"BMW”初のプラグインハイブリッド

BMWがSAV（スポーツ アクティビティ ヴィークル）とよぶ3代目「X5」に、プラグインハイブリッドモデル「X5 xDrive40e」が登場した。すでにサブブランド“BMW i”から「i8」としてプラグイン ハイブリッドモデルを販売しているが、純粋な“BMW”としてはこれが初のPHVとなる。

iブランドからテクノロジーとノウハウを受け継いだX5 xDrive40eには、最高出力180kW（245ps）、最大トルク350Nmを発揮する2リッター直列4気筒のBMWツインパワーターボのガソリンエンジンを搭載。これに、8段オートマチックと一体化した最高出力83kW（113ps）、最大トルク250Nmを発生する電気モーターを組み合わせ、システム統合で最高出力230kW（313ps）、最大トルクは450Nmを誇る。

欧州計測値での燃費は3.4-3.3ℓ/100km（およそ29.4-30.3km/ℓ）、CO2排出量78-77g/kmと、2トンを超える重量のSUVとしては環境負荷性能が低く抑えられているいっぽうで、発生する大きなパワーを、モデル名にあるとおりxDrive、すなわち前後トルク可変のフルタイム4WDで受け止め、0-100km/h加速は6.8秒、最高速度は210km/h（リミッター制御）という運動性能をもつ。

電池は容量9.0kWhのリチウムイオンバッテリーをラゲッジルーム下に搭載。荷室スペースは500-1,720リットルを確保しており、通常モデルの650-1,870リットルとくらべて、150リットル程度の減少にとどめられている。ただし、オプションの3列目シートは設定されず、5人乗りのみに限定される。

充電には欧州の一般の家庭用コンセントで3時間50分、3.5kWを出力する独自の充電ステーション「BMW i ウォールボックス」経由では2時間45分で完了する。

専用のパワートレーン設定コントロール

X5 xDrive40eには、専用のパワートレーン設定変更ボタン「eDrive」スイッチがそなわる。標準状態の「AUTO eDrive」では、モーター駆動を中心に70km/h以上での走行や強い加速時にエンジンを始動するパターンを基準としながら、2つのパワーソースを電子制御でもっとも効率よく運用する。

次の「MAX eDrive」はモーターのみの駆動、いわゆるEVモード。最高速度は120km/hまでに抑制されるが、満充電であればおよそ30kmの距離まで走行が可能とされる。最後に、後のバッテリー走行に備えて積極的に充電をおこなう「SAVE Battery」が用意される。これを活用することで、ガソリンエンジンが主体となる郊外の走行中にあらかじめ充電しておき、市街地では静かでゼロエミッションのモーターで走行するといったことが任意に選択できるようになる。

これらパワートレーンのモードにくわえ、従来のBMW各モデルに設定される走行モード「ECO PRO」「COMFORT」「SPORT」も用意されており、アクセスのレスポンスや8段ATのシフト特性、標準装備されるダイナミック ダンパー コントロールを調整することができる。

このダイナミック ダンパー コントロールのほかにも、xDrive40eにはリアにセルフレべリング コントロール付のエアサスペンションを標準採用。また2ゾーンオートエアコンには、エンジン休止状態でも冷暖房が効くよう、電熱循環式ヒーターと電動コンプレッサーをそなえている。

これらのほかに「ブレーキ機能付きクルーズ コントロール」「ドライビング アシスタント システム」「BMWコネクテッド ドライブ」が標準でそなわるほか、オプションとして「ストップ＆ゴー機能付きアクティブ クルーズコントロール」、前車接近警告および衝突回避・被害軽減ブレーキシステムを含む「ドライビングアシスタント プラス」「BMWヘッドアップ ディスプレイ」「BMWナイト ビジョン システム」「車線変更警告システム」「パーキング アシスタント」「リアビュー カメラ」「サラウンドビュー システム」、追い越し禁止表示を含む「スピード リミット インフォ」などの機能が用意される。

