日本に上陸したBMW 740e iPerformanceに試乗|BMW
CAR / IMPRESSION
2017年1月30日

日本に上陸したBMW 740e iPerformanceに試乗|BMW

BMW 740e iPerformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

日本に上陸したBMW 740e iPerformanceに試乗

先進技術のかたまりのようなクルマ

2016年にドイツ本国で追加された、新型BMW 7シリーズのPHVモデル、「740e iPerformance」。海外での試乗リポートはすでに掲載済みだが、今回、日本に上陸した同車にあらためて乗ってみた。

Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki

大きく新しい世界へと向けてジャンプ

クルマの進化なのか楽しみの退化なのか。昨今のクルマの電気化(パワートレイン)と電子化(先進的安全技術とコネクティビティ)は加速している。

操縦する楽しさは守りながら、来るべき時代への地歩がためを着実に行っている感があるのがBMW。最新の「740e iPerformance」は好例といえるだろう。

BMW 740e iPerformance(アイパフォーマンス)はフラグシップの7シリーズに追加設定されたプラグインハイブリッドモデル。全長5メートルを超える余裕あるサイズの車体に2リッターガソリンエンジンと電気モーターを使ったハイブリッドシステムを搭載している。燃費は15.6km/ℓ。電気モーターだけで42km走行できるのが特徴だ。

BMW 740e iPerformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

BMW 740e iPerformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

日本市場には2016年10月に導入され、BMW車に共通のドライブする楽しさを持ちつつ、最新の電子技術搭載をセリングポイントにしている7シリーズに、エコロジーという特徴を付与したモデルである。

エンジンは2リッター4気筒ターボで、最高出力は190kW(258ps)、最大トルクは400Nmとかなり高い数値を誇る。それに250Nmの最大トルクを瞬時に発生する電気モーター(8段オートマチック変速機内藏タイプ)が組み合わされる。

オペレーションモードといってエンジンとモーターの役割とともに走りのタイプを切り替えられる「eDrive」ボタンが備わる。それでバッテリーコントロールモードを選べば走行中でもバッテリーをフル充電することが可能だ。

1977年に初代が発表されたときは、ついにBMWがメルセデス・ベンツ「Sクラス」の牙城に挑戦、と話題になった「7シリーズ」。今回の第6世代で大きく新しい世界へと向けてジャンプしたといえる。

操縦すると驚くほどスムーズなのだ。

BMW 740e iPerformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

日本に上陸したBMW 740e iPerformanceに試乗

先進技術のかたまりのようなクルマ (2)

システム合計の最大トルクは500Nm

BMW 740e iPerformanceのハイブリッドシステムは電気モーターと8段トランスミッション一体型だ。変速機メーカーのZFが開発したもので、電気モーターを内部に組み込んでいるため、スペース効率のよさが謳われている。

はたして2リッターエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムで力不足感はいっさいない。システム合計の最大トルクは500Nmもあるのだ。

ドイツのハイブリッド車はバッテリー残量が規定以下になった時点でエンジンが始動する設定が多い。740eは少し強めにアクセルペダルを踏み込むとエンジンが始動する。2トンを超えるボディと、高出力とはいえスペース効率を考えてサイズが制限されたハイブリッドシステムゆえに完全なEVモードを維持するのは難しいということか。

BMW 740e iPerformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

BMW 740e iPerformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

電気モーターだけの走行をメインとする「MAX eDrive」というモードもあるが、通常はモーターとエンジンがパワートレインの主役になる機会はひんぱんに入れ替わる。

移行は(日本車のように)スムーズで荒っぽさはいっさいない。デジタル計器盤に出る回転計の針の動きで“あ、いまはエンジンが回っている”と知れるのみである。都市内で気持ちよく走りまわるとしたら、メーカー発表値の15.6km/ℓ(JC08モード)がひとつの目安になるだろう。

7シリーズのよさはクルマとドライバーの一体感にある。これだけのサイズのクルマでありながらステアリングホイールを切ったときのダイレクトな動きを味わえるのは7シリーズの魅力だ。

シフトレバー脇には「ドライビング パフォーマンス コントロール」のスイッチが。「スポーツ」「コンフォート」「ECO PRO」が選択できる。さらに「コーナーや交差点、路面状況の変化に応じてサスペンションを調整しつねに最適な走行セッティングでの運転が可能」とBMWでは謳う「アダプティブ」モードも。

BMW 740e iPerformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

BMW 740e iPerformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

アダプティブモードではサスペンションシステム、ステアリングホイール、8段オートマチック変速機を継続的に調整する。たとえばカーブや交差点、さらに路面状況の変化に応じて最適の設定をもたらすようになる。このへんは好みがわかれるところで、僕は快適性を重視するプレミアムセダンではノーマルとかコンフォートを、スポーティなモデルではスポーツを選ぶ。よりそのクルマの持ち味を強調するように使うことが多い。

メルセデス・ベンツSクラスとどちらのほうが優れているというより、明らかなテイストの違い。ビンテージイヤーのシャンパンとボルドーのグランバン、どちらが優れているかを較べるようなものかもしれない。

