ミニ ペースマンに試乗|MINI
Car
2015年1月23日

ミニ ペースマンに試乗|MINI


MINI Paceman|ミニ ペースマン

7番目の秘蔵っ子



ミニ ペースマンに試乗



SUVとクーペを融合したクロスオーバーとして、2011年のデトロイトショーでデビューを飾ったMINIファミリー7番目のモデル「ペースマン」。その見た目は、先に登場した「カントリーマン(日本名:クロスオーバー)」の2ドアクーペ版であり、よりスポーティに印象を変えた。では、走りはどうか!? スペイン・マヨルカ島を舞台に九島辰也が試乗する。




Text by KUSHIMA Tatsuya





クラシックMINI時代にはなかったネーミング



MINIの7番目のモデルが我々の目の前に現れた。その名は「ペースマン」。意味は“先頭に立つ者”、“リーダーとして下を従える”といったところだ。クルマを擬人化する手法はなかなかMINIらしい……。



とはいえ、この名前はこれまでとはちがう。それはクラシックMINI時代にはなかったネーミングだからだ。ご存知のようにこれまでMINIはボディタイプばかりでなく名前も復刻させてきた。「クロスオーバー」の本国名は「カントリーマン」である。そう考えると、ペースマンはまさにそんな意味を含むのかもしれない。カテゴリーの中でリーダーになるということだけでなく、MINIファミリーの中で未来を切り開いていくクルマなのだと。



それはともかく、まずはこいつのコンセプトから紐解こう。






これまでMINIウォッチャーとして、コンセプトカーからニューモデルまでをずっと見続けてきた立場からいわせてもらうと、開発陣はこのクルマのコンセプトをけっこう前から企てていたような気がする。実際にショーでお披露目されたのは昨年1月のデトロイトショーだが、ハッチバックベースの「MINI クーペ」「MINI ロードスター」のことを鑑みれば、それより1年以上前に最初のスケッチは描かれていたはずだ。

それにハッチバックの豊富なボディバリエーションからして、クロスオーバーをワンモデルで終わらせるのも不自然な話である。まぁ、ロングホイールベースにするなども考えられなくないが、あれ以上のサイズをカスタマーが受け入れるかどうかは難しいから、これがいい落としどころともいえるだろう。




MINI Paceman|ミニ ペースマン

7番目の秘蔵っ子



ミニ ペースマンに試乗(2)




ボディサイズはクロスオーバーとほぼおなじ



さて、そんなペースマンのバリエーションは、「クーパー」と「クーパーS」、それとディーゼルエンジンの「クーパーD」と「クーパーSD」というラインナップとなる。もちろん、日本仕様はガソリンエンジンだけなので前者の2台が導入されることだろう。ちなみに、「JCW(ジョン・クーパー・ワークス)」は現在開発中。クロスオーバーのJCWがそうとう楽しいことを考えれば、期待は大である。





では、中身だが、クロスオーバーを2ドアクーペにしたボディはルーフで29mm、スポーツサスペンションで10mmの合計39mm車高が低くなる。結果1,518mmとなり、日本の立体駐車場制限1,550mmをクリアした。これは朗報だ。ただそれ以外全長やホイールベースは変わらない。よってクーペになってもボディが短くなることはない。



なので、じつはリヤシートの快適性も奪われていない。多少ルーフエンドが下がる分ヘッドクリアランスが少なくなるが、足元などはけっこう広いのだ。普段クロスオーバーを足にしているので、その辺は間違いないといえる。それにカーゴも極端に狭くなってはいなかった。








MINI Paceman|ミニ ペースマン

7番目の秘蔵っ子



ミニ ペースマンに試乗




まるでアメンボのような走り



それじゃステアリングを握った感じはというと、おもいのほかスポーティ。ハッチバックベースのMINIクーペをはじめて乗ったときほどの感動はないが、ゴーカートフィールはしっかりあった。それは試乗車がクーパーSであったことも関係する。184psもあればこのサイズもOKということだ。クロスオーバーもおなじである。



感心したのは乗り心地だ。試乗車は標準の17インチタイヤを履いていたが、とにかくフラットで滑らか。ロードノイズも消されて、まるでアメンボのように路面をスイスイ走っていく。この辺はしっかりチューニングされた証拠だろう。ボディ剛性が高められたことで、各部にメリットが生まれたと考えられる。





ただパワステのセッティングが少々クイック過ぎるのは気になった。慣れるまで、手の動きによるヨーイングが発生する。が、それも“スポーツ”ボタンを押すと解消。アクセルレスポンスが上がるとともにステアリングが重くなりしっとり感が現れる。個人的にはこっちの方が趣味だ。



それにアクセルから足を離しときボッボッボとレーシーなサウンドがするのもグッド。この辺の演出はさすがMINI。走りを楽しもうとする気持ちをしっかり盛り上げてくれる。



さあ、このような内容のペースマン。ニッチなモデルではあるだろうが、試乗する機会があれば体験する価値はある。クロスオーバーベースながら動きは侮れない。それに既存のカテゴリーにとらわれない姿勢には好感を覚えた。それもこれもMINIらしいスタンスであることは間違いない。

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MINI Cooper S Paceman|ミニ クーパーS ペースマン

ボディサイズ|全長4,115 × 全幅1,786 × 全高1,522 mm
ホイールベース|2,596 mm

トレッド 前/後|1,525 / 1,551 mm

最低地上高|124 mm

最小回転半径|5.8 m

重量|1,305 kg [1,330 kg]

エンジン|1,598cc 直列4気筒DOHCガソリン

最高出力|135 kW(184 ps)/ 5,500 rpm

最大トルク|240 Nm / 1,600-5,000 rpm

最大トルク(オーバーブースト時)|260 Nm / 1,700-4,500 rpm

トランスミッション|6段マニュアル [6段オートマチック]

サスペンション 前/後|マクファーソンストラット / マルチリンク

ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ディスク

タイヤ|205 / 55 R17

0-100 km/h 加速|7.5 秒 [7.8 秒]

最高速度|217 km/h [212 km/h]

燃費|6.1 ℓ / 100 km [7.1 ℓ / 100 km](欧州サイクル値 複合)

CO2排出量|143 g/km [166 g / km]



※[]内は6段オートマチックモデル