さすが「ジープ」というべきパフォーマンス|Jeep
CAR / IMPRESSION
2015年1月15日

さすが「ジープ」というべきパフォーマンス|Jeep

Jeep Compass|ジープ コンパス
Jeep Wrangler Unlimited|ジープ ラングラー アンリミテッド
Jeep Grand Cherokee|ジープ グランドチェロキー

SUVのアイコン

さすが「ジープ」というべきパフォーマンス

1941年に米軍の軍事車両としてその歴史をスタートさせた「ジープ」。欧州系ブランドのSUVがメジャーな存在として市場を席巻するはるか以前から市場のニーズを見極め、特別な存在として愛されてきた。タフなボディに4駆の脚。その出で立ちは今日のSUV像そのものだ。今回、OPENERS編集部はそんなジープの最新モデルを駆り、真冬の長野県白馬・八方尾根をめざしロングドライブに出掛けた。

Text by SAKURAI KenichiPhotographs by TSUKAHARA Takaaki

SUV=アメリカというイメージは普遍

日本市場を考えてみると、ここ最近ではBMWの「Xシリーズ」やポルシェカイエン」、アウディQ5」など欧州系ブランドのSUVがメジャーな存在として市場を席巻しているが、そもそもSUVといえば、アメリカンブランドのお家芸的な分野だった。いまでも厳つい、いわゆる4駆を見ると、つい「ジープが来た」といってしまう人の多さは、ご存知のとおりである。

キャデラックやリンカーンというアメリカンブランド屈指のラグジュアリーモデルでさえも、もちろんSUVをラインナップし、アメリカのカスタマーにとってSUVはなくてはならない存在だ。日本のメーカーを含め、アメリカで販売される自動車メーカーのほぼすべてのブランドにSUVがラインナップされている事実を見ても、アメリカでいかにSUVが愛されているのかがわかろうというものだ。

Jeep Willys(1941)

Jeep Cherokee(1984)

そんないまなお続くアメリカのSUV人気を牽引するブランドとして特別な存在と捉えられているのが、件の「ジープ」である。1941年に米軍の軍事車両として歴史をスタートさせたジープは、第二次世界大戦直後はともかく、いまの世では、“4WD”の代名詞ともなっている世界初の4輪駆動車ブランドとして認知されている。

4駆からくる男臭さや、タフなイメージがもたらされるアイコンともいうべき「ウィリス」のDNAを受け継ぐ「ラングラー」はもちろんのこと、「グランドチェロキー」に代表されるラグジュアリーなモデルや洗練された都会派の「コンパス」などを持ち、現代の「ジープ」は4駆のフルラインナップメーカーとなっている。

「ジープ」といえば、すぐに思い起こされるのがやはり「チェロキー」という方も多いだろうが、その「チェロキー」がいまどうなっているのかは後々分かるとして、話を進めることにしよう。

今回のテストドライブの舞台となったのは、長野県の白馬・八方尾根だ。まずは東京から「コンパス」のステアリングを握り出発。白馬まで高速道路を中心としたルートを走る。

Jeep Compass|ジープ コンパス
Jeep Wrangler Unlimited|ジープ ラングラー アンリミテッド
Jeep Grand Cherokee|ジープ グランドチェロキー

SUVのアイコン

さすが「ジープ」というべきパフォーマンス (2)

「コンパス」で白馬まで

「コンパス」は、それまでエントリーモデルとして販売されていた姉妹車「パトリオット」との差別化を明確にするため、日本導入初期でこそFFモデルのみをラインナップしていたが、パトリオットの導入終了を受け、4WDモデルもくわわっている。搭載されるエンジンは2.4リッターの直列4気筒で、最高出力は125kW(170PS)を発揮する。現行モデルはCVTに代わり、6段ATを採用。Dレンジに入れたまま、左右にシフトノブを操作することで、マニュアル操作が可能となっている。

日本で乗るにはちょうど良いサイズだが、アメリカではコンパクトモデルに分類されている。しかし、そこはアメリカンサイズ。コンパクトといえども、リアの居住性は申し分なく、東京から白馬までの長距離を走っても、何ら苦にならない広さと快適さをキャビンは持っている。

