最新型グランドチェロキーに試乗|Jeep
Jeep Grand Cherokee|ジープ グランドチェロキー
特別な雰囲気を醸し出すアメリカンSUV
最新型グランドチェロキーに試乗
アメリカンSUVの代名詞といっても過言ではないジープ ブランドのクルマたちは、自慢の悪路走破性はそのままに、燃費の向上や現代装備の採用など、最新のクルマとしての機能は見えないところで進化をつづけている。塩見智氏がマイナーチェンジしたばかりのジープ「グランドチェロキー」を、路上から悪路に見立てた特設コースまで試乗。来日した開発担当者の話をまじえ、その最新モデルをリポート。
Text by SHIOMI Satoshi
Photographs by NAITO Takahito
ソーシャルネットワーク ブランド
昨年、ジープ ブランドはグローバルの販売台数が70万台を超え、1999年の67万台という過去最高の記録を塗り替えた。今回、モデルチェンジしたジープ「グランド チェロキー」の日本発売にさいして来日した開発責任者のジョン・ボンザック氏は「アメリカのナンバーワンSUVブランドとなった」と胸を張る。
また彼いわく、ジープはたんなるクルマの名前ではなく、ある種のソーシャルネットワークでもあったという。
歴史あるブランドだけに、オーナーのあいだに何かしらの価値観が共有され、情報交換なども盛んなイメージが確かにある。かつて「紳士だったら知っている~ 服地はミユキと知っている~」というCMがあったが、ジープ乗りにも、クルマはジープと決めている~的なロイヤリティの高さを感じる。そういう意味でソーシャルネットワークだと言ったんだとおもう。ちがってたらごめんなさい。
それはさておき、グランドチェロキー。4世代目となる現行型は2010年に発売された。開発スタート時にはまだクライスラーがダイムラー・ベンツと提携していた関係で、プラットフォームは先代メルセデス・ベンツ「Mクラス」と共有する。クライスラーにとってはシュトゥットガルトの最後の置き土産だ。従って、Mクラス同様、オンロードでの快適性の高いSUVだった。
ただし、効率の面で少し遅れをとっていた。比較的設計のあたらしい3.6リッターLの“ペンタスター”V6エンジンは、ジープのエンジンとしてはパワーも燃費も異例に高い次元でバランスした高効率エンジンだったのだが、組み合わせられるATが5段で、燃費面では不利だった。
今回、クライスラー「300」をはじめ、欧米のおおくのエンジン縦置き車がこぞって採用するZF製8段ATが全グレードにそなわったことで、V6エンジン搭載車のJC08モード燃費は従来比7.5パーセントアップの8.6km/ℓに向上した。
5.7リッター V8ヘミエンジン搭載車はようやく6.4km/ℓだが、従来モデルよりは向上しているのだ。6.4リッター V8ヘミエンジンを積むSRT8は5.5km/ℓだが、これはそれを承知で乗る人ばかりなので特に問題はないはず。
Jeep Grand Cherokee|ジープ グランドチェロキー
特別な雰囲気を醸し出すアメリカンSUV
最新型グランドチェロキーに試乗 (2)
モア アグレッシブ デザイン
もともと男前だったエクステリアデザインの変更は最小限にとどめられた。バイキセノン ヘッドランプが全グレードに採用されると同時にヘッドランプ周りのデザインが若干かわった。ジープは「モア アグレッシブ デザイン」とよぶ。
インテリアの最大の変更点は、センターパネルの8.4インチタッチスクリーンが採用された点だろう。
カーナビをはじめ、オーディオや車両のいろいろなシステムのほとんどをここをタッチしてコントロールする。階層が何段階かにわかれているので、一発で欲しい機能に達しないきらいはあるが、慣れれば大丈夫だろう。物理的なスイッチが減ってセンターパネルがすっきりした。
自慢せず黙って実感してもらう走破性能
今回は、3.5リッターの「ラレード」と「リミテッド」をテストすることができた。燃費のために採用された8段ATではあるが、5段にくらべ変速機会が増えたにもかかわらず、変速ショックをほとんどかんじさせず、街中での走りの質感が確実に向上した。ボディもしっかりしていて、オンロードでの挙動は快適そのもの。
特にエアサスのリミテッドは欧州のプレミアムブランドのSUVにも引けをとらない乗り心地で、お買い得感が強い。前車追従クルーズコントロールなどの最新機能も選ぶことができるので、いまや特有の雰囲気を味わうためにアメリカ車を選ぶかわりに、我慢しなければならないことなんてない。
グランドチェロキーの場合、歴代かならず一級の悪路走破性がそなわるので、今回のマイナーチェンジにさいして、インポーターもさほど機能をPRしない。試乗コースに特設されたバンク路や左右で凹凸が少しずつズレた路面が用意されていて、それらをあっさり走破させることでさらっと証明していた。
Jeep Grand Cherokee|ジープ グランドチェロキー
特別な雰囲気を醸し出すアメリカンSUV
最新型グランドチェロキーに試乗 (3)
キング オブ 使い倒す系SUV
少し紹介すると、グランドチェロキーはグレードによって細かく4WDシステムを差別化している。まず2種類あるV6 3.5リッター エンジン搭載車のうち、廉価な「ラレード」には金属バネ、上級な「リミテッド」にはエアサスがもちいられる。エアサスだと車高を4段階に調整でき、乗降時や高速走行時には車高を低く、悪路走行時には高くできる。
V8 5.7リッター エンジンを積むより上級な「サミット」にもエアサスがつく。デフの制御システムは、V6のラレードとリミテッドには“クォドラ トラックII”、V8のサミットには電子式LSDで前後のデフを制御する、より高級な“クォドラ ドライブII”がそなわる。
