7代目ゴルフに試乗|Volkswagen
CAR / IMPRESSION
2015年1月23日

7代目ゴルフに試乗|Volkswagen

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

7代目ゴルフに試乗

1975年に初代が登場して以来、38年の歴史をもつフォルクスワーゲン 「ゴルフ」。フルモデルチェンジを経て進化した7代目がいよいよ、日本に上陸した。まず先陣を切って日本で発売となる、1.2リッターエンジン搭載車の「コンフォートライン」と、1.4リッターエンジンを搭載した「ハイライン」のハンドルを、小川フミオ氏が握った。

Text by OGAWA FumioPhotographs by MOCHIZUKI Hirohiko

先代の美点を伸ばす方向のモデルチェンジ

7世代目になったフォルクスワーゲン 「ゴルフ」が、2013年6月25日に日本発売。今回は、新世代のプラットフォームを与えられた、完璧なフルモデルチェンジだ。エンジンもあたらしくなった新型ゴルフの、ドライビングインプレッションをさっそくお届けする。

先代は、5世代目のプラットフォームを使いながらも、操縦性、燃費経済性、快適性などで高いレベルに達していただけに、フルモデルチェンジがゴルフをどのように進化させるか。それが、僕のような自動車ジャーナリストにとって、大きな興味だった。

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

今回のゴルフは、「MQB」とよばれる新世代のエンジン横置き用のプラットフォームを使っている。エンジンも軽量化と高効率化を目的に新設計され、かつ、サスペンションも上級車種には新開発のマルチリンク式がリアに採用。注目点が多い。

それらがもたらしたものは、ひとことでいうと、上質感だ。スムーズな加速、しなやかな乗り心地、軽快なハンドリング、そして高い静粛性。乗ると、先代の美点を伸ばす方向のモデルチェンジだとわかる。

「スタイリング的には側面のキャラクターラインの入れかたなど、スポーティな印象が強いが」という僕の感想にたいして、フォルクスワーゲン グループ ジャパンでは、スポーティな路線は、これから投入される予定の「GTI」や「R」といったモデルで補完するのだと答えてくれた。

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

7代目ゴルフに試乗 (2)

1.2リッターTSIエンジン搭載車は国産ハイブリッドに迫る燃費

新型ゴルフに用意されるエンジンは、1.2リッターと1.4リッターの2種類。個別にみると、1.2リッターの4気筒ユニットは、ブロックがアルミニウムに変更されたのが注目点。インタークーラー付きターボチャージャーを装備して105psの最高出力と175Nmの最大トルクは数値的に不変だが、エンジンマネージメントシステムの変更と軽量化によって、燃費はJC08モードでリッター21.0km(1.2リッター車)。「高速走行が多い使いかただと、トータル燃費では国産ハイブリッドに迫る」と、フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)では胸を張る。

この1.2リッターが搭載されるモデルは、「TSIトレンドライン」(249万円)と「TSIコンフォートライン」(269万円)。ちがいは装備にあるだけで、走りの本質は不変だ。先代よりパワー感が上がり、日常使いでは、市街地でも高速でも不満のない動力性能を有しているのに感心した。

ヘッドルームは広々としているし、後席はライディングポジションを下げたため、「上級セダンに乗っているような気分になるはず」(VGJ)というのも納得できる。

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

細めだが立体的なデザインの握が気持ちよいハンドルの操舵力は軽めで、クルマの反応はよいために、カーブでも軽快。最近は、信号を曲がるときでも楽しさを感じられることが、自動車メーカーの開発テーマのひとつでもあるようだ。フォルクスワーゲンの開発陣におなじような目的があったか不明だが、新型ゴルフも同様の楽しさがある。日常使いでも気分がよいドライブができるはずだ。

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

高速では空力ボディのせいだろう、速度の伸びがよく、エンジン排気量から想像される以上の余裕をもって走行ができる。路面からも窓まわりからも騒音の侵入は低く抑えられていて、長距離ドライブでも疲労感はかなり少なそうだ。1.2リッターモデルのリアサスペンションはトレーリングアーム方式で、ごつごつ感があるという批評を読んでいたが、僕には問題は感じられなかった。リアに成人男子が乗ったときは、とりわけしっとり感が出た。

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

7代目ゴルフに試乗 (3)

1.4リッターエンジンはシングルターボに一本化

先代ゴルフには、1.4リッターエンジンに、ターボチャージャー1基を装着した「コンフォートライン」(122ps)と、スーパーチャージャーとターボ-チャージャーを装着の「ハイライン」(160ps)が設定されていたが、今回はシングルターボの「TSI ハイライン」に一本化された。

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

新型「TSI ハイライン」(299万円)は、140psの最高出力と250Nmの最大トルクをもつ。数値的には、先代のツインチャージャーモデルより劣るが、僕としては先代ハイラインには「やりすぎ」感が強く、GTIとの差異化も不明確だったことから、今回の「中間的なキャラクター」(VGJ)には賛成だ。

さらに「アクティブシリンダーマネージメント」が採用され、負荷の少ない運転時には4気筒うち2気筒が休止して燃費をかせぎ、走行距離あたりのCO2排出量を低減するようになっている。

乗ると、エンジントルクがたっぷりあり、1.2よりあきらかにパワフルだ。試乗したクルマにはオプションの「アダプティブシャシーコントロール“DCC”」が装備されており、「スポーツ」「ノーマル」「コンフォート」という3つのモードでダンピングを選択できる。

