Audi TTS coupe|“鍛え上げられたTT”の実力(前編)アウディTTSクーペ試乗
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2015年3月4日

Audi TTS coupe|“鍛え上げられたTT”の実力(前編)アウディTTSクーペ試乗

アウディTTSクーペ

“鍛え上げられたTT”の実力(前編)

2008年は「The year of Audi」──ぞくぞくとニューモデルをリリースするアウディの、とびきりスポーティでデザインコンシャスな1台「TTSクーペ」に試乗、その実力をたしかめてきた。

文=生方 聡写真=荒川正幸

さりげなくスポーティ

さりげなくスポーティいまいちばんアウディらしいモデルは何か? そんな問いかけに、自信をもって「TT」と答えたい。
1998年登場の初代TTが、その冴えるデザインによってスポーツカーの新しいカタチをつくり、2006年の2代めではアウディが得意とするアルミスペースフレーム技術により見事軽量化を果たした先進性が、アウディブランドの象徴と思えるからだ。
そんなTTを、アウディ伝統のスポーツバージョンである「Sモデル」なみに鍛え上げたのが、今回紹介する「TTS」だ。

Sモデルとは、モータースポーツで育んだテクノロジーを惜しみなく投入した市販車のことで、高性能エンジンとアウディのお家芸であるフルタイム4WDシステム「quattro(クワトロ)」を搭載するのが特徴。そのはじまりは1990年にデビューした「アウディ・クーペ S2」まで遡る。現在は各モデルの最上級モデルとして「S8」を筆頭に、「S6」や「S5」、「S3」(日本未導入)がラインナップされている。

シルバーに輝くドアミラーや縦のバーを目立たせたシングルフレームグリル、LEDポジショニングランプ内蔵のヘッドライト、4本出しのエキゾーストパイプ、そして、TTSのエンブレムといったあたりがベーシックモデルとの違いになるが、さりげなくスポーティさを示すあたりに、Sモデルの系譜を感じずにはいられない。

0-100km/h加速=5.2秒の俊足

0-100km/h加速=5.2秒の俊足対照的に、エンジンの進化は目を見張るものがある。

2リッター直噴ガソリンエンジンの「2.0TFSI」は、これまでの「TT 2.0TFSI」用をベースに、大型タービンターボの採用をはじめ、構成パーツの強化や設計の見直しにより、72ps(53kW)と70Nmものアドバンテージを手に入れ272ps(200kW)/6000rpm、350Nm/2500~5000rpmのハイパフォーマンスを達成。デュアルクラッチの6段Sトロニックとクワトロが組み合わされて、発進からわずか5.2秒で100km/hをマークする駿足も自慢である。

BRAND HISTORY
Audi(アウディ)のエンブレムは“フォーリングス”。その輪ひとつひとつが自動車メーカーのアウディ、DKW(デーカーヴェー)、ホルヒ、ヴァンダラーを表しているのはご存じだろう。いずれもザクセン州に本拠を置き、20世紀のはじめ、ドイツの自動車産業を牽引したブランドである。しかし、第一次世界大戦後に起きた世界恐慌の煽りをくらった4社は、生き残りをかけて、1932年にアウトウニオンを結成。DKWがモーターサイクルと小型車、ヴァンダラーが中型車、アウディが高級中型車、そして、ホルヒがラグジュアリーカーに特化する戦略をとることになった。

しかし、第二次世界大戦の敗戦により旧東ドイツのザクセンはロシアの占領下となり、アウトウニオンは消滅。これを見越して、旧西ドイツのバイエルン州インゴルシュタットに新生アウトウニオンが設立される。BMWやメルセデス・ベンツとちがい、工場のない状況からの苦しいスタートをしいられたアウトウニオンであったが、DKWデリバリーバンなどの生産により徐々に体力をつけていった。

1964年末にフォルクスワーゲン傘下に収まったアウトウニオンは、ほどなくしてアウディの名を冠した新型車を世に送り出す。そして1969年には、ネッカースウルムに本拠を置くNSU(“ヴァンケルエンジン”の開発で知られる)を合併し、アウディNSUアウトウニオンとなり、1985年からはアウディとして現在にいたる。クワトロをはじめとするテクノロジーと、モータースポーツ活動に裏付けられたダイナミック性能、エレガントなデザイン、そして、質感の高い仕上がりが、アウディの人気を牽引している。

           
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