ポルシェが70周年を記念し、真夏の豊洲でグラマラスキャンピング
Porsche|ポルシェ
ポルシェが70周年を記念し
真夏の豊洲でグラマラスキャンピング
ポルシェといえばサーキットや高速道路のイメージかもしれないが、新型カイエンやパナメーラ・スポーツツーリズモなどは、じつは路面も遊びのフィールドも選ばないクルマでもある。スポーツカーの70周年を祝って、豊洲のワイルド・マジックがポルシェならではのグラマラス・キャンピングで沸いた。
Photographs by Porsche Japan, NANYO KazuhiroText by NANYO Kazuhiro取材協力 Porsche Japan
ポルシェが得意とするフィールドはサーキットに限らない
今年はポルシェが356を世に送り出してから70年目の節目。この記念イヤーをポルシェは「スポーツカーの70周年」と題して、さまざまなかたちで祝っているが、7月の豊洲では、一風変わったオーナー感謝イベントが開催された。ウォーターフロントでBBQが楽しめるスペースとして知られる豊洲の「ワイルドマジック」で、ポルシェがグラマラスキャンピングを催したのだ。
ポルシェとグラマラスキャンピングという組み合わせ自体が、少し意外かもしれない。だが、ポルシェが得意とするフィールドは何もサーキットやワインディングロードといったアスファルト路面に限らない。そもそもル・マン24時間で優勝を重ねて「耐久の王者」と呼ばれるようになる以前、ポルシェは雪のモンテカルロ・ラリーで圧倒的な強さを発揮し、名を馳せた。何せ1968年から1970年まで、3年連続で1-2フィニッシュを飾るという圧倒的な戦績だったのだ。
アスファルト以外にも元々、氷雪路やダートにも強く、耐久性と信頼性に抜きんでたスポーツカー、それがポルシェなのだ。現在、ポルシェのラインナップには新型カイエンやマカンといったSUVもあれば、パナメーラのスポーツツーリズムのようなエステートのGTもある。つまりポルシェの目指す「スポーツ」は今や、他車と競い合うことだけに限られないし、だからこそスポーツカー70周年の節目をグラマラス・キャンピングで祝った訳だ。
まだ真夏の太陽が高い中、テント下に涼を求めて集まった来場者を迎えたのは、1986年のジャッキー・イクス/クロード・ブラッスール組のゼッケン185番、959パリ・ダカール仕様だった。この伝説の一台と並んで、新型カイエンやパナメーラ4 E-ハイブリッド スポーツツーリズモ、そしてマカンら「現代のポルシェ スポーツカー」が並ぶ様は、まさしく圧巻だった。
またポルシェのグラマラスキャンピングにふさわしく、この日は特別ゲストによる特別なメニューが用意されていた。一人は、パリ5区の「パティスリー・サダハル・アオキ」のオーナーパティシエで、日本でも数々のプロデュースを手がける青木定治氏。もう一人は、福岡の「豆香洞コーヒー」で、オーナー焙煎士として腕をふるう後藤直紀氏だ。この二人が、ポルシェとグラマラスキャンピングをテーマに、オーナーに向けてこの日だけの特別な一品を用意していたのだ。
まず青木氏は、灼熱のグラマラスキャンピングということで、何とフラッペを、つまりオリジナルのかき氷を用意していた。
「僕の作るお菓子は色々に変身しますからね、ポルシェ同様の全天候型ですよ。 今回のフラッペはこのイベントだけのオリジナルです」と述べた。用意されたフラッペのフレーバーは、氷菓子の定番フレーズ(いちご)とシトロン(レモン)、そしてサダハル・アオキならではの抹茶 。いずれも自然な酸味のあるホイップクリームがのせられ、とくにシトロン風味はレモンタルトを思わせるコクと爽やかさが同時に味わえる一品だった。
しかし最注目はやはり抹茶フレーバー。彼の代名詞でもある「バンブー(抹茶のチョコレートケーキ)」の派生モデルといえるもので、甘さ控えめの抹茶シロップとクリーム、適度にクリスピーな氷のテクスチャーが心地よい。
16歳までモトクロスに熱中していた青木氏は、大のクルマ好きでもあり、ポルシェはつねに憧れの存在だったとか。
「21歳でフランスに渡って、一流のシェフたちから技術や仕事だけじゃなく、仕草とか身に着けているものとか、そういうものも全部吸収したかったんですよね。やっぱりそういうおいしいものを知っている人は食べ方も美しいし、持ち物も単なる飾りモノじゃないんです。だから自分もそうなりたいと思ったんです。ポルシェに乗っているシェフもいました。ラリーのスタートセレモニーがパリで行われてたりもした。あそこに飾られている959は、まさしくリアルタイムで観ていましたよ」
そんな彼のポルシェ観をさらに詳しく尋ねると、「うちの父は、あれは職人が作った最高の量産車だ、っていってましたが、その通りだと思いますね。お菓子作りもそうあるべきなんです。レシピがよくても毎日の実践と仕上げが伴わないといけない。最新の911は最良の911ってよくいわれますけど、僕の “バンブー”も毎年変わっていないようでじつは少しづつ改良しているんですよ」
では最近のポルシェについては?
