沖野修也×DJ KAWASAKI 師弟対談!(2) THE ROOM 18周年記念イベント「GAMBLE」開催
EVENT|THE ROOM 18周年アニバーサリーパーティー「GAMBLE」開催!
沖野修也(Kyoto Jazz Massive)×DJ KAWASAKI 師弟対談 (2)
写真=高田みづほ
僕が勝手に弟子って言ってるだけなんです(笑)──KAWASAKI
──KAWASAKIさんとの出会いは覚えてますか?
沖野 あんまり覚えてないんですよね(笑)。でも、よく聴きに来るから音楽が好きなんだろうなとは思ってましたし、そんなに来てるんだったら働らいたほうがいいんじゃないって誘ったんです(笑)。毎日来るたびにお金を払ってるわけで、そんな好きだったら店で働いたらお金もらえるよって(笑)。
KAWASAKI 当時はすごい出費でしたね……(笑)。でもそのおかげでスタッフとも仲良くなれましたし、今があるんだと思います。
──そのまま沖野さんに弟子入りしたんですか?
KAWASAKI 僕が勝手に弟子って言ってるだけなんです(笑)。
沖野 僕は弟子とらないですから、自称・弟子です(笑)。
沖野 僕自身ひとの弟子にならなかったので弟子もとりたくないなと。僕は誰かの下につくのも嫌だし、つかれるのも嫌。つねに対等というか、おなじ音楽好きとしてつき合いたいんです。偉くなってしまうことで現場感をなくしたくない、いつもダンスフロアにいたいんです。THE ROOMでも一番前で踊っているのが僕だったりしますから(笑)。
KAWASAKI そうですね(笑)。
沖野 はやっていようがいまいが関係なく好きなんですよ、クラブが。だから、おなじ音楽好きとして若い世代とも接したい。もち上げられたり荷物もちますよって言われるよりも、おなじ目線で最近なにが良かったなんてことを語り合いたい。年齢であったり、師匠・弟子だったりで、上下関係ができてしまうのは嫌なんです。
──技を盗むといったかんじでしょうか?
沖野 そう、教えてもらうものじゃなくて盗むもの。
KAWASAKI レコードは教えていただける、そうしていただけるっていうのは僕が執拗に聞くからなんですけど(笑)。でも、そのレコードのどの曲がクラブでプレイできるアイテムなのかは教えてくれないんです(笑)。
──それはあえて教えないんですか?
沖野 僕も教わらなかったし、教わると僕の色がつくと思うんですよ。「KAWASAKIさんて沖野さんの弟子でしょう?」って。教えてなくてもそう思われているくらいですから(笑)。師弟制度が悪いって言っているわけではないんですけどね。
THE ROOMってチャレンジがある場所なんです──沖野
KAWASAKI ……僕はむしろうれしいんですけどね。でも、よく音の流れをプレイが終わった後に説明してくれるんです。なぜあの曲のあとにあの曲をかけたのかって。たしかオープンして2年目くらいの大晦日カウントダウンのとき、沖野さんが和紙に墨で曲順を全部書いていったんですよ。
沖野 和紙!?
KAWASAKI 何時何分になにをかけて次はこれでっていうのを全曲。その和紙は今でも持ってます。
──それは事前に書かれたものなんですか?
KAWASAKI 終わってから思い出しながらでした。
沖野 全然覚えてない……。
──記録をつけるのはよくあることなんですか?
沖野 僕、基本的にその日かけたものって翌日全然覚えてないんです。以前THE ROOMで24時間ノンストップでプレイしたことがあるんです。そのときは24時間かけた曲を全部メモしましたね、終わったあとに。24時間で222曲でした。しかもDJしながらブログ更新してたんですよ(笑)。
KAWASAKI やってましたね(笑)。
沖野 そのときすごいアクセス数で、アメーバブログの芸能人ランキング一位になりました。一時的に、ですけど(笑)。
KAWASAKI 店内から「大丈夫ですか?」って書き込みするとなぜか「大丈夫」ってもどってくるんですよ、目の前でDJしているのに(笑)。
沖野 THE ROOMってそういうチャレンジがある場所なんです。24時間だったり、東京のDJを70人くらい集めてひとり一曲ずつプレイするとか。クラブでミュージシャンのジャムセッションをやりはじめたのもウチが走りで、それがいまの東京クロスオーバー・ジャズ・フェスティバルにつながってもいる。いつも、クラブの常識からはみだした提案をしたいんです。
沖野 一緒に企画して去年、完全バック・トゥ・バックというイベントをやりました。
KAWASAKI もうドキドキですよ……。沖野さんとバック・トゥ・バックなんて百万年早いかなって(笑)。
──イベントのなかでですか?
沖野 それ自体をイベントにしたんです。右のターンテーブルは沖野修也、左はDJ KAWASAKIって。バック・トゥ・バックって相手がかけた曲の流れを崩さないような選曲をしないとだめなんです。その一方で、「このあとにはかけられないだろう」っていう、ちょっと意外性のある曲も入れていくんです(笑)。将棋のように追い詰めていくというか(笑)。
──相手が返しやすい玉を投げるのではなく(笑)?
沖野 そう(笑)。
KAWASAKI しかもフロアを踊らせなくちゃいけないんです。もう、その駆け引きがおなか痛くて……(笑)。
──この返しは負けたな、とかお互いに感じるものなんですか?
沖野 ありますよ、「こう来たか!」って(笑)。事前にブログでプレッシャーかけたりしてます(笑)。
KAWASAKI “潰す”とか書いてるんですよ(笑)。地方に行ったさい「KAWASAKIさん、大丈夫ですか……?」ってみんなに言われました(笑)。でも、おかげさまでその日はものすごい数のお客さんが来てくれました。
沖野 すごかったよね(笑)。「KAWASAKIさん頑張ってください!」って感じで、女性陣が涙目でブースの前にかじりついたりして(笑)。ちょっと彼が追い込まれると悲鳴が(笑)。
KAWASAKI 僕がやられてしまうんじゃないかと思って、“応援に行かなきゃ、私たちが守らなきゃ!”って、そんな空気がありましたね(笑)。
沖野 そうそう、おかしな方向にいってたよね(笑)。でも、その打ち出しをすることでいままで来なかったひとたちが来てくれたり、ちょっといつにない盛り上がりが演出できたのは企画の力だと思います。