特集|インド洋に浮かぶ理想郷|第2章「究極の隠れ家リゾート」
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2015年6月20日

特集|インド洋に浮かぶ理想郷|第2章「究極の隠れ家リゾート」

特集|もう一度リゾートを楽しみませんか?
あらゆる望みを叶えてくれる洋上の理想郷

第2章「世界のセレブを惹きつける究極の隠れ家リゾート」(1)

東京から国際線2便、国内線1便、そしてスピードボートを乗り継いで約24時間。ここに世界中のセレブリティがこぞって訪れる“隠れ家リゾート”がある。2011年に誕生した「ジュメイラ・デヴァナフシ」だ。ドバイの「ブルジュ・アル・アラブ」をはじめ、世界9カ国にラグジュアリーホテルを展開する「ジュメイラ・グループ」がモルディブに初進出したとあって、オープンから4年経ったいまも人気ぶりは衰えることを知らない。ジュメイラ・デヴァナフシのなにが人を惹きつけるのか? 本章ではその魅力に迫ってみたいと思う。

Photographs by JAMANDFIXText by TANAKA Junko (OPENERS)

東京から24時間の場所に待っていたのは?

北から南の方角に沿って島が点在するモルディブにあって、ほぼ南端といえる場所に位置するのが今回の滞在先「ジュメイラ・デヴァナフシ」だ。

東京から国際線を2本乗り継いでモルディブの玄関口、フルレ島に到着(フルレ島までの行き方は第1章を参照)。ジュメイラ・デヴァナフシへは、ここからさらに国内線で移動することになるのだが、そのままホテルに直行するか近くのマーレで前泊するかは、飛行機の到着時間によっておのずと決まってくる。

今回利用したスリランカ航空の場合は、到着するのが夜9時過ぎになるため、フルレ島から約10分ほどボートに乗ってマーレに移動。翌朝の移動に備えて前泊するのが賢明だろう。最近ではフルレ島のなかにもいくつかホテルが誕生していて、そこを利用する人も増えているようだ。

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国営航空「モルディビアン」のプロペラ機

ここでひとつ注意点が。モルディブは敬虔なイスラム教徒の国のため、酒類の持ち込みは禁止されている。他国から免税品として購入した酒類も空港で没収されてしまうので、入国する際には注意が必要だ。

取材班のなかにも「お土産に」と日本酒をもってきたメンバーがいたのだが、残念ながら荷物検査で没収されてしまった(ただし、帰国時にまた返してくれる)。お酒好きはここでひるみそうになるところだが、いったんリゾート島に入ってしまえば、レストランでもバーでもアルコールが提供されているのでご安心を。

翌朝9時、フライトの疲れも少し和らいだところでマーレの宿を出発。行きとおなじボートに乗って、再びフルレ島へ向かった。空港にはホテルのスタッフが常駐していて、国内線やスピードボートの手配から、ラウンジを利用するための手続きまで、ホテルに到着するまでの手はずをすべて整えてくれる。

国内線のスケジュールが前日に発表されるモルディブで、現地の事情をよく知るスタッフがサポートしてくれるというのは非常にありがたい。早めに空港入りしても、次の飛行機まで数時間待ちということがよくあるため、食事や飲み物が揃ったラウンジでゆったり過ごせるのも嬉しいポイントだ。

私たちはラウンジで朝食を済ませたあと、プロペラ機に乗り換えてカーデッドゥ空港へ向かった。じつはこの約1時間のフライト、小さな特典がついてくる。前章の「モルディブ全解剖」でお伝えしたとおり、モルディブは1190の島が集まってできた共和国。島々が連なってできた環礁群が南北に向かって点在している。

説明を聞いただけではいまいちピンとこない複雑な地理も、実際に目にすれば腹落ちするから不思議だ。プロペラ機に乗って上空から眺めたモルディブ。それは実に美しく、さながら3Dマップが眼下に広がっているかのようであった。

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たっぷり1時間、上空からの景色を満喫したあと、飛行機はサーフィンのメッカ(聖地)としても有名なガーフダール環礁に建つカーデッドゥ空港に到着。フルレ島同様、カーデッドゥ空港にもホテルのスタッフが常駐していて、ゲートの外で私たちを迎えてくれる。そこから専用カートで港へ向かい、スピードボートに乗って約20分。いよいよ目的地のジュメイラ・デヴァナフシに到着だ。

ここまでの移動時間は、前泊も入れると約24時間。その分、日常とかけ離れた場所に向かうワクワク感が増すと考える人もいれば、貴重な休みが減ってしまうと考える人もいるだろう。働き盛りなOPENERS読者にとっては、少しハードルが高く思えるかもしれない。

だがこれだけは断言できる。人口の密集したマーレ周辺から離れれば離れるほど、海はより青くクリアに、客室はより広くなり、騒音とは無縁の静かな環境が手に入る。ジュメイラ・デヴァナフシに至っては、客室がすべて200平米以上のスイートルーム仕様。プライベートプールまでついてくる。本当の意味での“アイランド・エクスペリエンス(南の島体験)”が待ち受けているのだ。

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第2章「世界のセレブを惹きつける究極の隠れ家リゾート」(2)

全室200平米以上、プライベートプール付き

ホテルに到着すると、モルディブの伝統音楽「ボドゥ・ベル」がお出迎え。しばしドラムの心地よいリズムに耳を傾けたあとは、レセプション棟に移動。ウェルカムドリンクを飲みながら、総支配人のクリス・エリーさんから歓迎を受ける。