高速走行時は、ゆったりとクルージングが楽しめた。125kW(170PS)のパワーは、1.8tのボディにも必要十分なパフォーマンス。決して速いとはいえないが、高速道路の流れをリードするぐらいの力は持っている。あたらしく組み合わせた6段ATは滑らかな変速を可能とし、低燃費にも貢献している。JC08モードのデータはリッターあたり10.7km。高井戸からの高速区間では、データ以上の数値をマークしていた印象だった。

3時間ほど走り、あたりが雪景色に変わるころ、パトリオットの真価を試すことができた。白馬までの幹線道路は除雪がいき届き乾燥した路面なのだが、一歩脇道に入るとアスファルトの上にシャーベット状に雪が残っている。標高が上がると、天候は次第に悪化し、雨も降ってきた。路面は滑りやすく、注意が必要になる。しかしスタッドレスタイヤを履いたコンパスは、急激な操作さえおこなわなければ、なにごともなく上り勾配をぐんぐん進んでくれた。

エンジンの搭載方法からも分かるように、コンパスはFFがベースのフルタイム4WD。しかし、そこはジープ。ドライバーを意識させることなく全天候に対応する。このあらゆるシーンを安全に乗り切るポテンシャルが重要だ。一般道路から隔離された特設の雪上コースでは、トラクションコントロールシステムが駆動力を制御し、アクセルを踏み込んだ際のタイヤのスリップを抑制。多少の轍を苦もなく乗り越える実力を持つ。

今回は一般的な使用を前提にすべてをコンパス任せにして走ったのだが、軽快感あふれるフルタイム4WDのパフォーマンスは申し分のないものだった。特に一般道を走っていたありがちな、片側が乾燥したアスファルトで片側が圧雪などの左右輪が異なった路面状況に陥ったシーンでも、コンパスが駆動力を適切にコントロールしてくれるため、車体が左右に振られることもなく安定した走行を楽しめた。日常生活では、こうした安心感がなによりも重要。降雪地域では、強い味方になってくれるはずだ。

Jeep Compass|ジープ コンパス
Jeep Wrangler Unlimited|ジープ ラングラー アンリミテッド
Jeep Grand Cherokee|ジープ グランドチェロキー

SUVのアイコン

さすが「ジープ」というべきパフォーマンス (3)

ラグジュアリーな「グランドチェロキー」

先のマイナーチェンジで精悍な顔つきに変わった「グランドチェロキー」は、210kW(286PS)の3.6リッターV6エンジンを搭載する「ラレード」と、豪華装備を標準採用する「リミテッド」、そして伝統の5.7リッターV8エンジンを搭載する「サミット」をラインナップ。サミットでは259kW(352PS)がもたらすパワフルな加速を味わえるが、その上には344kW(468PS)を発揮する6.4リッターV8エンジンを搭載する「SRT8」も君臨する。

SRT8は、グランドチェロキーのなかでも特別な存在で、もはやスポーツカーといっても良いパフォーマンスだ。ジープおよびクライスラーブランドでは、この「SRT」シリーズをフラッグシップに位置づけている。これは、例えばメルセデスにおけるAMGのようなモデルともいえ、北米ではSRTというだけで羨望のまなざしで見られることも多い。

グランドチェロキーには、アクセルやトランスミッション、トランスファー、トラクションコントロールやスタビリティコントロールなど、12もの車両マネージメントシステムを連携させるセレクテレインシステムを搭載し、類い希な走破性を誰でも簡単に引き出せる。シフトレバー下に用意されたロータリースイッチには、サンド、マッド、オート、スノー、ロックの5つのモードがあり、通常はオートを選んでさえいれば、どんな天候であってもグランドチェロキーが自身の判断で最適なパフォーマンスを披露してくれる。

スノーモードでは出力を抑制し、スリップを最小限にとどめ、安定したトラクションを発生。試しに入れたマッドモードでは、適度なスリップを許容し、車体を左右に滑らせるいわゆるドリフト走行も可能になっている。ちなみにマッドモードは泥濘路を抜ける際に、ロックモードは岩場やガレ場をゆっくりと超えるようなシーンで使用する。