「じつはマカンを今日、初めてじっくり触れてみたんですけど、すごくいいですね。コンパクトなSUVだけど、ちゃんとポルシェになっている。エンジニアリングの理想を追求するというか。例えば動作ひとつを学ぶにしても、その重心やコツはどこにあるか?って気にするのと漫然と習うのと、違うじゃないですか。ゼロから作ったものでもそこを突いているというか、ポルシェらしいと思わせるものがある。お菓子作りだけじゃなくて、物欲の対象としても、ポルシェは僕が目指すところです」
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ポルシェが70周年を記念し
真夏の豊洲でグラマラスキャンピング(2)
グラマラスキャンピング式の焙煎を体験
灼熱のグラマラスキャンピングで熱くポルシェとパティスリーを語る青木氏に続いて挨拶に立ったのは、焙煎士の後藤直紀氏だ。ポルシェオーナーに提供する特別なコーヒーとして、彼はどのようなものを考えたのだろう?
「やっぱりポルシェに普段から乗られて楽しまれている方って、ただ早く移動が済めばいいやという風じゃないですよね。そのプロセスを大事にする方々。ですからコーヒーをじっくりおいしく味わう行為と、そもそも親和性が高いと思うんです。実際、お店のお客さんの中にはポルシェに乗っている方もいらっしゃいますし。ですので今日は、暑いですから温かいのだけじゃなくアイスでもお出ししたいのがひとつ。そしてもうひとつは、折角の屋外で、煙を出しても平気な状況ですから、ガスコンロと銀杏焼きの網でできる焙煎の仕方を、体験していってもらいたいと思います」
屋外でも、寛ぐ時にコーヒーの一杯は欠かせないが、ポルシェのグラマラスキャンピングという特別な機会ゆえ、さらに欲張りに楽しんでしまおうと、後藤氏は提案する。彼のテントに足を運ぶと、サダハル・アオキのオレンジピール・チョコレートと抹茶のドラジェとともに、深煎りか浅煎りのホットもしくはアイスのコーヒーが選べるようになっていた。折角なので、アイスを選んで口へ運んでみた。冷たいのに強い香気があって、柔らかな酸味と長い余韻に驚いた。量を配るため、ある程度は事前に焙煎して用意していたというものの、基本的なやり方・原理は一緒だという。
「キャンプのような屋外では、生のコーヒー豆を銀杏の焼き網に入れて、ガスコンロで火を入れてやるだけなんです。もちろん、ある程度のところまで熱が入ると焦げやすくなりますから、火との距離を意識して振りながら、注意を払う必要はありますけど」。
そういいながら、グラマラスキャンピング式の焙煎を体験中の来訪者に、後藤さんは道具を手渡し、自分は網の上方に手をかざして、温度を確かめる。キャンプの現場だけに、焙煎のやり方としては豪快なものだ。銀杏焼きの手元が熱くなるのに備えて革のグローブはあらかじめはめておく。
「屋外ですから、風の影響はあります。でもフライパンで煎るとムラになりやすいですけど、ガスコンロ、またはバーナーの火で熱を入れていくのは、色の変化を目で見ながらやりやすいです。屋外で、こんなところから始めてコーヒーを飲むのって、すごく面倒くさいと思うんですけど、ただ移動するだけじゃないポルシェというクルマに乗られる方なら、そこから得られる味わいの違いを興味深く楽しんでもらえる気がします」。
直火が当たらない程度に網をかざして、そして豆を壊さないように優しく網を振りながら、少しづつムラなく色づいていくのを待つ。豆の色が変わっていくと、体験者の誰もが声を上げる。ちょうどいいところまで焙煎が進んだら、火から外してざるの上に豆をとって、自然に冷まして落ち着かせる。下の写真は、生豆の状態と、深すぎず浅すぎずの具合にまで焙煎したものを比べたものだ。ここから豆を挽いて、ドリップなど、好き好きの方法でコーヒーを抽出するのだ。
もちろん、特別ゲスト二人の用意した、これらのスイーツとコーヒーに先立って、ケータリングのテントではサラダやBBQのランチプレートがふるまわれた。盛夏の暑い一日とはいえ、オーナーだけでなくその家族も楽しめるよう、会場内には子ども用のポルシェのミニカーやキャンピングアイテムが展示され、来場者が手に取って楽しめるようになっていた。
またこの日は、屋外で家族で楽しめる催しとして、数々のワークショップも用意されていた。Tシャツやトートバッグに好きなポルシェの絵柄を載せたり、夜に暗くなってから灯せるキャンドル作りや、女性のためのネイルアートなど、各テントのワークショップは大盛況だった。
いわばポルシェが追及する自動車のスポーツ性とは今や、サーキットやラリーといったモータースポーツで競い合うことや、その優れた操縦性によってドライバーがコントロールを楽しむことに限られない。好きな場所まで家族や友人、荷物をのせて出かける屋外キャンプのように、野外において大勢で喜びを分かち合えることも、目指すスポーツの範囲内なのだ。
そうしたアクティビティは、無論ハイブリッドや電動化によるって環境に配慮しつつ、目的地に正確に速く辿り着いて、初めて可能になる。あらゆる路面で耐久性と速さを証明してきたポルシェだからこそ、SUVやスポーツエステートといった新たなラインナップでも、新しい地平を切り拓いていけるのだ。
ポルシェ カスタマーケアセンター
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