740eは先進技術のかたまりのようなクルマだ。

BMW 740e iPerformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

日本に上陸したBMW 740e iPerformanceに試乗

先進技術のかたまりのようなクルマ (3)

スタンダードモデルで1,169万円

外部充電可能なプラグインハイブリッド車であるBMW 740e。先進的安全装備の技術も豊富だ。ステレオカメラとレーダーが大きな役割を果たす。

走行性能の面ではカメラが前方の路面の詳細な凹凸を検知し、継続的に適切なサスペンション調整を行う「アクティブ ドライブ プロ」を搭載。電動式アクティブ スタビライザーを備えた車両では、高速コーナリング時には車体のロールを最小限に抑える働きをする。ともに走行時に後席乗員の快適性を追求したシステムだ。

安全面でも特筆すべき装備は多い。渋滞時にも停止と発進を自動で行うアクティブ クルーズ コントロールやステアリング&レーン コントロール アシストは一例である。

BMW 740e iPerformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

BMW 740e iPerformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

車線内で走行することを目的にステアリングホイール操作を車両がサポートするとともに渋滞時には先行車の動きに合わせて自動操舵で追従走行するなどの機能を備えたのがステアリング&レーン コントロール アシスト。

カメラとレーダーを組み合わせた衝突予防システムはさらに多岐にわたる。側突を予防する目的のアクティブ サイド コリジョン プロテクションでは隣の車線にいる車両の動きをつねにセンサリング。自車が車線変更するとき、あるいは隣の車両が衝突しそうなとき、コンピューターがステアリングホイール操作に介入する。

モニターにはクルマの周囲の状況を確認することのできる画像が映し出される。とくに新型7シリーズには、トップビューの機能に「3Dビュー」が追加されている。「駐車時や見通しの悪い路地、駐車場の出口などでの視認性を高める」とBMWではする。

クルマの外からディスプレイキーによってリモートコントロールで駐車できるパーキングアシストも使える。ただし駐車スペースへの進入角度は10度以下。かつ後退式の車庫入れには対応しない。乗り降りが不便な場所などで有効なシステムだ。

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日本に上陸したBMW 740e iPerformanceに試乗

先進技術のかたまりのようなクルマ (4)

スポーティな乗り味のM Sportも用意

快適装備としては、特筆すべきはインフォメーション ディスプレイの徹底活用である。とりわけジェスチャー コントロールといって、指の動きに反応するモーション キャプチャー技術の採用により、たとえばオーディオの音量調整は指を回す動作で対応。腕を伸ばしたり、複雑化しているステアリング ホイールのセンターパッド上で音量スイッチを探す必要はないのがメリットだ。

価格はスタンダードモデルで1,169万円。ライバルのメルセデス・ベンツ Sクラスのラインナップには「S 300 h」(998万円)や同「S 400 h」(1,123万円)といったハイブリッドモデルがあるが、外部充電可能なプラグインハイブリッドとなると「S 500 e ロング」(1,638万円)となってしまう。

レクサスにも「LS600h」(1,081万1,000万円)があるがやはり外部充電のできないハイブリッドモデルである。740eにはよりスポーティな乗り味のMスポーツ仕様も。本国には設定のあるロングホイールベース版も投入されるかもしれない。BMWはここでもちゃんと個性を発揮しているのである。

BMW 740e iPerformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

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BMW 740e iPeformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス
ボディサイズ|全長 5,100 × 全幅 1,900 × 全高 1,480 mm
   (M Sport)全長 5,110 × 全幅 1,900 × 全高 1,480 mm
ホイールベース|3,070 mm
トレッド前/後|1,617 / 1,646 mm *
車両重量|1,900 kg *
エンジン|1,998cc 直列4気筒DOHC ターボ
エンジン最高出力|190 kW(258 ps)/5,000-6,500 rpm *
エンジン最大トルク|400 Nm/1,550-4,400 rpm *
モーター最高出力|83 kW(95 ps)/3,170 rpm *
モーター最大トルク|250 Nm/0-3,170 rpm *
システム統合最高出力|240 kW(326 ps)
システム統合最大トルク|500 Nm(51.0 kgm)
駆動用バッテリー|9.2 kWh リチウムイオン
トランスミッション|8段AT(ステップトロニック)
駆動方式|FR
最小回転半径|6.15 メートル *
トランク容量|420 リッター *
ブレーキ前/後|ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク
タイヤ 前/後|225/60R17 *
0-100km/h加速|5.4 秒 *
最高速度|250 km/h *
モーターのみ最高速度|140 km/h *
燃費(EUハイブリッド用計測値)|2.0 ℓ/100km(およそ50km/ℓ)*
CO2排出量|45 g/km *
電力消費量|12.5 kWh/100km *
EV走行換算距離(等価EVレンジ、国土交通省審査値)|42 km
ハンドル位置|右
価格|1,169万円、(M sport)1,240万円

* は欧州仕様の値

問い合わせ先

BMWカスタマー・インタラクション・センター

0120-269-437(平日9:00-19:00、土日祝9:00-18:00)

           
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