Volkswagen Bulli|フォルクスワーゲン ブリー マイクロバンEVデビュー
Volkswagen Bulli|フォルクスワーゲン ブリー
あのコンパクトバンがEVで復活!
フォルクスワーゲンは、キャディ、トゥーラン、シャラン、カラベルにつづく5代目のピープルムーバー「ブリー」をジュネーブモーターショーにて公開した。
Text by OPENERS
最大航続距離は300kmを記録
いまから約60年前、フォルクスワーゲンから世界初のバンが誕生した。社内コードは“トランスポーター1”を意味する「T1」、アメリカでは通称「マイクロバス」、そしてドイツ本国では「ブリー」と呼ばれたこのクルマの2011年バージョンが、今回公開された新型である。
同車の最大のトピックは、やはり電気自動車であるということ。最大40kWhの容量をもつリチウムイオンバッテリーから電気供給されるモーターは、最高出力85kW、最大トルク270Nmを発揮する。航続距離は最大で300kmで、ほかの電気自動車と比較してみると、日産リーフで200km、三菱i-MiEVで160kmと、かなり優秀な数値であることがわかる。しかも、特別に設計された「電気ステーション」で充電をおこなえば、1時間で完了してしまうというから驚きだ。0-100km/h加速11.5秒、最高速度140km/hという数値も必要にして十分だろう。
ブリーは、フロントアクスルのまえに電気モーターを備え、フロントホイールを駆動する。ここにはモーターのほか、12ボルト仕様の高電圧パルスインバーター、DC/DCコンバーターがコンパクトに収納されることで、車内空間の確保にも役立っている。
i Padをとおして情報を確認できるインフォテインメントハイライト
現段階でのボディカラーは、このたび発表された赤と白の2トーンカラーのみ。フロントのデザインは、2001年に発表されたマイクロバス コンセプトモデルに近似した、横に広がる、細長のL字型にLEDが配されたデュアルヘッドライトを採用し、リアにもLEDをもちいた細いライトを装備。
ボディサイズは、全長3,990×全幅1,759×全高1,700mmで、T1よりもいくぶんコンパクトになっているが、ボディ幅にたいして、トレッド幅は大きく設計されているという。最大6名の乗車が可能で、ラゲッジルームは通常370リットル(リアシートを収納した場合は、最大1,600リットル)と、広々としたスペースも魅力である。
そのほかの特徴として、センタコンソールにi Padを設置し、マルチファンクションディスプレイとして使用できるインフォテインメントハイライトという機能を備えている点が挙げられる。
この機能は、ブルートゥースのハンズフリーフォンや、ナビゲーションシステムの操作、スピードメーターやマルチファンクションの情報をi Padで確認できるというもの。このi Padは、当然取りはずしが可能で、電気自動車ゆえにタコメーターは不要、従来型のシフトレバーも取りつけられていない。シフトレバーは、ドライバー右のロータリースイッチに置き換えられ、このスイッチはモーターのスタート/ストップボタンとしても機能する。このように、すべてをスマート収めたことで、キャビン内は非常にシンプルな作りになっている。
この新型は、実売について一切触れられていないが、現代において適切かつ、実用性の高いモビリティとして市場投入をぜひとも期待したい。