ただし、路面状況に応じて手もとのダイヤルを回すだけでスロットルコントロール、変速プログラム、トランスファー、ヒルディセントコントロールなどを統合的に調整してくれる“セレクテレイン”が全グレードにそなわるので、廉価なラレードでも相当な悪路走破性をほこる。
ちなみにV8 6.4リッターの「SRT8」はFRを基本とし、必要におうじて前輪も駆動するオンロード寄りのシステムがそなわる。SRT8だけはスポーツカーをカモるためのグラチェロなので、極端な悪路に足を踏み入れてはいけない。特別なSRT8をのぞく3グレードのうち、V6では絶対に得られない官能性ももつV8であり、機能も全部載せのサミットは確かに魅力的だが、669.9万円と結構なお値段(それでも欧州勢のV8よりはかなり買い得だが)。
また、V6がパワフルなので、このクルマの場合、どうしてもV8が欲しいとはかんじない。V6ならラレードが427.35万円とお買い得だが、エアサスによる快適性と車高調整システムが欲しいので、542.85万円のリミテッドがベストかな……なんて考えるのはじつにたのしい。
細かく書いたが、グランドチェロキーの醸す雰囲気はほかのSUVとちがって特別で、このクルマってだけでオーナーがアウトドアやウインタースポーツの上級者に見える。実際その割合もおおいはず。キング オブ 使い倒す系SUVの地位は安泰だ。欲をいえば、北米にも展開しているV6、3リッター ディーゼルをもってきてほしい。ボンザック氏は「可能性はある」と言っていたので、もしかしたら現行モデルのうちに入ってくるかもしれない。
Jeep Grand Cherokee Laredo│ジープ グランドチェロキー ラレード
ボディサイズ│全長 4,835 × 全幅 1,935 × 全高 1,825 mm
ホイールベース│2,915 mm
トレッド 前/後│1,630 / 1,635 mm
最低地上高│230 mm
最小回転半径│5.7 m
エンジン│3,604 cc V型6気筒DOHC
最高出力│210(286 ps)/6,350 rpm
最大トルク│347 Nm(35.4 kgm)/4,300 rpm
トランスミッション│電子制御式8段オートマチック
駆動方式│4WD
タイヤ│265/60R18
ブレーキ前│ベンチレーテッド ディスク
ブレーキ後│ディスク
サスペンション 前|ダブルウィッシュボーン
サスペンション 後|マルチリンク
燃費(JC08モード)│8.6 km/ℓ
価格│427万3500円
Jeep Grand Cherokee Limited│ジープ グランドチェロキー リミテッド
ボディサイズ│全長 4,835 × 全幅 1,935 × 全高1,805 mm
ホイールベース│2,915 mm
トレッド前/後│1,630 / 1,635 mm
最低地上高│215 mm
最小回転半径│5.7 m
エンジン│3,604 cc V型6気筒DOHC
最高出力│210(286 ps)/6,350 rpm
最大トルク│347 Nm(35.4 kgm)/4,300 rpm
トランスミッション│電子制御式8段オートマチック
駆動方式│4WD
タイヤ│265/60R18
ブレーキ前│ベンチレーテッド ディスク
ブレーキ後│ディスク
サスペンション 前|ダブルウィッシュボーン(エアサスペンション)
サスペンション 後|マルチリンク(エアサスペンション)
燃費(JC08モード)│8.6 km/ℓ
価格│542万8500円
Jeep Grand Cherokee Summit│ジープ グランドチェロキー サミット
ボディサイズ│全長4,880 × 全幅1,935 × 全高 1,805 mm
ホイールベース│2,915 mm
トレッド前/後│1,630 / 1,635 mm
最低地上高│215 mm
最小回転半径│5.7 m
エンジン│5,654 cc V型8気筒OHV
最高出力│259(352 ps)/5,200 rpm
最大トルク│520 Nm(53.0 kgm)/4,200 rpm
トランスミッション│電子制御式8段オートマチック
駆動方式│4WD
タイヤ│265/50ZR20
ブレーキ前│ベンチレーテッド ディスク
ブレーキ後│ディスク
サスペンション 前|ダブルウィッシュボーン(エアサスペンション)
サスペンション 後|マルチリンク(エアサスペンション)
燃費(JC08モード)│6.4 km/ℓ
価格│669万9000円
Jeep Grand Cherokee SRT8│ジープ グランドチェロキー SRT8
ボディサイズ│全長 4,850 × 全幅 1,985 × 全高1,800 mm
ホイールベース│2,915 mm
トレッド前/後│1,670 / 1,660 mm
最低地上高│195 mm
最小回転半径│5.7 m
エンジン│6,416 cc V型8気筒OHV
最高出力│344(468 ps)/6,250 rpm
最大トルク│624 Nm(63.6 kgm)/4,100 rpm
トランスミッション│電子制御式8段オートマチック
駆動方式│4WD
タイヤ│295/45ZR20
ブレーキ前│ベンチレーテッド ディスク
ブレーキ後│ディスク
サスペンション 前|ダブルウィッシュボーン(コイルサスペンション)
サスペンション 後|マルチリンク(コイルサスペンション)
燃費(JC08モード)│5.5 km/ℓ
価格│724万5000円
ジープフリーコール
0120-712-812