メルセデス・ベンツ新型CLSが魅力的な理由|Mercedes-Benz
CAR / IMPRESSION
2018年3月27日

メルセデス・ベンツ新型CLSが魅力的な理由|Mercedes-Benz


Mercedes-Benz CLS 450 4MATIC|メルセデス・ベンツ CLS 450 4MATIC


Mercedes-AMG CLS 53 4MATIC+|メルセデスAMG CLS 53 4MATIC+


余裕ある男は4ドアクーペに乗ろう


メルセデス・ベンツ新型CLSが魅力的な理由


メルセデス・ベンツの「CLS」がフルモデルチェンジし3代目へと進化した。セダンとは明確な差別化を図るべく4ドアクーペとしてスタイリングが見直されたほか、パワートレーンに新開発の直列6気筒エンジンを搭載し、ハンドリングも向上したという。優雅なスタイルと上質な走りを両立したこのクルマに、小川フミオ氏がバルセロナ近郊で試乗した。


Text by OGAWA Fumio



エレガンスへ回帰するCLS


メルセデス・ベンツ「CLS」は4ドアクーペという潮流を自動車界に作った記念碑的なモデルだ。3代目へとモデルチェンジした新型がまたよい。2005年発表の初代へとコンセプトを戻し、エレガンスを強調したようなスタイルなのである。


CLSの魅力といえば、まず、ドアを4枚備えているが、前席を主体としたようなパーソナル感が思いつく。「Sクラス」や「Eクラス」だと“重い”なと感じているユーザーにぴったりのクルマなのだ。



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Mercedes-Benz CLS 450 4MATIC


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新型CLSは改めて4ドアクーペというコンセプトに忠実にデザインされた。2代目にはハッチゲートを備えたシューティングブレークというモデルもあるのだけれど、もっとスタイリングの意図を明確にしたかった、と開発担当者は話している。


「シューティングブレークなど一部のユーザーには好評だったのですが、ステーションワゴンとして買う人がいて、そういう人からは荷室が狭すぎる、というクレームが入ったのは事実です。そこで3代目では思い切って初代のコンセプトに戻したのです」




全体のまとめを担当したマリヤン・チェリグ氏は、今回の試乗会でインタビューに答えてそう教えてくれた。


新型CLSは、しかも、メルセデス・ベンツのデザインの新時代を感じさせる。シャークノーズと呼ばれる逆傾斜のついたフロント部分に、薄い吊り目のヘッドランプを備える。



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全長4,988×全幅1,890×全高1,435mmのボディは、数値からみてわかるようにけっして小さくはない。しかし実車は凝縮感があって、そこまでの大きさを感じさせない。




Mercedes-Benz CLS 450 4MATIC|メルセデス・ベンツ CLS 450 4MATIC


Mercedes-AMG CLS 53 4MATIC+|メルセデスAMG CLS 53 4MATIC+


余裕ある男は4ドアクーペに乗ろう


メルセデス・ベンツ新型CLSが魅力的な理由 (2)



回帰し進化した新開発エンジン


新型CLSの魅力はもう一つ、動力性能だ。僕は今回バルセロナ市内を起点に、山岳路と高速道路を走りまわる機会を得たが、新開発のエンジンと、ハンドリングのよさは素晴らしく印象的なのだ。


動力性能のヒミツの一端は新しいパワープラントにある。新型「CLS 450」に搭載された3リッター直列6気筒エンジンだ。


メルセデス・ベンツではスペース効率や燃焼効率に優れる点に注目し、直列エンジンに“回帰”してきた。さらに加えてISGというシステムを採用したのが大きな特徴である。



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ISGとは「一体型スタータージェネレーター」の略で、文字どおりエンジンのスタートが役割。加えて電気モーターの力を加速に利用する。


エンジンはどうしても爆発してトルクを出すまでにタイムラグが生じてしまう。そこをモーターのトルクで補うのがISGである。


メルセデス・ベンツではこれを「EQブースト」と呼んでいるけれど、独創的なものではない。独創的なのは、モーターは通常ベルト駆動だが、同社では精度を出すために歯車を使った点だ。機構的に凝っている。


さらに電気で駆動されるスーパーチャージャーと、ツインスクロール型ターボチャージャーが備わる。270kW(367ps)の最高出力と500Nmの最大トルクを発生する。




Mercedes-Benz CLS 450 4MATIC|メルセデス・ベンツ CLS 450 4MATIC


Mercedes-AMG CLS 53 4MATIC+|メルセデスAMG CLS 53 4MATIC+


余裕ある男は4ドアクーペに乗ろう


メルセデス・ベンツ新型CLSが魅力的な理由 (3)



あらゆる領域をカバーする懐の深さ


実際に素晴らしく力のあるエンジンである。ごく低回転域から伸びのいい回転マナーとともに、あふれるようなトルクが生み出される。


電気モーターとスーパーチャージャーとターボチャージャーの連繋ぶりも見事。いっさいトルクが落ち込むことはない。


発進時のごく低回転域からレッドゾーン近くまで、あらゆる領域でアクセルペダルへの踏み込みに対する反応はするどく、運転者は車両との一体化を強く感じるだろう。



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Mercedes-AMG CLS 53 4MATIC+


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しっかりした足回りでロール制御もできており、コーナリング中に腰くだけにならない。次のコーナーをめがけてダッシュしていく素早さはスポーツカーのようだ。


いっぽうで高速道路などゆったりといきたいときは、たとえスポーツモードでも快適。しっとり感があり、上質なのだ。


通常クルマは「スポーティ」とか「ゆったり優雅」とかキャラクターがはっきりしているものだが、メルセデスはすべてが味わえる。CLSも同様。あらゆる領域をカバーする懐の深い乗り味が堪能できた。


今回はメルセデスAMGの「CLS 53」にも乗った。320kW(435ps)と520Nmと3リッター直列6気筒をチューン。足まわりはやや締め上げられ、ステアリングはよりクイックな印象だが、こちらのダイレクト感もかなり好感度が高い。



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メルセデスAMGの手にかかると6気筒エンジンのスポーティな部分が光る。高回転まで回すと素材のいいエンジンだなあと感心。


ハンドリングはよりオンザレール感が強くなるいっぽう、ブレーキの制動力があがり、同時に効きが繊細なので、自分の思ったとおりにクルマが動く快感を堪能できるのだ。


室内の居心地もよい。後席は175cmの男が二人気持ちよく座っていられる空間が確保されている。機能性はしっかり確保しつつ、新しい時代へと歩を進めたモデルだ。