320km/h まで10秒以下──全固体電池ハイパーEV「フルミーネア」発進| Estrema
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2021年6月25日

320km/h まで10秒以下──全固体電池ハイパーEV「フルミーネア」発進| Estrema

独自のギガファクトリー構想

今回のコンセプトモデル公開は、2021年2月に先行配信された画像とスペックに続くものとして行われた。
フルミネーアは、これから実走モデルに向けて開発が続行される。
車体部分の製造に関してCOOのロベルト・オリーヴォは、モデナ一帯のスペシャリスト企業をふんだんに活用することで、従来の自動車工場のような施設は要さないと説明する。
2022年中に試験的な生産体制を整えるのと並行して、全固体電池の開発も進める計画だ。
「初期ロットのモーターこそ外国製に依存しても電池をアジア生産に頼ることはない」とピッツートは断言する。彼によると今日の試算では、全固体電池の価格は1kWhあたり3000ユーロ(約40万円)に達する。「電池だけでスーパーカー1台が買える値段」だという。ただし重量に関していえば、リチウムイオン電池と比較してkWhあたり半分に削減可能だ。実際のバッテリー重量は300kgに留まると見込んでいる。
61台の生産開始は、2023年第3四半期から開始する。約20台の年産を3年間繰り返す計画だ。
経営資金の調達先に関してピッツートは、当初フランスの資本家一族や国際的投資グループの関心を獲得することができたが、構成メンバーにイタリア人が含まれていないことから断念したという。判断の背景として彼は、「今日、電池生産の90%はアジア地域に依存している」ことを強調。イタリア人によるオペレーションで、自国の最先端産業育成に貢献したい考えをにじませた。そのために、引き続き国内で出資者を探すという。
その先にあるのは、2025年に予定している全固体電池用ギガファクトリー建設構想だ。
立地は「トリノとイタリアの“モーターバレー”モデナの間が物流の観点から適切だろう」と語る。
いっぽうで建築物に関して「イーロン・マスクのように300ヘクタールの森を伐採し、水脈や生態系を破壊して建設することには反対です」と語る。
代わりに彼はイタリアにふさわしいものを想定していることを匂わせた。ということは、これまで建築家レンツォ・ピアノがたびたび実現してきたように、古い構造物を再生するのか?
それに対してピッツートは、「もちろん古い建物を活用するには、アスベストの除去などさまざまな困難に直面することは承知している」としながらも、彼自身も著名な建築家に依頼することを考えていると明かした。
そして「私は往年のオリベッティ社の手法が好きでした。工場は採光が行き届き、従業員のためには幼稚園が整備され、幹部も工場従業員も同じ社員食堂で食事していました。起業家としての私が大切にしたいのは、そうした思想です」と語る。
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