目的地までの最少燃費ルートも検索できるナビゲーション

スタイリングには、X5にパッケージオプションとなっている「デザイン ピュア エクスペリエンス」「デザイン ピュア エクセレンス」、そしてプラグイン ハイブリッド専用の「Mスポーツ パッケージ」も用意される。左フェンダーには充電用のソケットがそなわり、充電中はブルーに、満充電になるとグリーンの照明が点灯する。アロイ ホイールは標準で18インチのものを履くが、オプションでは19インチや20インチも選択が可能。

プラグインハイブリッドモデルならではのインフォメーション機能として、xDrive40eのメーターパネルは、充電状態や駆動モードの状況などハイブリッドとして必要な情報を表示する専用品となる。iDriveで操作するセンターコンソールのコントロール ディスプレイには、エンジンとモーターの連携状態や充放電状況を確認できるエネルギー フローディスプレイ機能を搭載。充電時間予約や冷暖房のタイマーなどをここから予約する機能もそなわる。

「i3」や「i8」のように、バッテリーの状態やエアコンのリモートコントロール、さらに付近の充電ステーション位置などを検索できる、スマートフォン向けの専用アプリも用意される。

プラグインハイブリッドの特性を活かすべく、xDrive40eに最適化されたナビゲーション システム プロフェッショナルが標準で装備されている。このナビゲーションには、通常のルート案内のほかに、道路の勾配や交通状況を考慮しもっとも燃料消費のすくない“ECO PROルート検索”機能が提供される。またあわせて、ハイブリッドの制御プログラムもナビゲーションの情報をもちいて、常にもっとも効率の良いパワートレーンを選択するように最適化してゆく。

このあらたに追加されるX5 xDrive40eも、ほかのX5や「X6」「X3」「X4」とおなじく、初代X5生産にあわせて建設された米国サウス・カロライナ州にあるスパータンバーグ工場で製造される。国内導入への公式アナウンスはまだなされていないものの、ハイブリッドへの支持が厚い日本での販売は期待が高い。

BMW X5 xDrive40e｜ビー・エム・ダブリュー X5 xDrive40e
ボディサイズ｜全長 4,886 × 全幅 1,938 × 全高 1,762 mm
ホイールベース｜2,933 mm
トレッド 前/後｜1,644 / 1,650 mm
重量｜2,230 kg
エンジン｜1,997 cc 直列4気筒 DOHC BMWツインパワーターボ
ボア×ストローク｜ 84.0 × 90.1 mm
圧縮比｜10.0
エンジン最高出力｜ 180 kW（245 ps）/ 5,000-6,500 rpm
エンジン最大トルク｜350 Nm / 1,250-4,800 rpm
モーター最高出力｜ 83 kW（113 ps）/ 3,170rpm
モーター最大トルク｜250 Nm
統合最高出力｜230 kW（313 ps）
統合最大トルク｜450 Nm
モーター回生出力｜ 20 kW
トランスミッション｜8段オートマチック（ステップトロニック）
バッテリー｜リチウムイオン
バッテリー容量｜9.0 kWh
バッテリー電圧｜351 V
ブレーキ 前/後｜ベンチレーテッドディスク
サスペンション形式（前）｜ダブルウィッシュボーン アーム式コイルスプリング
サスペンション形式（後）｜インテグラル アーム式電子制御エアスプリング
駆動方式｜4WD
タイヤ｜255/55R18
最小回転半径｜6.35 m
トランク容量｜500-1,720 リットル
0-100km/h加速｜6.8 秒
最高速度｜210 km/h（リミッター作動）、モーター駆動時は120 km/h
モーター最長航続距離（EUサイクル）｜30 km
燃費（EUテストサイクル）｜3.4-3.3ℓ/100km（およそ29.4-30.3km/ℓ）
電力消費（EUテストサイクル）｜15.3-15.4 kWh
CO2排出量｜78-77g/km
燃料タンク容量｜85 リットル