ポルシェ911誕生50周年イベント 第2回|Porsche
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2014年12月4日

ポルシェ911誕生50周年イベント 第2回|Porsche

Porsche 911|ポルシェ 911

50周年 ワールドツアーリポート 第2回

近代スーパースポーツとしての911の確立──930、964、993篇

より高性能に、より快適に。モデルバリエーションを拡大しながら、「911」は2代目「930」型、3代目「964」型、4代目「993」型と進化につれて、その地位を盤石なものとしていった。50周年を記念した歴代911の一斉テスト、1回目につづく今回は、911の道筋において、ひとつの黄金期たる空冷911を島下泰久氏がテスト。

Text by SHIMASHITA Yasuhisa

伝説の「73カレラ」を上まわるパフォーマンス

厳しさを増す北米の安全基準をクリアするために、大型バンパーを採用して登場した1974年モデル以降は「ビッグバンパー」、あるいは「930」などと呼ばれることが多いが、ポルシェ本社はその1974年モデルの社内記号をもちいて最近では「G-Model」を正式名称としているようだ。

このG-Modelは当初は2.7リッターエンジンを搭載。1978年モデルで3リッターエンジンを積む「911SC」へと移行し、さらに1983年モデルでは3.2リッターエンジンを得て、あの伝説の「73年式カレラRS」を上まわるパフォーマンスを得たとして、名称も堂々、「911カレラ」を名乗るようになる。

途中、1974年モデルではエポックメイキングな「911ターボ」が登場。1983年にはカブリオレもデビューした。

Porsche 930|ポルシェ 930

Porsche 930|ポルシェ 930

今回用意されていたなかには、1987年デビューの珍しい「911カレラ クラブスポーツ」の姿があった。当時の911カレラをベースに内外装の簡素化、軽量化をはかり、エンジンも出力こそ231psで他モデルとかわらないものの、専用コンピューターなどの採用で最高許容回転数が400rpm増しとするなど、軽快な走りを追求した存在で、生産台数はわずか340台である。

このクルマには別の機会に乗っているのだが、とにかくボディがカッチリとしていて、エンジンも弾けるようにまわる。車重は1,100kg台前半と、大人ひとりぶんは軽くなっているから、それが効いているのだろう。

フォルムはナロー時代とまったくかわっていないが、走りはそれよりは重厚でスタビリティも高く、今の交通環境のなかでも不足を覚えることはない。見た目とはちがって中身は格段の進化を遂げていたわけだ。

Porsche 911|ポルシェ 911

50周年 ワールドツアーリポート 第2回

近代スーパースポーツとしての911の確立──930、964、993篇(2)

「964って、こんなに気持ち良かったっけ?」

1989年モデルの「911カレラ4」で世に出たタイプ「964」は、エンジンが排気量3.6リッターに拡大されたほか、パワーステアリングやABS、そしてティプトロニックなどが設定され、一躍、現代的なスポーツカーへと進化した。

Porsche 964|ポルシェ 964

Porsche 964|ポルシェ 964

いっぽうで、そのフォルムはバンパー部分などを除いては、またも初代から踏襲されたが、それでも空気抵抗を示すCd値は0.395から0.30へと劇的に向上していた。

ステアリングを握ることができたのは93年式、つまり最終年に発売された30周年記念限定車の“ジュビリー”。ターボルック、つまりワイドボディのカレラ4だった。

久しぶりに乗ったタイプ964は嬉しいサプライズだった。「964って、こんなに気持ち良かったっけ?」というのが率直な印象。

ガッチリと強固なボディに、それまでのトーションバースプリングではなくコイルスプリングをもちいたサスペンションがつくりだす乗り心地も、低速域から力強く、かつ心地良い息吹きを堪能させてくれる最高出力250psの3.6リッターフラット6の回転フィーリングも、なんとも質が高く、いかにも良い機械を動かしているという実感にあふれている。

そんなに距離を走っていない個体だったことも、きっとプラスに作用しているのだろう。

Porsche 964|ポルシェ 964

その走りに対する、面白みに欠けるというネガティヴなイメージで、中古車市場では敬遠されがちなカレラ4だが、少なくともこの日はそれをネガに感じる場面もナシ。今でも十分に通用するパフォーマンスと快適性と、クラシックな魅力が同居するタイプ964が、今でも高い人気を保っていることにあらためて納得させられてしまった。

Porsche 911|ポルシェ 911

50周年 ワールドツアーリポート 第2回

近代スーパースポーツとしての911の確立──930、964、993篇(3)

最後の空冷911

根強い人気と言えば、そのあとに登場したタイプ「993」も同様である。空力特性に配慮してフロントフェンダーが低くなり、リアサスペンションがマルチリンク化されてボディもワイドになるなど、見ための変化は過去最大級。

Porsche 993|ポルシェ 993

Porsche 993|ポルシェ 993

エンジンは排気量はそのまま最高出力が272psに向上し、はじめて6段マニュアルギアボックスが組みあわされた。そのハードウェアとしての完成度の高さはもちろん、最後の空冷911であるという事実も、タイプ993の人気につながっている。

今回はステアリングを握ることはできなかったが、ポルシェミュージアムは試乗車として911ターボを用意していた。

ツインターボ化によって、エンジンパワーは遂に大台超えの最高出力408psにまで到達。それを余さず路面に伝達するべく、ターボとしてはじめてフルタイム4WD化されたのが、このモデルである。

つづく──

           
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