コンパクトなコンパスと異なり、グランドチェロキーの走りは重厚感にあふれている。どんなシーンでも安定したトラクションを発揮し、時に静かに、時に豪快に大きなボディを前に押し出す。

セレクテレインシステムの実力は特筆すべきもので、このクルマが1台あれば、日常生活のありとあらゆるところに走っていけそうな気がする。人が歩くことさえ困難なアイスバーンでも、難なく発進出来るのである。

インテリアもラグジュアリーな印象に終始し、高級車としてもても一級の仕上がりだ。シートヒーターと、ヒーター付きのステアリングホイール、そしてハーマンカードンのプレミアムオーディオシステムのおかげで、寒さの厳しい白馬の道も快適に走ることができた。北米の多くのセレブリティがグランドチェロキーを選ぶ理由も、自ずと分かろうというものだ。

Jeep Compass|ジープ コンパス
Jeep Wrangler Unlimited|ジープ ラングラー アンリミテッド
Jeep Grand Cherokee|ジープ グランドチェロキー

SUVのアイコン

さすが「ジープ」というべきパフォーマンス (4)

ジープ伝統の血を引く直系モデル「ラングラー」

そんなラグジュアリーなグランドチェロキーの対極にあるのが「ラングラー」というモデルだ。「ウィリス」の血を引く直系たる2ドアモデルと、「ラングラー アンリミテッド」と呼ばれる4ドアモデルをラインナップ。ドアやルーフが簡単に取り外せるワイルドな外観からも分かるように、これ以上タフな民生用4駆は存在しないといってもいい。

伝統の強靱なラダーフレームを採用し、前後ともリジット式のサスペンションを採用。エンジンは209kW(284PS)を発生する3.6リッターのV6で、これに5段ATを組み合わせている。現行ジープのラインナップでは、唯一のパートタイム方式の4WDシステム「コマンドトラック」を採用。ロッキングディファレンシャルをそなえるのも、このラングラーシリーズのみである。

ガレ場や岩場などの超低速域では4×4ローレンジを、雪道や砂地などの滑りやすい路面では4×4ハイレンジを選択する。走行中でも88km/h以下の場合ではローからハイへの切り替えがおこなえる。4WDの場合、前後のトルク配分が50:50に固定されるのも特徴だ。

モノコックボディになれた身としては、このダイレクトな乗り心地は多少ハードに感じるが、普段使いができないわけではない。高いシートポジションから見下ろす感覚は独特で、なるほどクルマのボディ四隅の感覚が掴みやすい。このドライビングポジションとボディデザインが、道無き道をいく際に、ドライバーを大いに助けてくれるはずだ。余裕を持って設定されたロードクリアランスや、グリップ力の高さは、ランドローバーのディフェンダーとともに世界の2トップだろう。

我々には馴染みがなくとも、なにせ、未開の地をいく際にプロの冒険家が選べるのはこのラングラーぐらいしかないのだという。命に直結するシチュエーションで頼りになるのだ。エアコンやパワステ、パワーウィンドウなど現代風の快適装備を持ち合わせるようになったといっても、そこにあるのは「ザ・ジープ」ともいうべき本物の走破性能なのである。

試しに踏み荒らされた雪上の特設コースに乗り入れても、そんな悪条件をまったくものともしないラングラーの走破性能は、やはり別格である。普通のクルマならスタックするような大きな轍でも、ゆっくり踏みしめるように確実に進めば、難なくクリアできる。

ラフなアクセル操作では、きちんとトラクションコントロールシステムが介入し、グリップ力を失うようなことにはならない。絶大な信頼感。まさにその言葉がラングラーには相応しい。

Jeep Compass|ジープ コンパス
Jeep Wrangler Unlimited|ジープ ラングラー アンリミテッド
Jeep Grand Cherokee|ジープ グランドチェロキー

SUVのアイコン

さすが「ジープ」というべきパフォーマンス (5)

