LEXUS HS250h(前篇)|プリウスとはまったく別もの
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2015年8月28日

LEXUS HS250h(前篇)|プリウスとはまったく別もの

LEXUS HS250h|レクサス HS250h

プリウスとはまったく別もの

レクサス初のハイブリッド専用モデル、HS250h。電気モーターを最大限利用しての燃費のよさにくわえ、コンパクトなボディと、前輪駆動方式によるスペース効率のよさも特徴。小さな高級車だ。

文=小川フミオ写真=荒川正幸

アクセルペダルの踏みはじめからスムーズ

2009年7月14日に発売されたレクサスHS250hは、全長4700mmのレクサスとしてはコンパクトな車体に、エンジンと電気モーター、リダクションギアを組み合わせたトヨタハイブリッドシステム「THSⅡ」を搭載。エンジンは2.4リッター4気筒DOHC。吸気バルブを閉じるタイミングを遅らせ、圧縮比より膨張比を大きくして熱効率を向上させた(要するに燃費も向上させた)アトキンソンサイクルであることが特記事項。レクサスRX450hのV型6気筒についでのアトキンソンサイクルの採用となる。エンジン出力は150馬力、電気モーターは143kW、システム全体の最高出力は190馬力。

「HS250hをしてプリウスと基本的におなじクルマでは、と考えるひとがいらっしゃるかもしれませんが、HS250hではサスペンションのサブフレームはフローティングマウントにして、さらに4輪独立懸架を採用。まったく別ものです。目的はレクサスの指標でもある、なめらかでシームレスな走りを実現するためです」と話すのは、開発の総責任者を務めた古場博之主査。

実際に操縦してみると、たしかに「シームレス」(継ぎ目のない)という表現のとおり、加速は立ち上がりからいっきに力を出す電気モーターとトルクを増幅させるリダクションギアの恩恵で、アクセルペダルの踏みはじめからスムーズ。アトキンソンサイクルが低回転域ではややパワー不足を感じさせるというのを電気モーターがカバーすることで、省燃費とパワー感を上手に両立させている。どの速度域でも1.8トンを超える車重を感じさせない。

クルマを「着ている」ような自然さ

ハンドルを切ったときの車体の動きも軽やかだ。ごく微少な舵角で車体が反応するスポーツカー的なものではないが、それでは逆に「しっとり」とか「優雅」というまた別のレクサスの指標とは反するのだろう。レクサスHS250hの場合、ドライバーの感覚に即していて、コーナーの途中で切り増しが必要になることもない。とりわけダウンヒルのコーナリングは、まことにしなやか。サスペンションの動きも「しっとり」としていて、自分の運転が一ランク上になったようにすら感じさせるものだ。

時として「運転しにくい」と思えるクルマがあるのは、ハンドルを切ったときと車体の動きとの時間差が微妙に出ている場合。微細な動きまで感じられる人間の感覚に反して、思ったタイミングでクルマが反応してくれないため、ハンドルを切り増して、結果もういちど慌てて切りもどしたり、そんなことの繰り返しになることも。それが「なんだか運転しにくい」と思わせるクルマとなってしまう。その点、レクサスHS250hは欧州車のようにまるでクルマを「着ている」ような自然さがある。

レクサスインフォメーションデスク 0800-500-5577
http://lexus.jp

BRAND HISTORY
トヨタがアメリカ市場において高級車ブランドLEXUS(レクサス)を立ち上げたのは1989年のこと。トヨタが誇る高い技術力と優れた品質、そして極上の顧客サービスにより、アメリカやドイツの高級車とは一線を画す新しい価値を提供しようというのが狙いであった。

同年9月、「LS400」(日本名セルシオ)と「ES250」(同カムリ)がアメリカ市場に投入されると、翌1990年2月には早くもLS400がベストインポートカーを獲得している。その後もレクサスの評価は高まるばかりで、ラインナップの拡大とともに、高級車ブランドとしてのポジションを確実にしていった。

アメリカでの成功を受けて、2004年にはヨーロッパ進出を果たしたレクサスは、同年5月、日本での事業展開を発表。翌2005年8月には、母国での高級車ビジネスをスタートさせた。開業当初は、「GS」(トヨタブランドのアリストの後継車)、「SC」(同ソアラ)、「IS」(同アルテッツァの後継車)と、フラッグシップの「LS」を欠くラインナップだったが、2006年9月には待望の新型LS、そして、2007年5月にはそのハイブリッド版の「LS600h/LS600hL」を投入することで、ラグジュアリーサルーン購買層の期待に応えている。

一方、2007年10月にスポーツモデル「IS F」を発表、また、2008年5月に行われたニュルブルクリンク24時間レースに開発中のスポーツクーペ「LF-A」を投入するなど、スポーツイメージの獲得に力を入れており、さらなる人気拡大が期待される。

           
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