ボルボの新型V90 クロスカントリーに試乗|Volvo
CAR / IMPRESSION
2017年12月29日

ボルボの新型V90 クロスカントリーに試乗|Volvo

Volvo V90 Cross Country T6 AWD|ボルボ V90 クロスカントリー T6 AWD

ボルボの新型クロスカントリーV90に試乗

今年7月にマイナーチェンジされたボルボの「90」シリーズ。なかでもクロスカントリーは、ステーションワゴンの良さとオフロードのテイストを上手くまとめた人気の車種だ。「XC」シリーズと差別化したことによってより洗練された印象の「V90 クロスカントリー」に、小川フミオ氏が試乗した。

Phorographs by ARAKAWA MasayukiText by OGAWA Fumio

洗練された高級ワゴン

ボルボは1980年代からステーションワゴンで人気を呼んできた。ワゴンボディを使いながら車高を少し上げたのがクロスカントリー。

オフロードのテイストがうまくブレンドされたのが魅力といえる。2002年に発表された「XC70」からボルボの看板車種のひとつとなっている。

ホイールアーチを強調することで足回りの力強い存在感が出ている。同時に車高を抑えることで前後長の長いルーフラインを活かした伸びやかさが感じられる。

ステーションワゴンのよさを活かしたクロスカントリー的コンセプトは、アウディのオールロードクワトロやスバルの(レガシィ)などの成功例がある。

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ボルボはなかでも都会的なセンスがより強く出ているところが特徴といえるのではないだろうか。かつプレスティッジ感では、「V90クロスカントリー」は群を抜いている。

全高の高いSUVを「XC」シリーズ(「XC90」、「XC60」それに「XC40」)としてモデルラインを見直したあたりから、従来のステーションワゴン・ベースのクロスカントリーはより洗練された印象が強くなった。

V90クロスカントリーは、いってみれば自然のなかへと乗っていける高級ワゴンである。張りのある面で構成されたボディと、質感の高い内装は、高級リゾートホテルと表現したらよいだろうか。

ヘッドランプには「トールハンマー」とボルボが呼ぶT字型ポジションランプが採用されている。凹凸を活かして立体な造型のフロントグリルの意匠とともに、新しい世代という印象が強いのも魅力になっている。

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全長4,940mm、全幅1,905mm、そして全高1,545mmと、車高は55mmていど標準のV90より上がっているとはいえ、低くて長くてワイドな迫力あるルックスが魅力である。

エンジンは2種類。ともに2リッター4気筒ガソリンエンジンで、出力ちがいとなっている。ひとつは187kW(254ps)の「T5」、もうひとつは235kW (320ps)をしぼりだしている「T6」である。

車体は5メートルちかいが、2リッターを超える排気量のエンジンは作らないというのがボルボのポリシーだ。数字のちがいは過給(と出力)のちがいとなる。

T5はインタークーラー付きターボチャージャーを備えており、T6は加えてスーパーチャージャーも。回転域にかかわらず高出力を得ているのが特徴だ。ともに8段オートマチック変速機が組み合わせられる。

Volvo V90 Cross Country T6 AWD|ボルボ V90 クロスカントリー T6 AWD

ボルボの新型クロスカントリーV90に試乗 (2)

自分好みのドライビングモードに

試乗したのはV90クロスカントリーT6 AWD。乗ってすぐ感じるのは、低回転域でのトルク感だ。数値でみても2,200rpmから最大トルクが出始めるだけあり、低い速度域で強い加速感がある。

ドライブモードセレクターを備えていて、センターコンソロールのコントローラーで切り替えられる。モードは「コンフォート」「エコ」「ダイナミック」「オフロード」それに「インディビデュアル」だ。

「コンフォート」はデフォルト。何も選択しなければ通常このモードで車両は走行する。ステアリングホイールは軽めでダンピングもソフト寄りの設定だ。

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「エコ」はアイドリング時に負荷が低ければエンジンを停止し、ブレーキペダルを踏む力を緩める始動するスタート/ストップ機能が働くなど燃費重視モードだ。