「この辺りは手つかずの自然がそのまま残っている、モルディブのなかでももっとも美しいエリアのひとつです。ジュメイラ・デヴァナフシの中核をなすメイン島は、まさにそんな大自然を満喫できる場所。きっと数日もすれば、ロビンソン・クルーソーになったような錯覚に陥ることでしょう(笑)。シュノーケリングや屋外ヨガなど、アクティビティも充実しているので、興味があればぜひトライしてみてください」

レセプション棟では、ゲストの好みや関心をヒアリングした上で、滞在中の大まかなプランを立てていく。なかには「一日中ウィンタースポーツに明け暮れたい」という人もいれば、「今回の旅の目的はなにもしないこと」という人も。当然ながらひとりひとりの要望は異なる。「それにできる限り『ノー(できません)』と言わず、お応えするのが私たちのモットー」だとエリーさんは話す。

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客室の数は全部で35。徒歩10分で一周できてしまうほど小さなメイン島に建つヴィラと、辺り一面を海で囲まれた水上に建つヴィラ。そのどちらにするかが部屋選びの第一歩だ。客室はすべて200平米以上、ベッドはキングサイズ以上、プライベートプール付きのスイートルーム仕様と、どちらを選んでも設備面でのハズレはなし。あとはそれぞれの個性を照らし合わせて選ぶことになる。

メイン島ヴィラの特徴は、前述のエリーさんの言葉通り、大自然のなかでロビンソン・クルーソーのような気分が味わえること。建物のすぐ裏手には白い砂浜と紺碧のインド洋。緑の生い茂った中庭も美しい。内装は黄色やオレンジ、ベージュ、茶色などのアースカラーで彩られていて、隠れ家のような雰囲気作りに一役買っている。206平米のビーチ・リバイブ(11室)、306平米のアイランド・リバイブ(5室)、306平米のビーチ・サンクチャリ(3室)の3タイプが顔をそろえる。

一方、メイン島の沖合800メートルの洋上に建つ水上ヴィラは、270平米のオーシャン・リバイブ(14室)、340平米のオーシャン・サンクチャリ(2室)の2タイプを用意。内装はメイン島ヴィラと打って変わって、ブルーを基調としたクールな印象でまとめられている。

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360度どこからでも海を見渡すことができる“パノラマオーシャンビュー”と、裏庭から直接海に入れるという海との距離の近さがなによりの魅力だ。レストランもスパもすべて敷地内に完備されていて、メイン島とはボートで行き来するだけ。完璧なプライバシーが確保されている。家族連れよりもカップルに人気というのもうなずける。

取材中に出会った香港人カップルは、毎年この時期になるとジュメイラ・デヴァナフシにやってきて、数週間滞在するのだそうだ。さらに詳しく聞いてみると、今回は最初の1週間を水上ヴィラで、残りの1週間をメイン島ヴィラで過ごすという。メイン島ヴィラか水上ヴィラか。「どちらか一方なんて選べない」という方は、彼らのように過ごしてみることをお勧めしたい。

ジュメイラ式もてなしの流儀

ところでこのジュメイラ・デヴァナフシ、名前を聞いてピンときた方はいるだろうか。以前OPENERSでも紹介した7ツ星ホテル「ブルジュ・アル・アラブ」を筆頭に、アラブ首長国連邦やイギリス、トルコ、中国など世界9カ国でラグジュアリーホテルを展開する「ジュメイラ・グループ」の一派だ。まだ設立から17年と業界ではかなり“若い”会社だが、これまでにないラグジュアリーかつ斬新なアプローチで、世界にその名をとどろかせている。

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備え付けの電話機には専属バトラーのファーストネームが

特筆すべきは、“かゆいところに手が届く”徹底したホスピタリティだろう。たとえば、いまやジュメイラの代名詞にもなっている、24時間のバトラーサービス。

ジュメイラ・デヴァナフシでも、すべての部屋に専属のバトラーがいて、滞在中、私たちのありとあらゆる要望やわがままに応えてくれる。備え付けの電話機には彼らのファーストネームが記されていて、レセプションを介すことなく、ボタンひとつで直接話ができるというお手軽さだ。

「いつも自分から率先してゲストにほほえみかけること」「ゲストには決して『ノー』と言わないこと」「ゲストと仕事仲間をつねに敬うこと」。これはブランドの礎(いしずえ)を示したクレド(基本指針)の一部を抜粋したものだが、ジュメイラのスタッフは全員、これを研修で身につけてから現場に入る。

専属バトラーはもちろん、滞在中に出会ったジュメイラ・デヴァナフシのスタッフすべてが、これらを実に自然な形で実践していたのが印象的だった。最後にそのなかのひとりが語ってくれた話を紹介して、本章を締めくくりたいと思う。

「ここで働いているスタッフは、みんなジュメイラに惚れ込んで来た人ばかりです。特にデヴァナフシはいろいろな意味で懐が大きいリゾート。客室35室に対して、約200人のスタッフが働いている。詰め込みすぎない感じが、ホテル全体にゆったりした空気感を生んでいるのではないでしょうか。ゲストの方の表情がだんだん和らいでいったり、笑顔の回数が増えたり、ここでの滞在がプラスに働いているのを見るのが一番の幸せですね」

スタッフのホテルを思う気持ち、ゲストを思う気持ち。こうした形にならない思いこそが、ゲストを「また戻ってきたい」という気持ちにさせるのではないだろうか。

Jumeirah Dhevanafushi|ジュメイラ・デヴァナフシ
Meradhoo Island, Gaafu Alifu Atoll, Republic of Maldives
Tel. +960-682-8800

http://www.jumeirah.com/en/hotels-resorts/maldives/jumeirah-dhevanafushi/

           
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