精密な12気筒の魅力を味わいたいという人に──フェラーリ812GTSに試乗|Ferrari
CAR / IMPRESSION
2021年3月31日

精密な12気筒の魅力を味わいたいという人に──フェラーリ812GTSに試乗|Ferrari

ニースやモナコが似合うプロムナードカー

山岳路でもかなり楽しい。「バーチャル・ショートホイールベース2.0 システム」という後輪操舵システムが備わっているので、きついカーブでも小さなクルマのように動く。
「フェラーリ・ピークパフォーマンス」は、カーブを曲がっているとき、クルマの限界が近づいてきたことを、ドライバ−に知らせるシステムも搭載されている。むしろこのシステムを使えるような状況で、ぞんぶんに乗りたいものだと思ってしまった。
乗り心地がかなりいいのも、印象的だった。格納式ハードトップを備えてロール時の安全性を確保するなど車体に手を入れられた812GTSは、クーペ版の812スーパーファストより約120kg重い。
フェラーリでは電子制御ダンパーなどで同等の軽快さを味わえる設定にしたという。一方、この重量増が、乗り心地のよさに貢献しているようにも思えた。重いといっても車重は1645kgに抑えられている。静止から100km/hまでを3秒フラットで加速するのだから、足かせになっていないと思う。
東京と箱根の往復など朝飯前。東京と京都を日帰りで往復しても、おそらく疲れないだろう。疲れない、というか、むしろ楽しい。先に触れたように、意のままに操れる操縦性と、正確だけど過敏でないステアリングなど、優れたGTの素質をすべて備えているからだ。
試乗した車両には、JBLのスピーカーシステムが備わっていた。Apple CarPlayが使えることもあり、意外なほど、いい音質で音楽を楽しむことができた。モニタースクリーンはドライバ−正面のメーターナセルに小さく設けられているだけであるものの、Siriで曲を選べるので、意外に使い勝手がいい。
812GTSは、欧米では、プロムナードカーとしても人気が高い。ニースやモナコ、ポルトフィーノやサンタモニカなどのビーチリゾートで、オープンにして乗るのがしゃれているのだ。夜のパーティに参加するさいはタキシードやロングドレスでも乗りこみが楽なように作られている。
オープンのフェラーリとは、そういう需要が多い。昨今では、人が集まれなくなっているので、ゴルフ場との往復だけではちょっと役不足かもしれない。価格4508万円の真価は、それよりもずっとカバーする範囲が広いのだ。
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