あなたのクルマ 見せてください 第5回 安東弘樹 × ポルシェ 911 カレラ 4S
第5回 安東弘樹 × ポルシェ 911 カレラ4S
クルマは操る楽しみを与えてくれるもの
クルマのこととなると、時が経つのも忘れてしまう。19歳で免許を取得してからこれまで、30台以上ものクルマに乗りついでいるという、TBSアナウンサーの安東弘樹氏。現在の愛車は、ポルシェ「911 カレラ4S」を含めて3台。これまでのクルマ遍歴の中で必ず1台はマニュアルトランスミッション(MT)を所有してきた安東氏にとって、クルマとは歴史や背景といった文学的魅力ではなく、操る楽しみを与えてくれるもののようだ。
Text & Photographs by KONDOH Hiroyuki
取材協力=Porsche Cafe Aoyama(Tel. 03-5414-6170)
僕の指定席は、バスの運転手の真後ろ
覚えているかぎり、3歳の時にはもうクルマが好きで。ミニカーしか欲しがらない子供でした。物心ついたときは、バスの運転手さんの真後ろが僕の指定席でした。当時はダブルクラッチだったり、「なるほど、こうやって運転するんだ」って。夢中で運転手さんの姿を見ていました。
そのままクルマが好きな幼少期を過ごし、19歳ですぐに免許を取りに行きました。最初に買ったのは「シティターボ 2」。通称“ブルドッグ”と呼ばれているクルマですね。あのブリスターフェンダーがお気に入りで、MTでパワステも付いてないし、ウィンドウも手巻。確か中古で60万円ぐらいでした。それをローンで買って。それから、ちょっとづつステップアップしていきました。
911の決め手は右ハンドル+MTの組み合わせ
ある時期は、スキーにハマっていたのでSUVばかり乗っていました。911に乗る前はポルシェ「ボクスター」、「アルピナ」、BMW「Mロードスター」など、ずっと“MTのオープン”にこだわっていたんですが、Mロードスターに乗っている時に突然太陽アレルギーになっちゃって(笑)。
本当は、例えばアルピナの様に、「これ何ていうクルマ?」って聞かれて、ニヤっとする感じが好きなんですが、911を選んだ理由は、とにかくスポーティなクルマで、MTの設定があったから(笑)。ポルシェのMTはボクスターに乗っていた頃から既にシフトフィールが良いのは知っていたのですが、この911も本当に意味もなくシフトチェンジをしたくなるほどに楽しい。それに“右ハンドル”が選べるところも大きかったですね。
あとは、四駆というのも条件に入ってました。以前、アウディの「S4」に乗っていた時期もあったのですが、四駆だと雨等の悪天候時のスタビリティが段違いですから。そんな条件で絞っていったら、911のカレラ4S(2009年式)に行きつきました。
第5回 安東弘樹 × ポルシェ 911 カレラ4S
クルマは操る楽しみを与えてくれるもの(2)
キュートな911のリヤフェンダー
以前は神奈川に住んでいたので頻繁にターンパイクをドライブしていたのですが、千葉に移ったいまでも2ヵ月に1回くらいは遊びに出かけないと気が済まなくて。911で走ってみると、やはり別格なんだな、とあらためておもいました。ブレーキングの信頼性の良さは半端じゃない。これまで乗ってきたクルマの中には、すぐにフェードする個体もあったのですが、911に乗り出してからはそんなことも皆無です。
サーキットですか? サーキットは年数回ほど。あとはドライビングスクールにも参加しますね。ドライビングシューズは、ほぼ積みっぱなしです。ちょっとドライブに行こうと思い立った時、クルマに乗ってすぐにドライビングシューズに履きかえたりしています。
911の魅力は、なんといってもそのスタイリング。とくに4Sだけに与えられた大きく張り出したリヤフェンダーがたまらなく愛しいですね。フロントは、なんかカワイイ感じ。日常使用していても定期点検をしていれば、そんなにお金もかからないし、スポーツカーにもかかわらず、ある程度の実用性があるところも素敵ですね。
911とチンクエチェント、シャランの3台体制
911以外にいま所有車しているクルマは、フィアット「500(チンクエチェント)」とフォルクスワーゲン「シャラン」ですね。シャランはとにかく便利! 正直僕は、スライドドアにはまったく興味がなかったのですが、子供の乗り降りは考えられないほどにラクチン。それにしっかりとした走りで、VWが得意とするデュアルクラッチトランスミッション「DSG」のおかげでスポーツカーライクに走れますからね。坂道でもわずか1.4リッターのエンジンで2tものクルマが普通に上っていく。いまのドイツメーカーの開発力は本当にスゴい。
第5回 安東弘樹 × ポルシェ 911 カレラ4S
クルマは操る楽しみを与えてくれるもの(3)
やっぱり欧州車はデザインがいい
シャランはDSGでパドルシフト付きなんですよ。多分、このクルマは納車してから下取りに出すまで、マニュアルモードに入れっぱなしになるでしょうね(笑)。シャランも確かに楽しいですが、こう、ニヤっとする感じになれるのは、やっぱりMTだけですね。フィアット500は正に足代わりに使ったりしています。
以前、セルフのガソリンスタンドで、ポルシェに給油していた時、後ろから見ていたお母さんが、子どもに「ほら、綺麗な車よ!」と言っていたのが聞こえてきた事があったのですが、やっぱり欧州車はデザインがいいですね。基本的にはひとつのものを大切に長く使う性格なのですが、クルマに関しては違いますね(笑)。
いま一番乗りたいモデルは、断然ディーゼル。つい先日、BMW「X3」に試乗してきたのですが、2リッターのエンジンで燃費が18.6km/ℓ! 燃料も安くてCO2排出量も少ない。それでいながらトルクは380Nmだなんて。所有するチンクとシャランの2台売ってX3にしようかなと真面目に考えています。
今だからこそCO2排出量が少ないディーゼルに乗りたいんです。 でも、ポルシェだけは長く乗ろうとおもっています。やはり911は特別ですから……
安東弘樹|ANDOH Hiroki
1967年生まれ。1991年、アナウンサーとしてTBSに入社。「アッコにおまかせ」、「ひるおび」、「買っトク!」などの番組担当の他、TBSラジオで辻よしなり氏とともにクルマを中心とした大人のアソビを紹介する「週末アソビナビ」を担当。これまで30台以上を乗り継いだという、カーガイとしても知られている。