注目のクリエイターがキャデラックとともに過ごす一日──エスカレード × 田中知之 & 前田陽一郎編|Cadillac
CAR / FEATURES
2022年2月28日

注目のクリエイターがキャデラックとともに過ごす一日──エスカレード × 田中知之 & 前田陽一郎編|Cadillac

Cadillac XT4|キャデラック XT4

田中知之 & 前田陽一郎がキャデラックエスカレードと過ごす1日
「エスカレードって、“全身これエンターテイメント”という感じだね」

注目のクルマ好きクリエイターが最新のキャデラックと過ごす1日をフィーチャーする特別企画。今回は、DJ/プロデューサーの田中知之さんと、エディター/ブランディングディレクターの前田陽一郎さんが、最新のフラッグシップSUV「エスカレード」に乗り、千葉の海へとドライブした。

Text by NANYO Kazuhiro|Photographs by MAEDA Akira

威風堂々としているけれど、賢そう

知識や経験とは、紋切型と紙一重で、定番アイテムだからと知ったかぶりしていると、怒涛の進化に置いてきぼりを食う。ついに5代目へモデルチェンジした新型が日本上陸を果たしたキャデラック エスカレードは、まさしくその典型。高級で豪華だけれど少し大雑把なアメリカン・フルサイズSUVという、従来のステレオタイプなイメージを見事に裏切ってくれる。新しいエスカレードを気鋭のクリエイター二人が試乗した。
一人は東京2020オリンピックの開閉会式とパラリンピックの開会式で音楽監督を務め、国内外で注目を集めているFPM(ファンタスティック・プラスチック・マシーン)ことDJ/プロデューサーの田中知之さん。もう一人は、一世を風靡した男性ファッション誌『レオン』の元編集長で、今もエディター/ブランディングディレクターとして多方面で活躍する前田陽一郎さん。
田中知之さん(右)の音楽スタジオに訪れた前田さん(左)。20年来の友人だが、スタジオで会うのはこの日が初めてだという
実は二人は30代前半のころから20年来の知り合いで、田中さんはアストンマーティンDB7を、前田さんは930型ポルシェ911を、長年乗り続けるクルマ好きでもある。せっかく久々の再会なので、小春日和の千葉の海までエスカレードを走らせ、ゆっくり旧交を温めることにした。
朝一番、田中さんを迎えに前田さんがエスカレードで乗りつけた。外観そして内装を眺めながら、早速、二人の観察が始まった。
田中さんのスタジオの前にて。ボディサイズに圧倒される
「予想していたけれど、やはり大きいね……」(田中)
「はい、全長が5.4メートルありますから。でも意外かもしれませんけど、アメリカでも日本でも30代の若い人に好評なんだそうです。大きくても、ボディ周囲の障害物を感知するセンサーやカメラは充実しているから、運転は案外楽そうですし」(前田)
前田さんがそう応じると、サイズにやや気圧され気味だった田中さんも、キャデラックに対する憧れを思い出したように話し出す。
「分かる気がする。突き抜けて大きいから、逆にそれが個性になっているんだよね。僕は欧州車ばかり乗り継いで、ボディが大きいクルマを所有したことないけれど、アメ車に憧れはあるんだ」(田中)
まずは前田さんがステアリングを握り、千葉の海へと走り出す。視界がいいため、意外と運転しやすい
エクステリアデザインは欧州車のロー&ワイドなフォルムとはまったく異なる方向性で、むしろ縦の線を強調する外観が、適度に視覚的なインパクトを生み、好印象だと、田中さんはいう。
「全体的にクリーンだけれど、これがアメ車?という印象で、なんだか新鮮なんですよ。いわゆる昔のキャデラックとは全然違う。なぜだろう?」(田中)
田中さんの第一印象をまとめようと、前田さんがキーワードをいくつかあげてみる。
「従来のエスカレードと違って、意外にも、ギャングスター・ラップの“オラオラ”とか“ギラギラ”したキャラクターが、似合わないところじゃないですか」(前田)
「確かにそんなステレオタイプなイメージとは違う品の良さがある。音楽で例えるなら、実はクラシックや昔のダンスミュージックを下地で使っているような、ファレル・ウィリアムス以降の洗練されたヒップホップの雰囲気というか。もちろん、クラッシュの『ブランド・ニュー・キャデラック』とかエルヴィス・プレスリーとか、かつてのロックっぽいキャデラックのイメージとも違う(笑)。エスカレードは、威風堂々としているけれど賢そうなんだよね」(田中)