また、あわせて「ドライビングプロファイル機能」で、エンジンやシフトのプログラム、アクセルレスポンス、さらにステアリングトルクなどが3つのモードにあわせて変わる。

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

たとえば、もっともスポーティな設定「スポーツ」を選択すると、あきらかに活発な印象だ。わずかなアクセルペダルの踏み込みにも敏感に反応してクルマが加速する。ワインディングロードなどでは、楽しさが増す装備だろう。先代「ハイライン」ほどではないにしても、積極的にドライブを楽しみたいというドライバー向けだ。でも僕には、「コンフォート」モードで充分なように感じた。

乗り心地がしっとりしていて、上質感があるのは1.4も同様。スポーティさより快適性がこのクルマの身上だろう。走行中はシャシーのバイブレーションはほとんどなく、音の侵入もごくわずか。クラスがひとつかふたつ、上がった感じがある。1.4はリアサスペンションがマルチリンク式なので、路面の凹凸への追従性がよくなると同時に、コーナリング中の挙動の安定性が高くなっているのは想像できるが、今回の試乗では確認できなかった。

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

7代目ゴルフに試乗 (4)

ゴルフが新世代に入ったことがわかる

インテリアは機能主義的なデザインだ。必要なところに必要なコントロール類が配されている(ただしオプションの「アダプティブシャシーコントロールDCC」のスイッチは右ハンドルの場合シフトレバーに隠れて見えなくて使いづらい)。

モニタースクリーンはタッチセンサーを採用しており、スマートフォン世代にはなじみあるデザインといえるかもしれない。ただしブラインドタッチではやや難がある。

シートのかけ心地はクロースでもオプションのレザーでも快適で、クッション性があるとともにホールドもよい。このへんの作りは、日本車はあいかわらず追いつけていないと感じる。「ハイライン」は「hign up!」のような光沢ある黒色のパネルが一部に採用されているのがモダンな印象だ。ゴルフが新世代に入ったことがわかる。

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

パネルのあわせかたなどは先代までのほうがクオリティ感が高かったので、この光沢パネルのあたらしい雰囲気で気分的な上質感を演出してもらいたい。ほかのモデルにもぜひとも設定してもらいたいとおもった。

「ゴルフ史上最高の燃費」と謳われる新型ゴルフでは、2014年の終わりまでにはディーゼルエンジン搭載モデルの導入ともいわれているが、いまの3つのモデルすべてが「エコカー減税100パーセント」対象車となっている。

また、1.2「コンフォートライン」と1.4「ハイライン」では全車速追従機能つき「アダプティブクルーズコントロール」が備わる。先行車が停止した場合、自車も停止したのち、アクセルペダルを軽く踏むと、また先行車に追従しながらも設定速度を維持するというものだ。

「ハイライン」にはさらに「レーンキープアシストシステム」が備わり、ドライバーが意図しない車線の逸脱をクルマが検知した場合、ハンドルへの振動と、さらに自動でハンドルを動かし補正をおこなう。

最近は、ボルボ「V40」に代表されるように、安全装備の豊富さが消費者に歓迎される傾向が強い。ゴルフの購買層は、とくに安全性を重視する傾向が強いのは想像に難くない。その点でも、新型ゴルフは確実にあたらしい世代のファミリーカーとして進化しているのだ。

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Volkswagen Golf TSI Trendline|フォルクスワーゲン ゴルフ TSI トレンドライン

Volkswagen Golf TSI Comfortline|フォルクスワーゲン ゴルフ TSI コンフォートライン

ボディサイズ|全長4,265×全幅1,800×全高1,460 mm

ホイールベース|2,635 mm

トレッド 前/後|

   (トレンドライン) 1,550/1,520 mm

   (コンフォートライン) 1,545/1,515 mm

トランク容量|380-1,270 リットル

最小回転半径|5.2メートル

重量|1,240 kg

エンジン|1,197 cc 直列4気筒 直噴 ターボ

最高出力| 77 kW(105 ps)/4,500-5,500 rpm

最大トルク|175 Nm /1,400-4,000 rpm

トランスミッション|7段オートマチック(7DSG)

圧縮比|10.5:1

駆動方式|FF

タイヤ|

   (トレンドライン) 195/65R15

   (コンフォートライン) 205/55R16

燃費(JC08モード)|21.0 km/ℓ

価格|

   (トレンドライン) 249万円

   (コンフォートライン) 269万円

Volkswagen Golf TSI Highline|フォルクスワーゲン ゴルフ TSI ハイライン

ボディサイズ|全長4,265×全幅1,800×全高1,460 mm

ホイールベース|2,635 mm

トレッド 前/後|1,535/1,510 mm

トランク容量|380-1,270 リットル

最小回転半径|5.2メートル

重量|1,320 kg

エンジン|1,395 cc 直列4気筒 直噴 ターボ

最高出力|103 kW(140 ps)/4,500-6,000 rpm

最大トルク|250 Nm /1,500-3,500 rpm

トランスミッション|7段オートマチック(7DSG)

圧縮比|10.0:1

駆動方式|FF

タイヤ|225/45R17

燃費(JC08モード)|19.9 km/ℓ

価格|299万円

           
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