BMW X4シリーズに試乗する|BMW
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2015年1月5日

BMW X4シリーズに試乗する|BMW

MW X4|ビー・エム・ダブリュー X4

走る楽しさを強くあたえてくれる新世代スポーツSUV

BMW X4シリーズに試乗する

クーペライクなエクステリアデザインを採用し、よりスポーティな走りを実現したBMWのあたらしいSUV「X4」。3月の発表から僅か3ヵ月、そのステアリングを握る機会が早くも訪れた。テストドライブのステージに選ばれたのはスペイン北部、フランスとの国境にある街、ビルバオ。小川フミオ氏によるインプレッションをお届けする。

Text by OGAWA Fumio

「3シリーズ」と「4シリーズ」との関係に近い

トレンドのキーワードは、スポーツユーティリティでなくスポーツアクティビティ。それがBMWの主張だ。さきごろ欧州で発売された「X4」は、スタイリッシュさとパフォーマンスをあわせもった、あたらしい世代のSUVだ。

X4は「X6」の系譜につながるモデルであり、「X3」とプラットフォームを共有するが、着座位置はやや低められ、BMW曰く「クーペに通じる操縦感覚」をセリングポイントとしている。

3シリーズGTもすでに市場に投入していますが(日本では2013年初夏に発売)、あちらは長いホイールベースに広い室内を持ち、機能主義を前面に押し出したモデル。X4はより都会的な使い方を好むひとに向けてのプロダクトです」。開発を担当したフリードリヒ・ミースリンガー氏は語る。

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数値でみると、2,801mmのホイールベースに全長×全幅×全高=4,671×1,881×1,624mm(欧州での発表値)のボディを載せている。X3と比較すると、全長で14mm長く、全高で36mm低くなっている。セダンである「3シリーズ」と、その派生車種であるクーペの「4シリーズ」との関係に近いといえるかもしれない。それだけでなく、各所にスポーティな印象を作りあげるための工夫がほどこされている。

なかでも特筆すべきはシルエットだ。ルーフの前後長を短く、かつ、前席ドライバーの頭上あたりに高さのピークをもってきているのだ。そこから後端に向けて傾斜が大きくつく。これによってキャビンが小さいクーペ的な、つまりドライバー主体で、走る楽しさを強く与えてくれるクルマだというイメージを上手に作りあげている。

スペインで乗ったのは、3リッター6気筒エンジンを搭載するX4 xDrive 35iだ。306ps/5,800-6,400rpmの最高出力と、400Nm/1,200-5,000rpmの最大トルクを誇る。屈曲路から高速まで、さまざまな道を走っての印象は、気持ちよい加速感と、信頼できるハンドリングが強く印象に残るものだった。

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BMW X4|ビー・エム・ダブリュー X4

走る楽しさを強くあたえてくれる新世代スポーツSUV

BMW X4シリーズに試乗する (2)

SUVともセダンともちがう、独特の個性

プレミアム ミドルセグメントというのが、X4のためにBMWが設定したマーケットだ。プレミアムとつくだけに、エンジンの豊富なラインナップ、4輪駆動システム、充実した標準装備品などが用意されていることを、同社では強調する。

「日本に入ってくる仕様は未定」と日本法人であるBMWグループジャパンでは話すが、ガソリンエンジンは、3リッター6気筒にくわえ、出力のことなる2リッターエンジン2種類(184psと245ps)と、さらに3種類のディーゼルエンジンが揃う。クラッチを電子制御するセンターディファレンシャルを備えた4輪駆動システム「xDrive(エックスドライブ)」は、すべてのモデルに用意される。

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プレミアムを謳うため、もうひとつの特徴は、インテリアにある。試乗車はM sportパッケージだったせいもあるが、ホワイトのレザーに赤のステッチがほどこされたスポーツシートを備えていた。ホールド性と座り心地という2つの機能にくわえて、見た目の特別感もあり、SUVであることを忘れそうな空間を実現している。

着座位置がX3より20mm低められた運転席に落ち着き、太めのグリップをもつステアリングホイールを握ると、SUVともセダンともちがう、独特の個性を味わうことができる。実際の車高といい、雰囲気といい、オンロードで使うSUVはこのぐらいが適度なのではと、スペインはビルバオの市街地を走っていて感じられた。

さらにBMWコネクテッド ドライブも使い勝手のいい装備である。緊急事態にSOSを発信できるなどの安全性から、オプションにはなるがコールセンターと音声によるやりとりで操作できるナビゲーションなどの快適性までをカバーする。

BMW X4|ビー・エム・ダブリュー X4

走る楽しさを強くあたえてくれる新世代スポーツSUV

BMW X4シリーズに試乗する (3)

どんなステージでも、高い安定性と快適な乗り心地

X4は、デザイン都市として注目されているビルバオの風景によく合う。SUVが少ない欧州の路上で悪目立ちすることなく、エレガントさとスポーティさがバランスをとられたスタイルゆえだろう。走っていると、周囲のクルマの乗員が興味ぶかそうに、X4を眺めていることがしょっちゅうだった。

ビルバオはかつて製鉄や造船で栄えた工業都市。現在の人口は35万人と日本でいえば50番目ぐらいの旭川市とほぼ同じ。しかし現在は第三次産業に力を入れ、世界の有名建築家の作品などが並ぶ。中心部にはオフィスなどが集まり、そこを高層マンションが目立つ住宅地が取り巻いている。しかしその先は山と海岸だ。それらの複雑な地形を、よくメンテナンスされて路面が荒れていない道路が縫うように走っている。