力強くて、恐ろしくスムーズな走り

首都高に入って少しスピードを上げると、高い視線とキャデラックらしいゆったりした乗り心地が醸し出すリラックス感に促され、二人の興味も内装に向かい始める。英国車好きの田中さんが切り出した。
インストルメントパネルは、上質なレザーとウッドがあしらわれ、ラグジュアリーかつシックな空間に仕上げられている
「インストルメントパネルのウッドは英国車的でもある。エスカレードはエスタブリッシュメント向けのアメ車だから、やはり英国車にも通じるコードを持っているんだね。とはいえ、ロールス・ロイス辺あたりとは全然、センスの異なる高級感がいいね」(田中)
「レザーシートのステッチパターンや柄も、“モンドリアンキルト”なんですって」(前田)
「そうか、キャデラックのエンブレムはモンドリアンコンポジションにインスパイアされてデザインされているんだったね」(田中)
「キャデラックという名前自体はフランス人探検家に由来しているから、アメリカ側から見て憧れる欧州大陸のニュアンスがありますね」(前田)
田中さんも前田さんも普段の足は欧州車だが、欧州車から乗り換えても何ら違和感がないと口をそろえる。
「でも、欧州車の7人乗りSUVと比べたら、3列目シートも普通に大人が座れるほど居住性が高い。2列目シートはセパレート式で、左右のシート間も広いから、2列目を畳まずに3列目シートにアクセスできるのもいいですね」(田中)
「あと、インフォテイメントがすごくないですか? 運転席にはメーターパネルとセンターディスプレイが一体化した38インチの有機EL画面が広がっているんだけれど、それがドライバーに向けて湾曲してるんですよね。あと、2列目シートには左右それぞれにHDMI端子付きの独立したディスプレイと専用ヘッドフォンまで備わっています」(前田)
「子どもはドライブ中にゲームやDVDで遊んでいられるし、大人はPCをつないでプレゼンとか、できそうですね」(田中)
エスカレードの車載オーディオシステムはAKGで、36個ものスピーカーによる3Dサラウンドシステムが採用されている。当然、サウンドのプロフェッショナルである田中さんの評価が、前田さんには気になる。
「今やアメリカのオーディオ機器メーカー、ハーマン・インターナショナルの傘下にあるとはいえ、オーストリアの名門ブランドであるAKGが車載オーディオを手がけたのは、初だそうです。田中さんが聴いてみて、音はどうですか?」(前田)
「各シートのオーバーヘッドの位置までたくさんのスピーカーをうまく割り当てているから、車内なのにサウンドの各帯域が分離していて、よく聞こえてくる。AKGは、僕らはよく録音マイクでお世話になる機器のイメージですけれど、さすがですね」(田中)
「カーオーディオにありがちな、低音と高音を強調した“ドンシャリ”系のサウンドでは、まったくないですよね。ジャズやロック以外にも合いますか?」(前田)
「うん、クラシックでもヒップホップでも、奇麗に鳴らせるでしょう」(田中)
アクアラインの海ほたるで軽く休憩をとると、今度は田中さんが運転席におさまり、再び走り出す。すると実際にステアリングを握らないと分からない、動的な質感の圧倒的な高さに、田中さんの顔から笑みがこぼれた。
アクアラインではスムーズな走りと東京湾の景色を楽しんだ
「これは……加速でもクルーズでも、力強くて恐ろしくスムーズに走りますね。僕が乗ってるDB7のV8エンジンより格段に上質かつ乗りやすいフィールに、驚いちゃいます(笑)。エンジンはノンターボ?」(田中)
「そうです。今や貴重といえる大排気量・自然吸気の、6.2リッターV8・ユニットです」(前田)
「それは貴重やわ」(田中)
「しかも、エンジンに負荷がかからない状況では、気筒休止機構が作動して最大で6気筒が休止するから、4気筒や2気筒で走行する場合もあるそうです。ちょうど今のような高速道路を流しているようなときは作動すると思うんですけれど、僕は切り替えに気づかなかった。田中さんはどうですか?」(前田)
「え、ホント? まったく切り替わっているのが分からないね。じゃあ燃費は……」(田中)
「ここまで、都内と首都高を燃費を意識せずに走らせてきて、表示を見ると平均5.8km/L。ちなみに車重は2.7トン強です」(前田)
「それは立派だね。しかも欧州車でフルサイズのSUVは今、価格が高いじゃないですか。でもエスカレードは1600万円弱だし……」(田中)
「売れるわけですね」(前田)