「ダイナミック」はシフトタイミングが上の回転を使うように変わり、ステアリングスピードは速く、ダンピングは硬くなる。

「オフロード」はステアリングホイールが軽くなると同時に、4WDシステムやヒルデセントコントロールが連動。ただし低速時のみしか選べない。

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「インディビデュアル」はステアリングホイールのフィール、変速タイミング、ブレーキ特性、ダンピングなどをダッシュボードのモニターをタブレット端末のように操作して選んでいく。だいたい3段階の設定のなかから好みで組み合わせていける。

フルタイム4WDシステムは前輪駆動を基本にしたボルボ独自のもの。「プレチャージ式電子制御AWDシステム」と名づけられており、停止状態から後輪に少しトルクを回し、よりスムーズな発進をめざしている。

通常ではほぼ前輪駆動で燃料消費を抑えるが、センターディファレンシャルはつねにスタンバイしていて、必要に応じて最大50パーセントまでのトルクを瞬時に後輪に伝えるようになっているのだ。

Volvo V90 Cross Country T6 AWD|ボルボ V90 クロスカントリー T6 AWD

ボルボの新型クロスカントリーV90に試乗 (3)

居心地の良いクルマ

ぼくの感想としては高速では「ダイナミック」モードがもっとも楽しかった。400Nmの最大トルクを2,200rpmから発生しはじめる設定からわかるように低回転域からトルキーなパワートレインのはずだが、3,000rpm以上をキープしたほうがより活発に走るのだ。

ステアリングホイールの感覚も重めの設定になるとよりしゃきっとして、V90クロスカントリーのスポーティなルックスにふさわしいドライブフィールに近づけることが出来る。

全体の印象としては、室内の居心地のよさが際立つクルマだ。走行中の静粛性は高いし、ドライブモードで「コンフォート」を選択したときのソフトな乗り心地もよい。

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「アンバー」と呼ばれるカラーのレザーシートが、ブラックのダッシュボードとコントラストを見せる内装もぜいたくさを感じさせる。もてなし感に溢れていて、V90クロスカントリーでも大きな魅力となっている。

かりにこのクルマで早朝から海に出かけようと誘われたとき、たとえまだ早暁の暗闇でもドアを開けて居心地のよさそうなインテリアが見えたら、なんともいい気分になりそうだ。

その意味でももてなしてくれる印象が強い。家具や防寒着の機能性やデザインに気を遣うスウェーデンの気質とでもいいのか。ほかには見当たらないハートウォーミングなデザインが大きな魅力である。

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V90 Cross Country T5
ボディサイズ|全長4,940 × 全幅1,905 × 全高1,545 mm
ホイールベース|2,940 mm
車両重量|1,850 kg
エンジン|1,968 cc水冷直列4気筒DOHCガソリンターボ
最高出力|187 kW(254 ps)/5,500 rpm
最大トルク|350 Nm(35.7 kgm)/1,500-4,800 rpm
トランスミッション|8段AT
駆動方式|AWD
サスペンション前|ダブルウィッシュボーン
サスペンション後|マルチリンク
燃費(JC08モード)|13.1 km/ℓ
価格|699万円~

V90 Cross Country T6
ボディサイズ|全長4,940 × 全幅1,905 × 全高1,545 mm
ホイールベース|2,940 mm
車両重量|1,870 kg
エンジン|1,968 cc水冷直列4気筒DOHCガソリンターボ
最高出力|235 kW(320 ps)/5,700 rpm
最大トルク|400 Nm(40.8 kgm)/2,200-5,400 rpm
トランスミッション|8段AT
駆動方式|AWD
サスペンション前|ダブルウィッシュボーン
サスペンション後|マルチリンク
燃費(JC08モード)|11.5 km/ℓ
価格|769万円~

問い合わせ先

ボルボお客様相談室

0120-922-662
受付時間:9:00-17:00(休日を除く月-金曜日)

           
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