペダルを踏む力と速度で効き方が変わるブレーキフィールなどが個々に設定されている。
速度域にかかわらず、太いトルクバンドを使える、つまりどこでアクセルペダルを踏み込んでも、即座に加速するような反応のよさは、どのモードでも味わえる。若々しい人向け、と先に書いたように、気持ちが若々しい人なら「スポーツ」モードがいいかもしれない。でも快適性も重視するなら「ツーリング」を勧める。
足まわりはよく動き、路面にでこぼこやうねりがあっても、乗員が不快な思いをすることはないほど快適だ。ステアリングホイールはどんな路面を走っているか情報がちゃんと伝わっている一方、不整路面(悪路)の影響を受けることもない。要するに、セダンとして上質な味つけだ。
セダンはSUVより年寄り向けの乗りもの、と思っている人がいたら、CT5を試してみるとよい。アルファロメオ・ジュリアほどのスポーツ性はないものの、メルセデス・ベンツやBMWやアウディに匹敵する全方位的な楽しさが備わっている。よりスポーティなモデルが欲しければ4WDのCT5スポーツという手があるものの、後輪駆動のCT5プラチナムの素直な運動性能も捨てがたい。
それらドイツの競合になくて、CT5にあるのは、実はオーディオの音世界だ。音づくりが、新鮮なのだ。たとえば、21年のグラミー賞を受賞したアルバムなど再生すると、重低音が響く。いまは行けなくなってしまった、いわゆるクラブでよく聴いた音である。スマートフォンとかホームオーディオとはまた違って聞こえる。音楽を楽しむ場として、家、移動中、そしてもう一つ、第三の場所が生まれた、といえる。
CT5プラチナムの価格は560万円(CT5スポーツは620万円)。このクルマの魅力は、キャデラックの従来の方針どおり、ほぼオプションがないところだ。言い換えるなら、最初からほとんどの装備が標準で備わる。
アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストやクロストラフィックアラートといった運転支援システム、リアカメラミラー、ハンズフリートランクオープナー、ヒーターおよびベンチレーション付きレザーシート、10インチ液晶ディスプレイ、15スピーカーBOSEパフォーマンスシリーズオーディオ、DR(自律航法)マップマッチング対応クラウドストリーミングナビなど必要なものはほぼそろう。なのでドイツの競合よりはだいぶバリューフォーマネー感が高い。
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