アウディ e-tron 試乗会─アウディ・製品戦略担当 ハイコ・ゼーガッツ氏 インタビュー|Audi
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2015年2月19日

アウディ e-tron 試乗会─アウディ・製品戦略担当 ハイコ・ゼーガッツ氏 インタビュー|Audi

Audi e-tron|アウディ eトロン

アウディ・製品戦略担当 ハイコ・ゼーガッツ氏 インタビュー(1)

2011年11月、箱根で開催されたアウディA1 e-tronおよびA3 e-tronのメディア向け試乗会。日本のみならず、オーストラリアまでふくむアジア パシフィック諸国からのジャーナリストまで招待される、大きな規模のものだった。ドイツのアウディ本社からも、多くのスタッフが来日し、未来戦略車ともいえるe-tronでの意気込みを強く感じさせた。そこで、e-tron戦略とはなにか。製品戦略担当者 ゼーガッツ氏に試乗会会場で取材をおこない、アウディにとっての意義と、同社が展開しようとしている戦略について話しを聞いた。

文=小川フミオ写真=高橋信宏

“技術による先進”というスローガンに則った電気自動車づくり

――箱根での国際試乗会に驚きました。外国のジャーナリストを招いて日本の自動車メーカーが開催することはあっても、アウディのような海外の企業が箱根での国際試乗会というのは、過去にあまり例がないと思います。なぜこの場所を選んだのでしょうか。

クルマの評価に適していると考えたからです。アウディのスローガンは“技術による先進”ですが、それは3つの柱から成っています。洗練性、先進性、スポーティ性です。たとえ都市内での移動が主となるクルマでも、アウディが作ればスポーティ性をきちんと盛り込む。それを知っていただきたく、電気自動車で高速コーナーが多く、急勾配の箱根のワインディングロードを体験していただこうと思いました。

――まるでヒルクライムレースに臨むような考えですね。

そもそもアウディはパイクスピーク(米国コロラド州の標高4300mの山を駆け上がる伝統的なレースPikes Peak International Hillclimb)でも優秀な成績を残してきているので、その意味でもアウディが追求してきたスポーツ性を盛り込んだe-tronの性能を知ってもらうのに、箱根はいい舞台だと思いました。

Audi e-tron|アウディ eトロン

アウディ・製品戦略担当 ハイコ・ゼーガッツ氏 インタビュー(2)

未来技術を用いた“e-mobility”開発

――試乗した印象でいうと、A1 e-tronはまるでスポーツカーのようなハンドリングで操縦して楽しいモデルでした。いっぽうA3 e-tronは、やはりトルクが大きくてじつによく走り、かつスムーズな加速感覚においてガソリン車のネガをつぶしたような洗練性が印象に残りました。2車は少しことなった方向性をもつように感じます。どうして、こういう性格づけを選んだのですか?

これはたまたまそうだった、と言うしかありません。アウディは代替燃料車のさまざまな可能性を探っています。そこにあって、A1がピュアEVで、A3がレンジエクステンダーであってもいいのです。ただ、A1のようにコンパクトなクルマが、ガソリンエンジンまで搭載して、さらによく走る、というのは、我われとしても強調したい性能です。

アウディ e-tron 試乗会─アウディ・製品戦略担当 ハイコ・ゼーガッツ氏 インタビュー|Audi|04

――e-tronはただひとつではない、ということですか。

そうです。アウディでは現在、e-mobilityの名の下に、さまざまな未来技術を統合しています。それを具現した車両にe-tronの名を冠しています。いまアウディにとって、3つの重要な要素があります。アウディ ウルトラというアルミニウムとスチールを組みあわせた軽量化のためのハイブリッドボディ構造がひとつ。ふたつめは、インターネット接続用全アプリケーションを統合制御する車両ネットワーキングシステムであるアウディ コネクト。3つめがe-tronになります。

――e-tronはアウディの将来にとって重要ということですね。

社会はいま環境適合性が高く、燃費のよいクルマへの志向を強めています。ガソリンエンジンは燃料の20パーセント程度しかホイールへ伝えられるパワーに転換されないのにたいして、EVでは60パーセントが車輪へ伝えられます。たいへん効率が高いのです。現在の内燃機関(ガソリンエンジンやディーゼルエンジン)搭載のクワトロと比べれば走行フィーリングはちがいますが、しかし、洗練性、先進性、スポーティ性という、アウディの3つのバリューをべつのかたちで満たすものです。

Audi e-tron|アウディ eトロン

アウディ・製品戦略担当 ハイコ・ゼーガッツ氏 インタビュー(3)

2012年以降ハイブリッドモデルを順次市場投入予定!

――今回の2台のe-tron、発売時期はいつごろになりますか?

現在開発途上なので、まだ先の話になると思います。ただハイブリッドモデルは、2012年から順次市場に投入されていく予定です。Q5、A6、A8とつづき、やがて2013年をめどにR8 e-tronも出てくるでしょう。いまドイツでは企業(カンパニーカーとして管理職にクルマを提供するのが大きな市場を形成)も個人も、あたらしいクルマに興味をもっているのが追い風になっています。

――あたらしい社会といえば、クルマから住宅へ電気を供給する、いわゆるV2Hについてアウディの取り組みはどうでしょうか。

これについての質問はよく受けます。フォルクスワーゲングループとしてエネルギーの販売というビジネス分野に興味をもっています。スマートグリッドを使うことになるかもしれません。

その研究はドイツでも全国規模で進めています。エネルギーを貯蔵してそれをネットワークをつうじて家庭に分配するシステムをどう構築していくか、これから10年かけて取り組んでいく課題です。我われはフォルクスワーゲン、ポルシェといったグループ企業と一丸となって取り組んでいきます。

アウディ e-tron 試乗会─アウディ・製品戦略担当 ハイコ・ゼーガッツ氏 インタビュー|Audi|06

           
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