エスカレードに合うファッション

晴れ渡った東京湾を眺めながら、二人とも会話のテンポを弾ませて、自然と語り口に熱が入る。田中さんが感じ入ったように述べた。
「やはり、キャデラック エスカレードって“全身これエンターテイメント”という感じですね。さっき話したAKGのオーディオシステムや湾曲した大きなディスプレイから、リアシートのメモリー機能のような細かいところまで、乗員にすばらしい時間を提供しようという仕掛けが、ハリウッド映画の演出のように緻密。でも、大排気量のV8エンジンや開口部が巨大なガラスサンルーフのように、楽しませ方は豪快。そこがアメリカのショービズっぽい感覚で、すごく気持ちいい」(田中)
「音楽やファッションをはじめ、アメリカのカルチャーに空気のように慣れ親しんできた世代からみると、昨今のキャデラックは欧州車的なコードを踏まえつつ、アメリカンな高級感をグローバルな方向に進化させていますね。そのエンターテイメント性、独特の愉悦というべきものが、新しいエスカレードには確かに備わっていて、この歳になってようやく理解できた気がします」(前田)
高速道路を降りて、下道でスムーズなクルーズを楽しむと、いつしかエスカレードは浦賀水道を望む砂浜に出た。クルマから降りた田中さんが、前田さんにこう水を向けた。
アメリカンSUVならではの大きなV8エンジンに思わず笑みがこぼれる
「エスカレードに合わせて服を選ぶの、難しいけど面白くなかった?」(田中)
「分かります。さっきの話の続きかもしれないけれど、フルサイズのアメリカンSUVでありながら、何かこう、ベタなアメカジだと残念な気にさせる何かがあります(苦笑)」(前田)
「そうそう、エスカレードにはいい意味でのスノッブな感じがあるから、軍モノとか黒づくめの装いはあり得ないと思った」(田中)
かつて、ファッション誌の編集も手掛けていた田中さんがそう打ち明けると、前田さんが笑いながら応じた。
「どうヒネったらいいか悩んで、結果的にアメリカ製のアイテムは靴、ナイキのエアフォースだけになっちゃいました(笑)」(前田)
「あ、僕も足元だけ白いバンズで、クリース(折り目)が入っている20年代のフランスのツイードパンツと、40年代のバーバリーのトレンチコートを合わせてみた。どちらもビンテージだけどリラックス感があるから、今日のエスカレードにもマッチするかなと。バンズはセルジュ・ゲンズブールの白レペットを意識しています」
「さすがですね。僕もエスカレードにはダボっとしたサイズ感や、ミニマル過ぎるファッションは違う気がして。時代感があるようでない装いにしたかったんです。結果、あえてドメスティックブランドになりました。パンツは初期のノンネイティブ、トップスのスウェットは最近のジュン・ハシモトです。アウターは少しアウトフィットで、トゥモローランドのピーコートにしました。これも20年前ぐらいのものです」(前田)
ファッション談義に花が咲く
「リーバイスの1stの色が濃いデニムジャケットとかも考えました。新しいキャデラックのフラッグシップSUVに何を着て乗ろうか? って、考えだすと止まらないほど楽しいね」(田中)
いい大人のクリエイター二人を、ワイワイさせるほどエンターテインしてしまう魅力が、キャデラック エスカレードには備わっているのだった。

Spec

Cadillac Escalade Sport|キャデラック エスカレード スポーツ

  • ボディサイズ|全長5,400×全幅2,065×全高1,930mm
  • 車両重量|2,740kg
  • エンジン|6,156cc V型8気筒OHV
  • 最高出力|306kW(416ps)/5,800rpm
  • 最大トルク|624Nm(63.6kgm)/ 4,000rpm
  • トランスミッション|10段AT
  • 駆動方式|4WD
  • 定員|7人
  • 価格|1,595万円
問い合わせ先

GMジャパン・カスタマー・センター
Tel.0120-711-276(9:00-18:00、年中無休)
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