ボルボの新型SUV、XC60に試乗|Volvo
Volvo XC60|ボルボ XC60
ボルボの新型SUV、XC60に試乗
3月のジュネーブモーターで第2世代へと進化、10月には早くも日本上陸を果たしたボルボのミッドサイズSUV「XC60」。国内販売のじつに30パーセントを占めるというこの新型XC60に小川フミオ氏が早速試乗、その進化のほどを確かめた。
Phorographs by ARAKAWA MasayukiText by OGAWA Fumio
進化したスタイリングと最新技術の融合
完全自動停止の自動ブレーキをどこより早く導入したボルボ「XC60」がフルモデルチェンジ。2017年10月に日本での発売が開始された。乗ると個性がある。それこそ最も大事なものだ。
ニューモデルを続々と発売しているボルボカー。2017年には「S90」、「V90」と大型セダンおよびステーションワゴンの新型が日本で発売された。
9月にミラノでコンパクトSUV市場に切り込む「XC40」を発売したと思ったら、3月にジュネーブ自動車ショーで発表された新型「XC60」が10月には日本市場に導入された。
SUVの売れ行きは依然として好調という。「XC90」の下に位置しつつ、装備も豊富でゆたかなライフスタイルを感じさせるXC60は発売いらいセールスは好調。
「日本市場での販売台数はずっと右肩上がりで推移してボルボ車の30パーセントを占める重要な車種」と輸入元のボルボカーズジャパンの広報担当者は語る。
それだけに新型にも期待がかかる。いいところは引き継ぎ、いまいちなところは思いきって変える。それがモデルチェンジの常道だとすると、新型はよくやっている。
新しいXC60は寝かされたリアウィンドウを持つプロファイルは継承。ぱっと見てすぐボルボとわかるスタイリングだ。
「レボリューション(革命)でなくエボリューション(進化)」とボルボが今回のモデルチェンジの肝を端的に表現している。
見えないところ、つまりシャシーは進化というより、まったくの新型。電動化も見据えているそうで、XC90と基本は同じものが採用された。
新しいシャシーにより、パッケージングがよくなり(室内が広くなり)、同時に前後重量バランスの改善や軽量化で操縦性が向上していることが謳われる。
見た目で新しいのはフロントマスク。「トールハンマー」と呼ばれるT字の入ったヘッドランプはボルボの新しいラインナップに共通のものだ。
しかもそのトールハンマーの先っぽが従来のモデルより内側に伸びて、グリルに突き刺さるような斬新な意匠になったのも新型XC60の特徴だ。
サイドビューもボディ下部にえぐったようなキャラクターラインを入れ(XC40などと共通のおそらく最新のデザインテーマ)躍動感を生み出している。
ラインナップは「T8」「T6」「T5」そして「D4」。まず2リッター4気筒搭載の「T5 AWD」(599万円~)と、2リッター4気筒のハイブリッド「T8ツインエンジンAWD」(884万円)を導入。
2018年3月をめどにパワフルな2リッター4気筒の「T6」(724万円)と、2リッター4気筒ディーゼルの「D4 AWD」(599万円~)が追加される。
内外装のバリエーションは豊富だ。モデルによってはベースモデルに「モメンタム」を据え、ラグジュリーに振った「インスクリプション」と、スポーティな「Rデザイン」の展開だ。
Volvo XC60|ボルボ XC60
ボルボの新型SUV、XC60に試乗 (2)
状況に合わせて快適な走りを選択可能
今回試乗の機会を得たのは「T5 AWD インスクリプション」。サイドのキャラクターラインによってボディが薄く見え、4つの車輪の存在感が強調されているのが印象的だ。
T5はどちらかというとベーシックモデル。187kW(254ps)の最高出力と350Nmの最大トルクを発生する2リッター ガソリンエンジンにフルタイム4WDシステムが組み合わせてある。
ラインナップのなかで最も出力が低いのだが、それでも最大トルクが350Nmもあるわけだから、低回転域から力はたっぷり。
従来よりパワーで7kW上がりトルク値は不変。といっても350Nmもあれば十分だ。じっさい、街中での出足はよい。
小径ターボチャージャーで実用的な使い勝手をよくしている。さらにパンチのある中間加速が欲しいときは、しっかりアクセルペダルを踏めばよい。
4,000rpmから上でぐーっと力が出て、一直線の加速感はけっこう気持ちがいい。全長4,690mmに全高1,660mmの車体でも重さは感じさせない。
むしろ積極的に回して走ったほうがこのクルマには合っている。サスペンションはしっかりついてきてくれる。落ち着いた走りしか出来ないクルマではないのだ。
T5にはオプションで電子制御エアサスペンションが搭載できる。コンフォートではやわらかく、ダイナミックではびしっと締まる。
V90などのモデルのほうが、より明確にキャラクターが出る設定で、印象的にXC60のキャラクター切り替えはマイルド。
実際はオフロードにするとステアリングレスポンスがやや曖昧になるいっぽう、車高は(コンフォートに対して)40mm上がる。
