特集|インド洋に浮かぶ理想郷|第1章「モルディブという名の唯一無二のリゾート体験」
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2015年6月20日

特集|インド洋に浮かぶ理想郷|第1章「モルディブという名の唯一無二のリゾート体験」

特集|もう一度リゾートを楽しみませんか?
あらゆる望みを叶えてくれる洋上の理想郷

第1章「モルディブという名の唯一無二のリゾート体験」

人がビーチリゾートに向かう理由はさまざまだ。思い切りマリンスポーツに興じるというアクティブ派もいれば、とにかくゆったり過ごして、普段の疲れを癒したいという人もいる。今回私たちが訪れたのは、そのどちらの希望も満足させる洋上の理想郷だった。

Photographs by JAMANDFIXText by TANAKA Junko (OPENERS)

ホテル選びがすべてのカギを握る

インド洋に浮かぶ島、モルディブ。世界中のセレブリティがプライベートで訪れるここは、インドとスリランカの南西に位置する、1190もの島が集まってできた共和国だ。上空から眺めると、木の生い茂った島を淡いブルーの浅瀬が縁取り、紺碧の海にぽつんぽつんと浮いているのがよくわかる。

とはいえ、島々が散らばって存在しているというよりは、ゆるやかに連なって群をなしているのが特徴的。9万平方キロの広大な領土には、こうした環礁群(環状をした珊瑚礁)が26個、北から南の方角に沿って点在している。“インド洋の首飾り”と称されるゆえんだ。しかし陸地となっているのは領土のわずか1パーセント。合計しても298平方キロと、東京都のおよそ7分の1の大きさである。

そのほとんどが、徒歩30分で一周できてしまうほどの小さな島ばかり。漁師の島や農業の島、空港の島など、各島にはそれぞれ役割が与えられていて、そのうち100島あまりが、現在リゾートとして利用されている。しかもひとつの島を丸ごとホテルにしてしまうという、なんとも贅沢な「1島1ホテル」のスタイルで。

ゲートから一歩外に出れば、日常生活が広がるリゾートとは異なり、そこにいるのはホテルのゲストとスタッフのみ。いわば“陸の孤島”状態である。完全なプライバシーが確保された状態で、白い砂を、青い空を、エメラルドブルーの海を、スタッフのもてなしを独占できるというわけだ。

島全体を自由にデザインできるわけだから、運営する側にとっても自分たちのカラーを出しやすい。贅を尽くしたラグジュアリーホテルもあれば、必要最小限の設備しかない、自然が主役のホテルも。さらに、ロマンチックな時間を演出してくれるカップル向けのホテルから、託児所を備えたファミリー向けのホテルまで、さまざまなタイプが混在している。

そうなると、一度に複数のホテルを体験してみたくなるものだが、島と島と繋ぐ公共の便がないため、長期滞在の場合でもひとつのホテルにずっとステイするのが基本だ(マーレでの前泊を除く)。つまりモルディブでは、目的地=ホテルになる。滞在の善し悪しは、ホテル選びにありと言っても過言ではない。

だが見方を変えれば、自分の希望とホテルの個性がうまくマッチすれば、快適でストレスフリーな滞在が約束されるということ。ここは時間をかけて、じっくり選ぶことをお勧めしたい。

もてなしは空港から

高温多湿の熱帯気候に属するモルディブは、平均気温が23度から31度と1年中温暖な気候に恵まれている。季節は大きくわけてふたつ。12月から4月までの乾季と、5月から11月までの雨季だ。その名の通り、乾季には日差しがつねに降り注ぎ、まれに降るわずかな通り雨以外には、雨はまったく降らない。一方、雨季には雨がずっと降りつづくのかといえば、そういうわけでもない。乾季のすがすがしい日に見られるような、心地よい日差しが雨季に降り注ぐことも。

実際、私たちが取材に訪れた7月は雨季の真っ最中だったが、快晴に恵まれることの方が多く、ひどいときでもスコールが1日に数回訪れる程度であった。じつはこの雨季は、知る人ぞ知る狙い目の時期。ピーク時には予約でいっぱいのホテルに泊まることができたり、海面が上昇して波の動きが活発になるため、サーフィンにも最適だ。とはいえ、天気の話なので一概にはいえず、土砂降りの雨が降りつづくこともある……ということを念頭に置いて、プランを立てていただきたい。

モルディブの玄関口は、首都マーレの近くに浮かぶ空港の島、フルレ島にあるマーレ・フルレ国際空港。日本からの直行便はないため、アジア地域を経由して入国することになる。コロンボ経由のスリランカ航空(週4便)とシンガポール経由のシンガポール航空(毎日)という主要2大ルートのほか、香港経由のキャセイパシフィック航空(週4便)、クアラルンプール経由のマレーシア航空(毎日)、大韓航空(週3便)、エディハド航空(毎日)、エミレーツ航空(毎日)など、経由便の数は年々充実してきている。このなかで一番スムーズに現地入りできるのは、成田からコロンボまで約11時間、コロンボからマーレまで約1時間半。計12時間半で到着するスリランカ航空を利用した行き方だ。

到着後の移動手段は、滞在するホテルの位置や距離によって変わってくる。空港からほど近い北マーレ環礁や南マーレ環礁にあるホテルの場合は、ボートに乗ってホテルへ。遠方の環礁にあるホテルの場合は、水上飛行機または国内線で移動する。このときスリランカ航空、キャセイパシフィック航空、マレーシア航空は、日本からのフライトが夜着となるため、翌朝の移動に備えてマーレで前泊することになる。

いずれにしても、空港のゲートを出たら、滞在するホテルの現地スタッフが待っているのでご安心を。ホテルに到着するまでの手はずは、彼らがすべて整えてくれる。もてなしは空港からというのが、モルディブ式もてなしの流儀なのである。

モルディブという名の唯一無二のリゾート体験。少しはイメージしていただけただろうか。第2章では、今回私たちが滞在した「ジュメイラ・デヴァナフシ」を例に取って、このモルディブ式もてなしの流儀について詳しく見ていきたいと思う。

           
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