東京モーターショー 2015 リポート|BMW
BMW|ビー・エム・ダブリュー
東京モーターショー 2015 リポート
「7」や「M」とともに、PHEVやEVも推進するBMW
先ごろ国内発表したばかりの新型「7シリーズ」と、ワールドプレミアとなるハイパフォーマンスモデル「M4 GTS」を主役に据えるBMW。もちろんそれだけではなく、持続可能な自動車社会への提案としてのプラグインハイブリッドやサブブランド「i」、そしてモータースポーツの「M」などテーマにわけて展示をおこなっている。
Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki
ラグジュアリーの頂点と、スポーティの極み
豪華で、スポーティ。BMWブースの目玉は、フルモデルチェンジを受けたフラッグシップの新型「7シリーズ」と2015年東京モーターショーで世界初公開となる、ウルトラスポーティな「M4 GTS」だ。隣にはボディが大型化してプレミアムコンパクトに“成長”した新型「MINI クラブマン」も並び、クルマ好きには楽しい内容だ。
従来型とサイズ的にはほとんど同寸の新型「7シリーズ」。最大の特徴は、「3シリーズ」にも通じるエレガントなスタイルを得たこと。内容的には、高価な素材をふんだんに使っての軽量化と、安全装備などの充実、そして快適性の向上などが大きな注目点としてあげられる。車体は2つ用意されていて、スタンダード ホイールベース(それでも3,070mmとかなり長い)と、140mm長くなったロング ホイールベース版である。
「最小限のラインを使いながらスタイルを表現するのがBMWのやりかた」。BMWのデザインを統括するアドリアン・ファン・ホイドンク氏は東京モーターショーのプレスデイに合わせて来日し、7シリーズのスタイリングの見どころを解説した。ブースに置かれた状態でも、大型化したキドニーグリルが迫力を感じさせる一方で、少しだけ全高が下げられて伸びやかなイメージが強くなった外観が目を惹く。室内は、大型セダンでありながら、運転席が魅力的。ドライバーズカーのメーカーであることを心がけているBMWならではだ。アダプティブサスペンションシステムの設定といい、大型サイズでありながら「走行中の運動性能」はつねに意識しているとBMWではする。
後席のセンターアームレストには、インフォテインメントや空調のタッチバッドがはめ込まれている。まるでタブレットのように取り外し可能という点が目あたらしい。マッサージ機能付きエグゼクティブラウンジや、照明付きパノラマガラスルーフのスカイラウンジも設定される。「7シリーズ」は、V8の「750i(およびL)」と、3リッター直列6気筒の「740i(同)」が日本市場に登場している。2016年には2リッター4気筒エンジンに電気モーターを組み合わせたプラグイン ハイブリッドモデルも追加されるという。
スポーツメーカーとしてのBMWが好きなひとが熱く注目しているのは、世界中で700台のみ限定販売のM4 GTSだ。2014年には世界で4万5,000台(前年比44パーセント増)を達成するなど好調な記録を更新している“M”。「公道を走行することもできます」(BMW)とわざわざコメントされている、日常とレースとのクロスオーバーが人気なのだという。M4 GTSのパワートレインは3リッター6気筒で、348kWと600Nmという大パワーを誇る。静止から100km/hまでの加速は3.8秒。最高速は305km/hという。ギアボックスはツインクラッチタイプの7段となる。
外観はまるでレーサー。カーボンファイバーを多用し、ボディはわずか1.5トン。高い操縦性に寄与している。
タイヤはミシュラン パイロットの「公道走行も可能なサーキットタイヤ」(ミシュラン)であるスポーツカップ2。前には265/35R19, 後ろには285/30R20を履く。リアにはアジャスト式のリアウィングを備えるとともに、メタリックなオレンジを差し色にした車体は、じつに魅力的だ。
スポーツマインデッドなファンにアピールするBMWは、じつは環境適合性の高いラインナップも自慢である。
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「7」や「M」とともに、PHEVやEVも推進するBMW (2)
拡大するプラグイン ハイブリッド
環境性能のアピールは、東京モーターショーにおけるBMWの大きなテーマのようだ。最右翼は、2013年から日本でも展開している「i(アイ)」。電気自動車と、充電用エンジンを備えたレンジエクステンダーで構成されるラインナップをもつ。路上で見かけると、相変わらず強く目を惹くスタイルは、電気自動車の中でも群を抜いた存在感だ。
今回はプラグインハイブリッドのラインナップを大々的に展開するのが注目に値する。モーターショー会場でもかなり大きなスペースを用意し、大きな存在感を発揮しているのだ。「環境性能が高いクルマはつまらない、ということはありません。私たちは妥協をしませんでした」。日本法人のペーター・クロンシュナーブル社長は、ショー会場で開かれた記者会見の席上で語った。
「BMW eDrive(イードライブ)」と名づけられた技術を採用したモデルが一挙に4車種。記者会見のおいて日本への導入が発表された。3シリーズの「330e」をはじめ、2シリーズ アクティブツアラーの「225xe」、SUVの「X5 xDrive40e」、そして新型7シリーズに設定された「740e」である。
BMWではガソリン車の車名は数字の後にアルファベットの「i」、ディーゼルは「d」だ。くわえてプラグイン ハイブリッドモデルは「e」。注目のサブネームになるだろう。ショーのためにeの文字を組み合わせたブルーのデカールが車体を飾ったPHVモデルが並び、車両のかたわらにはスタイリストの仕事が入った形のよい充電器。「2016年には日本で導入します」とBMWジャパンでは説明する。
ディーゼルにくわえて、燃費にすぐれたプラグイン ハイブリッド車。2016年は日本のBMW車のラインナップにおいても、重要な位置を占めていきそうだ。