ダイナミックだとスタリングレスポンスがより高くなり、車高は20mm低くなるといったぐあいだ。5つのモードがある。
XC60 T5 AWDで感心したことがもうひとつある。フラットライド感だ。びしっとしていて、スカットルが揺れることはないし、乗員が前後左右に揺すられることもない。
この設定はとてもよい。安定していて、このクルマの価格に見合った高級感を醸し出すのに成功しているからだ。
ベーシックな金属バネ仕様でもけっして悪くない。ソフトな印象の設定で、快適性を重視する向きにはとくにいいだろう。
Volvo XC60|ボルボ XC60
ボルボの新型SUV、XC60に試乗 (3)
充実の内装と安全装備
もう一つの魅力はインテリアだ。ボルボって本当にうまい。目につくのはXC90で初導入され、いまやボルボ車の代名詞になったタブレット型のセンタースタックディスプレイ。
タッチ式で(手袋していても使えるのが北欧うまれ)、インフォテイメントやクルマのセッティングなどが行える。
この9インチのディスプレイを、ダッシュボードが湾曲するように支えるデザインは、ほかのボルボ車にないXC60だけのものだ。
薄型シートは立体的な造型で見た目もよい。さらに300キロ以上走り続けてもいっこうに疲れなかった。
フロントシートには「ランオフ ロード プロテクション」といって道路から落下したときに脊髄損傷を防ぐ機構が組み込まれている。これは見えない機能。
2009年に導入された従来モデルは、完全自動停止機能のついた自動ブレーキを最初に採用していたモデルだった。スバルのアイサイトに先駆けた技術だった。
新型XC60も衝突回避・軽減フルオートブレーキ、右左折時対向車検知機能つきインターセクションサポート、歩行者・対向車検知機能(夜間も)と装備は豊富だ。
新型にはステアリングサポート機能も搭載。車両、歩行者、自転車、動物などとの衝突を回避するのにブレーキ制御だけでは不足と車両が判断した場合、作動する。
対向車が来ているのに対向車線に意図せずはみだした場合の衝突回避支援を行う。死角にいる後続車がある場合の車線変更時にも作動する。
さきに触れたように、XC60はエンジンバリエーションが豊富で、かつオプション装備も数多い。どのモデルがもっとも自分の好みに合うかじっくり検討できるのも魅力の一つだ。
Volvo XC60 T6 AWD|ボルボ XC60 T6 AWD
ボディサイズ|全長 4,688 × 全幅 1,902 ×全高 1,658 mm
ホイールベース|2,865 mm
トレッド 前/後|1,653-1,668 / 1,657-1,673 mm
車両重量|1,814 - 2,115 kg
エンジン|1,969cc 直列4気筒DOHCスーパーチャージド&ターボチャージド
ボア×ストローク|82.0 × 93.2 mm
圧縮比|10.3
最高出力|235 kW(320 ps)/5,700 rpm
最大トルク|400 Nm
トランスミッション|8段AT
駆動方式|4WD
サスペンション前|ダブルウィッシュボーン
サスペンション後|インテグラルアクスル
0-100km/h加速|5.9 秒
最高速度|230 km/h
最小回転半径|5.7 メートル
最低地上高|216 mm(エアサスペンション仕様は209 mm)
アプローチアングル|23.1度
ブレークオーバーアングル|20.8度
デパーチャーアングル|25.5度
渡河深度|400 mm
トランク容量|505-1,432 リッター
燃費(EC)|7.7 ℓ/100km(およそ13.0 km/ℓ)
CO2排出量|175 g/km
Volvo XC60 D5 AWD|ボルボ XC60 D5 AWD
ボディサイズ|全長 4,688 × 全幅 1,902 ×全高 1,658 mm
ホイールベース|2,865 mm
トレッド 前/後|1,653-1,668 / 1,657-1,673 mm
車両重量|1,814 - 2,115 kg
エンジン|1,969cc 直列4気筒DOHCディーゼルターボ
ボア×ストローク|82.0 × 93.2 mm
圧縮比|15.8
最高出力|173 kW(235 ps)/4,000 rpm
最大トルク|480 Nm
トランスミッション|8段AT
駆動方式|4WD
サスペンション前|ダブルウィッシュボーン
サスペンション後|インテグラルアクスル
0-100km/h加速|7.2 秒
最高速度|220 km/h
最小回転半径|5.7 メートル
最低地上高|216 mm(エアサスペンション仕様は209 mm)
アプローチアングル|23.1度
ブレークオーバーアングル|20.8度
デパーチャーアングル|25.5度
渡河深度|400 mm
トランク容量|505-1,432 リッター
燃費(EC)|5.5 ℓ/100km(およそ18.2 km/ℓ)
CO2排出量|144 g/km
ボルボお客様相談室
0120-922-662
受付時間:9:00-17:00(休日を除く月-金曜日)