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雨が多い土地のため、ゆたかな植生が広がり、さまざまな緑色が複雑で美しい模様を大地に描き出している。山岳部ではストレートとカーブが組み合わされた、スポーツドライブには最適なコースがある。都会的だと思っていたX4 xDrive 35iだが、こういう場所ではもうひとつの魅力を見せる。

高速では安定性の高いドライブを体験できる。直進性は高く、アクセルペダルへの反応はよく、乗り心地は快適で、足まわりはぴしっと締められているからだ。リアの傾斜が大きいぶん、ハッチゲートの開口部は小さくないのだが、音の侵入は抑えられている。クッション性のよいシートは振動を吸収するし、乗員のホールド性もよい。

いっぽう、屈曲路でも、快適な印象は変わらない。シャープさというより、安定性が強く感じられ、初めての道でもいっさいの不安はない。上りが多い道では、車内のスイッチでスポーツモードを選択すると、よりスポーティな走りを楽しめる。トルクが太い高めのエンジン回転を維持し、ハンドルを切り始めたときに車体の反応速度が速くなり、少ない舵角で曲がれるようになるからだ。

「X3と基本的にはおなじ設計ですが、ボディ剛性を7パーセントアップするとともに、ダンピング特性などは変更して、よりスポーティな感覚を実現しています」と、前出のミースリンガー氏が教えてくれたとおりの印象だ。

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BMW X4|ビー・エム・ダブリュー X4

走る楽しさを強くあたえてくれる新世代スポーツSUV

BMW X4シリーズに試乗する (4)

リアホイールを強調するもう1本のキャラクターライン

「SUVの頑丈性とクーペとエレガンスを結びつけたのがX6。小さなキャビンと大きなタイヤを四隅に配するプロポーションが全体のイメージを定め、くわえて6ライト(リアクォーターウィンドウをもつキャビン)と、四角いホイールハウスというスタイリング上の処理が、X6に連なるSAVコンセプトを特徴づけています」。

BMWデザインのヤゼック・フリードリヒ氏は、試乗会の舞台になったビルバオのホテルで、そう解説してくれた。

最近は「2シリーズ」や「4シリーズ」という、パーソナル性の強い車種バリエーションを増やすことで、若々しい気分を求めるひとを対象にした、あたらしいマーケットの開拓を推進するBMW。オフロードを走れるSUVで十分にアクティブな雰囲気が味わえるという時代はすでに変わり、軽快さを重視するひとが増えた市場に応えたのがX4である。

大型でメタリックな質感が好ましいキドニーグリルにはじまり、複雑な反射で輝くヘッドランプ、ボディ後方へ向けて流れる速度感を意識したような車体側面のキャラクターラインと、さらに今回あたらしい試みというリアホイールの存在感を強調するもう1本のキャラクターラインの追加など、X4には独自のキャラクターが強く打ち出されている。

「2014年内日本導入予定」(BMWグループジャパン広報)だそうだが、日本でも人気が出そうなモデルだ。

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BMW X4 xDrive35i|ビー・エム・ダブリュー X4 xドライブ35i

ボディ|全長 4,671 × 全幅 1,881 × 全高 1,624 mm

ホイールベース|2,810 mm

トレッド 前/後|1,616 / 1,632 mm

重量(DIN)|1,815 kg

最低地上高|204 mm

エンジン|2,979 cc 直列6気筒 直噴DOHC ツインスクロールターボ

最高出力| 225 kW(306 ps)/5,800-6,400 rpm

最大トルク|400 Nm/1,200-5,000 rpm

トランスミッション| 8段オートマチック

駆動方式|4WD

サスペンション 前|ダブルジョイント プル ストラット

サスペンション 後|5リンク

タイヤ 前/後|245/50R18

ブレーキ 前|ベンチレーテッド ディスク

ブレーキ 後|ベンチレーテッド ディスク

燃費(EU値)|8.3 ℓ/100km(およそ12.0km/ℓ)

CO2排出量|193 g/km

0-100km/h加速|5.5 秒

最高速度|247 km/h

トランク容量|500-1,400 リットル

BMW X4 xDrive35d|ビー・エム・ダブリュー X4 xドライブ35d

ボディ|全長 4,671 × 全幅 1,881 × 全高 1,624 mm

ホイールベース|2,810 mm

トレッド 前/後|1,616 / 1,632 mm

重量(DIN)|1,860 kg

最低地上高|204 mm

エンジン|2,993 cc 直列6気筒 直噴DOHC ターボ ディーゼル

最高出力| 230 kW(313 ps)/4,400 rpm

最大トルク|630 Nm/1,500-2,500 rpm

トランスミッション| 8段オートマチック

駆動方式|4WD

サスペンション 前|ダブルジョイント プル ストラット

サスペンション 後|5リンク

タイヤ 前/後|245/50R18

ブレーキ 前|ベンチレーテッド ディスク

ブレーキ 後|ベンチレーテッド ディスク

燃費(EU値)|6.0 ℓ/100km(およそ16.7km/ℓ)

CO2排出量|157 g/km

0-100km/h加速|5.2 秒

最高速度|247 km/h

トランク容量|500-1,400 リットル

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