新型チェロキーもひとあし早くお披露目

従来まで続いたスクエアなボディがもたらすヘビーデューティなイメージを一新した、新型チェロキーが今春日本でも登場する。北米では昨年秋よりデリバリーを開始し、評判は上々だという。新型は「KL」のコードネームを持つFFのプラットフォームを採用したモデルで、より都会的なイメージの内外装デザインがあたらしい時代の到来を印象付ける。

北米モデルは、2.4リッター直4エンジンと3.2リッターのV6エンジンをラインナップ。9段ATが組み合わせられている。日本仕様の詳細はまだ明らかにされていないが、ジープのオフィシャルホームページではティーザーサイトの公開もはじまっており、そこには「グランドチェロキー」譲りのセレクテレインシステム(日本でのシステム名称未公開)を示唆する画像も紹介されている。

今回の試乗イベントで披露された実車をじっくり見ることができたのだが、猛禽類をもイメージさせるアグレッシブなエクステリアデザインは、これまでのジープのイメージを180度替えるものといえそうだ。たとえ大きくデザインを変えようとも、そこにはきっと、「ジープ」の名に相応しい、伝統の悪路走破性が受け継がれているはず。正式デビューがいまから楽しみである。

080507_eac_spec
Jeep compass Limited|ジープ コンパス リミテッド
ボディサイズ|全長4,475×全幅1,810×全高1,665mm
ホイールベース|2,635 mm
トレッド 前/後|1,520 / 1,520 mm
最低地上高|180 mm
最小回転半径|5.6 メートル
重量|1,550 kg
エンジン|2,359cc 直列4気筒 DOHC
圧縮比|10.5 : 1
ボア×ストローク|88×97 mm
最高出力| 125kW(170ps)/ 6,300 rpm
最大トルク|220Nm(22.4kgm)/ 5,100 rpm
トランスミッション|6段オートマチック(7DSG)
駆動方式|4WD
サスペンション 前|マクファーソンストラット
サスペンション 後|マルチリンク独立懸架
タイヤ|215/55R18
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ディスク
燃費(JC08モード)|10.7 km/ℓ
価格|325万円

Jeep Wrangler Unlimited Sahara|ジープ ラングラー アンリミテッド サハラ
ボディサイズ|全長4,705×全幅1,880×全高1,845mm
ホイールベース|2,945 mm
トレッド|1,570 mm
最低地上高|220 mm
最小回転半径|7.1 メートル
重量|2,315 kg
エンジン|3,604cc V型6気筒 DOHC
圧縮比|10.2 : 1
ボア×ストローク|96×83 mm
最高出力| 209kW(284ps)/ 6,350 rpm
最大トルク|347Nm(35.4kgm)/ 4,300 rpm
トランスミッション|5段オートマチック
駆動方式|4WD(パートタイム式)
サスペンション|コイルリジット
タイヤ |245/75R17
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ディスク
燃費(JC08モード)|7.5 km/ℓ
燃料タンク容量|85 ℓ
価格|397万9,500円

Jeep Grand Cherokee Limited│ジープ グランドチェロキー リミテッド
ボディサイズ│全長 4,835 × 全幅 1,935 × 全高1,805 mm
ホイールベース│2,915 mm
トレッド前/後│1,630 / 1,635 mm
最低地上高│215 mm
最小回転半径│5.7 m
エンジン│3,604 cc V型6気筒DOHC
最高出力│210(286 ps)/6,350 rpm
最大トルク│347 Nm(35.4 kgm)/4,300 rpm
トランスミッション│電子制御式8段オートマチック
駆動方式│4WD
タイヤ│265/60R18
ブレーキ前│ベンチレーテッド ディスク
ブレーキ後│ディスク
サスペンション 前|ダブルウィッシュボーン(エアサスペンション)
サスペンション 後|マルチリンク(エアサスペンション)
燃費(JC08モード)│8.6 km/ℓ
価格│542万8,500円

ジープ フリーコール
free150120-812-812(9:30-18:00、月-金、祝日は除く)

           
Photo Gallery